表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/18

4 立花結衣視点


これは、ただの青春物語じゃない。

これは、人生を“やり直す”ことでようやく手に入れた、「本当の選択」の物語。


29歳で人生に絶望し、何もかもを失って死んだ僕が、

目を覚ますと、そこは高校一年の春だった——。


過去の僕は、臆病で、言葉が足りなくて、大切な人を裏切った。


今度こそ、ちゃんと向き合いたい。

今度こそ、大切な人を守りたい。

今度こそ、「好き」と言える自分でいたい。


『Re:Start』——それは、

僕が僕自身を取り戻すための、もう一度の青春の物語。


最後まで、見届けてくれたら嬉しいです。

図書館で佐倉くんが語った、あのひと言。


『“今”の僕はここに戻ってきた佐倉結城なんだ』


……その言葉が、まるで焼き付いたように脳裏から離れない。


点と点は確かに繋がった。中学三年の秋、あの日を境に突然連絡が途絶えた彼。その理由が「嘘」だったこと。自分を傷つけまいとした、見栄から来る自己防衛。


でも、腑に落ちない。


本当にあれが“全て”なのか。私が、どこかで彼をまだ疑っているから?


――それが理由かはわかんないけど、今、どうしてか会いたいと思えば思うほど、佐倉くんに会える気がしなくなってくる。


胸の奥に、もやがかかったような違和感が広がっていた。


部活終わりの夜、私はいつものカフェで、奈緒と向かい合っていた。


「最近、忙しいの? 後輩ちゃんたちが結衣のこと心配してたよ。……まあ、私がいちばんしてるけど」


「うん、ごめんね。もうちょっとだけ……。今、勉強教えてる人が居て」


「え、誰それ? 結衣が人に教える側ってめずらしいじゃん」


奈緒は少し意外そうに目を丸くした。それもそうか。バスケに学業、今まで人に時間を使う余裕なんてなかった。


「……珍しいかな。うん、確かに。でも、なんかその人とは……一緒にいると、楽しいの」


「へぇ? 何それ。もしかして好きなの?」


奈緒のストレートすぎる言葉に、思わずカップを持った手が止まる。否定できない。でも、肯定も……まだ、できない。


「好きかは……わかんない。でもね、一緒にいると、少しでも長くこの時間が続いてほしいなって思う。……でも」


「……うん?」


「もし、その人がね――私に嘘をついたことを後悔して、未来からすべてをやり直しに来たって言ったら、どう思う?」


奈緒は目を丸くして、しばらく沈黙した。


「……なにそれ。結衣、そういう系の本読んだ?」


「違うよ。ただ……本人がそう言ったの。“今の僕は、戻ってきた佐倉結城なんだ”って」


「佐倉……って、あの、前に言ってた中学の子?」


「うん」


奈緒は眉間にシワを寄せて、やがてため息をついた。


「まあ、私はその人のこと、話でしか知らないからアレだけど。……でも、嘘っぽい話なのに、結衣がそれを“嘘じゃない”って感じたなら――そうなんじゃない?」


「……私にもわからないの。あの言葉には説得力があった。でも、心のどこかで……まだ、信じきれてない自分がいる」


「……そりゃ、仕方ないんじゃない? 一度裏切られたんだもん。信じるって、そんなに簡単じゃないよ」


奈緒はカフェラテのふちを指でなぞりながら、静かに言った。


「でもさ、信じたいって思うなら、それがもう答えなんじゃないの?」


その言葉に、私ははっとした。


信じたい。――私は、彼を。


例え、どんな過去があったとしても。


彼の言葉を、もう一度、ちゃんと受け止めたい。


そう思えた、夜だった。

ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。


この物語『Re:Start』は、「もし人生をやり直せたら、あなたは誰を大切にしますか?」という問いから生まれました。


ありふれた学園モノに見えるかもしれません。

でもこの物語は、

「後悔」や「過去の自分」と向き合うことの苦しさ、

そしてそれを乗り越えて「今の自分」として未来を選ぶ強さを描こうとしたつもりです。


もし少しでも、

「自分にもこういう青春があったかもしれない」

「自分も、今からやり直せるかもしれない」

そう思ってもらえたなら、作者としてこれ以上ない喜びです。


そして、物語はまだ終わりません。

『Re:Live』、そして『Re:Life』へと続いていきます。


これから先の物語でも、彼と彼女がどう生きていくのか。

ぜひ、もう少しだけお付き合いください。


それでは、また次の物語でお会いしましょう。

ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ