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EX.他人の恋路を邪魔する奴は(sideアルヴィオ/後編)

「いよいよ明日か……」


 決行を翌日に控えたその夜。

 おれと四人の生贄……じゃない、選ばれし勇敢な騎士(やろー)どもは額を寄せ合って作戦会議を行った。

 ……酒とつまみもあるが、量は控えめ。酒臭くなっては論外だからな。


「思ったより話がでかくなってません?」


 飲まなきゃやってられないという(つら)をしているのはライル・リーバン。

 フィリア妃がヒースクリフに話したところ、第一分団からライルともう一人が追加されたのだ。


「馬に興味を持ち始めた貴族の女性、意外と多かったらしい。流行という奴だろうな」


 相槌を打つのがそのもう一人、第一分団のジュード・マイスナー。


「やっぱりみんな、時の人であるフィリア妃殿下の真似をしたくなるんだろうよ」


「お召しになったドレスやアクセサリーにとどまらず、ご趣味の乗馬もな」


 と、おれの部下であるブラム・ハイドン、イザーク・ロウの二人も頷く。


 人気が出すぎて、フィリア妃は乗馬愛好会なるものを立ち上げることになった。

 ご婦人方や令嬢方が集まって馬と触れ合ったり、乗馬を学んだりする場だ。

 いわゆる趣味のサロンみたいなもの。

 ただしサロンと言えば詩やレース編み、ピアノ、茶の品評といった室内で行うものばかりだった。

 おれのお袋は生前、たまに薔薇のサロンへ顔を出していた。だが、あれも庭師に育てさせた薔薇を愛でるのが主であって、お袋みたいに自分で土いじりまでやる婦人は異色だったと聞く。

 乗馬のサロンだって前例はない。


『――無いなら作るまでですわ! でも名前は「愛好会」にしておきましょう』


 しかし主宰は毒蛙でも毒を抜いて食う妃殿下だ。

 その程度でめげる訳がなく、そういうことになった。


 一回めは王家の狩猟場で開かれる。

 フィリア妃とヒースクリフがよく遠乗りへ行っている場所だな。実は芝生をひいた立派な馬場もあるのだ。


「……に、してもですよ、ウチの殿下もひどいわ〜。いきなり俺とジュードも行ってこいって……」


「まあ急に巻き込んで悪かったとは思うが、おまえらにとってはイイ話だぞ?」


 嘆くライルに、おれは裏事情を教えてやった。


「いいか? ヒースクリフは王弟の公務に復帰してエーリヒ陛下を補佐する仕事が増えてきた」


「そりゃ王位継承権一位ですからね」


「国王陛下ご夫妻には待望の子供、それも双子がお生まれになったが、しばらくはヒースクリフが兄君を支えることになる」


「でしょうね。少なくともクリストハルト王子殿下が立太子されるまでは」


 ジュードもうなずく。


「んで第一分団長の地位は誰かに譲り、本人は王国総騎士団長か軍務大臣辺りに就任させようという話が出ている」


 ――が、前にも言った通り第一分団は実力者ぞろいではあるが高位貴族の出身者がいない。

 ならば手っ取り早く貴族の嫁をもらって新しい家を立てさせ、そいつを後任にしてはどうか……と、なってる訳だ。


 その候補者がライルとジュードなのである。


「え? いや、ちょ、俺とジュードですか?」


「うわ、殿下もずいぶん無茶を振ってくれる!」


 二人とも腰が引けているな。

 またとない出世の機会だぞ、喜べばいいのに。


「「無理ですよ!!」」


「そんなことはあるまい。自信を持て」


 ライルは副長、その補佐がジュードだが、実力は伯仲しているし人望もある。


 ただしライルは子爵家の次男。

 本人には継ぐものがないので、結婚相手が貴族なら婿入りするか、平民になるかだった。


 一方のジュードはマイスナー侯爵家の庶子だ。

 先代の侯爵が晩年になってメイドに生ませた子供で、一応認知はされているものの、現侯爵からは蛇蝎の如く嫌われている。

 いや、親子ほど年の離れた異母弟なんて恥ずかしい、嫌だという侯爵の気持ちも分からんではないがな。ジュードに非はないのに酷な話さ。

 下手すると平民より結婚が難しい奴ではあるが、能力は申し分ない。


 足りないのは身分だけ。そんな二人を選抜したのは、ヒースクリフの優しさと実力主義にあふれた判断なのだ。


「ほほー、期待の有望株ってことですな」


「なるほど頑張れ」


 途端、にやにやし始めた直属の部下二匹。

 おれは言ってやった。


「何を他人事の(つら)してる。おまえらもだぞ、ブラム、イザーク」


「「はっ?!」」


「おまえら忘れているようだが、一応おれは次のラング伯爵だからな? 嫁をもらったら、第三分団長は引退して当主を引き継ぐことになる。ま、殺しても死にそうにない親父だ、すぐにではないが」


「「…………」」


 ブラムとイザークも黙った。

 この二人は長年おれと一緒に、女――ではなくネズミだのトカゲだの色んな魔物を追いかけ回した部下の代表格である。

 おれが抜けた後、こいつらになら任せられる。

 ついでに家庭を持ってもらいたい。守るものがあった方がいい。

 そう思って選んだ。


「アルヴィオ分団長……」


「状況は理解できたか?」


「はい……!」


「よし。……ま、気楽にやろうや。愛好会が立ち上がったってことは次の出番もある。それに妃殿下もおっしゃっていたぞ。馬と同じで常歩(なみあし)からやってくれれば良いってよ」


 停滞していたものが動き出した……

 あるいはフィリア妃が前へ進めてくれたように感じている。

 まずはやってみないとな。

 馬に鞍を置く時が来たって訳だ。



✳︎✳︎✳︎



 ――――幸い、天気に恵まれた。

 暖かな快晴。時々、爽やかな風が吹く。


 そこにおれ達と、男装の麗人になったフィリア妃殿下以下、五人の令嬢が集まった。


「皆様、よく集まってくださいました。どうか楽しいひとときをお過ごしくださいませ!」


 妃殿下が軽やかに挨拶し、早速乗馬教室が始まった。


 令嬢達の背格好や乗馬経験は色々だ。

 馬車へ乗る時に見たことがあるだけ、という令嬢もいるし、乗馬ドレスを着て横乗りをしたことがある令嬢もいる。


 その中で、おれのところへやってきたのは背が高い令嬢だった。

 フィリア妃も女性としては長身だが、それよりも握り拳一つ分ほど上回っており、普通の男と同じくらいある。

 無論おれと比べたら小さいし、すらりとしているから体重は半分以下だと思うがな。クィーンズスタイルと呼ばれるようになった乗馬服がよく似合う。


「……ユーフェミア・アインラークと申しますわ。よろしくお願いいたします」


「こちらこそ、アルヴィオ・ラングと申します。よろしく、ご令嬢」


 たぶん初対面の相手だ。

 どこかの夜会ですれ違ったかもしれないが、ドレスと乗馬服じゃ印象がかなり違う。正直分からん。

 アインラーク伯爵家は代々、王宮文官を輩出してきた法衣貴族で、軍系地方貴族のおれとは接点がない。

 ユーフェミア嬢自身も淡い金髪に茶色の瞳。おとなしくて読書とかが好きそうに見える。乗馬をしたがるなんて、ちょっと意外ではあるな。


「乗馬はほぼ初めてと伺いましたが、間違いありませんか?」


「はい。昔、友人に誘われて一度だけやったことがありますけれど、もう忘れてしまって……」


「なるほど。では馬に接する時の注意点からご説明します」


 馬は賢く、人間の気持ちに敏感だ。怖がらせてはいけないが、卑屈になり過ぎて舐められてもいかん。

 おとなしい気性の馬でも、身体はでかい。驚いて首や足を振っただけでも、人間は吹っ飛ばされてしまうから注意する必要がある。

 その辺を説明し、次は馬にニンジンをやったり、首筋を撫でたりと触れ合ってもらう。


「とても美しい生き物ですね……! 目が綺麗……」


 ユーフェミア嬢は馬が人懐こい性格だったのもあり、すぐ仲良くなった。


「乗ってみますか?」


「はい、ぜひ!」


 踏み台を使い、ユーフェミア嬢を鞍上に乗せる。


「わあっ……た、高いですね……!」


「怖くありませんか? 落ち着いて、まず姿勢を保ってください」


「は、はいっ」


 ユーフェミア嬢はぴんと背筋を伸ばした。

 高身長を気にしているせいか、彼女はちょっと猫背ぎみで肩をすぼめがちのようだな。だが馬上でそいつは良くない。

 背中は真っ直ぐ。肩は開いて、手綱を握るのが基本だ。


「その調子です。少し歩いてみましょう」


「お願いいたします……まあっ、凄いわ!」


 ひとまず俺がくつわを曳いて、ゆっくりと馬を歩かせる。

 ユーフェミア嬢は景色を見たり……手綱を握り直したり……崩れそうな姿勢を戻したり、と忙しない一方で、目をキラキラさせて楽しそうだ。

 馬を歩かせるなんて、おれにとっては今更なんの新鮮味もないんだが、くるくる変わるユーフェミア嬢の表情を見るのは面白い。

 馬の方も――黒鹿毛で額に白い模様があるため十字星(クロススター)という名前の牝馬(レディ)なんだが、ふんふんと鼻を鳴らしてご機嫌だ。



 ついでに他の参加者は……と首を巡らせてみると、これも四者四様だった。


 ブラムが教えている令嬢は、まだ馬の背に乗れなくて苦戦中。おれに劣らず図体のでかいブラムが背中を丸めて一生懸命、説明してやっているな。


 イザークは、おれ達と似たような感じ。令嬢が乗った馬をイザークが歩かせている。


 ライルのお相手は運動神経が良く、すぐ上達したようだ。馬を並べて散歩を始めたところ。


 ジュードは……ああ、乗馬経験がある令嬢だったな。並んでぱっぱか走らせてるじゃないか。教える必要あったか?と思うものの野暮は言うまい。良い雰囲気だ。



 さて、ユーフェミア嬢は……頑張ってはいるが、なかなか姿勢が安定しない。

 このまま無理せず馬に慣れてもらうとするか。



 のんびり歩いていたんだが――――



 いきなり前方の草がガサゴソ鳴った。

 ぴょ〜ん、と野うさぎが飛び出してくる。


「おっと」


 おれはそんなに驚かなかった。

 ここは王家の狩猟場だ、うさぎくらいいるさ。

 今は狩が流行っていないせいか、よく(ふと)って毛並みも艶々だな。人間への警戒心も低い。


 十字星(クロススター)もそんなに驚かなかった。賢くて気性の穏やかな良い馬だ。


 ところが、ユーフェミア嬢が――――


「きゃあっ?!」


 驚いてバランスを崩した弾みで、踵が馬腹に強く当たってしまったのだ。

 む、いかん!

 おれは咄嗟に手綱を掴んで鞍の上、ユーフェミア嬢の後ろに飛び乗った。

 落っこちそうになる彼女の身体を支えた、次の瞬間。

 十字星(クロススター)が素晴らしい加速で走り出す。


 馬の腹を足で蹴るのは「走れ」の合図。勘違いしてしまったのだ。


「どうどう、すまん十字星(クロススター)! 止まってくれ!」


 右腕はユーフェミア嬢で塞がってるから、左腕で手綱を取る。


 十字星(クロススター)はおれの体重が増えても元気いっぱい。元々、運動したい気分だったのかもな。

 軽快に駆け出しはしたものの、おれが手綱を引くと意図を察して徐々に速度を落とした。

 これが気性の荒い馬だと「何すんだこのヤロー!」ってな感じで暴れる場合もあるんだがな。

 聞き分けが良い馬で助かった。

 皆から、さほど離れていないところで停止する。


「よーしよし、聡い子だ。悪かったな」


 十字星(クロススター)は「仕方ないわね〜」とでも言いたげに、ぶふーんと鼻息を噴く。あとで林檎でもやっておこう。


「ユーフェミア嬢、申し訳ないがお身体を支えますので一度降りましょう」


「…………!!」


 ユーフェミア嬢は驚いて声も出せないのか、こくこくとうなずいた。

 おれは馬上で彼女の身体を横抱きに直して、ひょいっと飛び降りる。


「――お二人とも大丈夫ですか?!」


 そこへフィリア妃が馬に乗って駆けつけた。


「妃殿下、申し訳ありません。おれがついていながら」


 おれは抱えていたユーフェミア嬢を立たせてから謝った。

 理由はどうあれ、ユーフェミア嬢は大怪我をしかねない状況だったからな。

 ところが本人がぶんぶんと頭を振った。


「私が悪かったんです! アルヴィオ様は助けてくださいましたわ!!」


「ええ、遠目に拝見していましたけど、強いて言えば野うさぎのせいですわね。アルヴィオ様の対応力は素晴らしかったですわ。お二人の距離が縮まったなら何よりです」


 フィリア妃の黒い目が楽しそうだ。直立不動のおれと、おれの腕にすがりついているユーフェミア嬢を見比べている。

 うむ、物理的な距離は縮まってるが……

 いや待て。なんでこうなってる?

 ユーフェミア嬢が頬を赤くした。


「す、すみませんアルヴィオ様。ちょっと足腰が立たなくて……」


 驚いて腰が抜けたらしい。

 トラウザーズに包まれた足がぷるぷるしていて、これは普段使わない筋肉を動かしたせいもありそうだな。


「乗馬は意外と体力を使いますから、お疲れになったのもあるでしょう。おれのことなら、その辺の木みたいなもんだと思ってください」


 おれだって一応は貴族らしい言い方ができる。

 気にしないで杖代わりにしてくれれば良いさ。可愛らしい令嬢にくっつかれて嫌な男なんて、そうはいない。


「ふふ、お二人とも少し休憩を入れてはいかが? こんなこともあろうかと準備しておきましたわ!」


 青花宮の使用人達がやってきて、芝生の上に厚手の敷物を広げた。

 軽食が入ったバスケットも用意され、たちまちピクニックのような雰囲気が出来上がる。


「メイドを一人つけますので、何かあればおっしゃってくださいね。私、他の皆様にも声をかけて参りますわ」


 フィリア妃は手を振って馬首を返し、軽やかに駆け去っていった。堂に入った女主人(ホステス)ぶりだな、さすがだ。


 おれとユーフェミア嬢はありがたく敷物の上へ腰を下ろし、休憩することにした。


「む? この銀色の筒は何だ……?」


 バスケットの横に、銀色で細長い円筒形のものが置いてある。

 全く見覚えのない代物だ。


「私これ知ってます。妃殿下が教えてくださったんですわ。温かい飲み物を温かいまま持ち運べる容れ物だそうです。えっと、確かこの部分が蓋になっていて……」


 ユーフェミア嬢が手に取って、上部の蓋を回そうとするが……開かない。握力が足りんようだ。

 おれが代わって開ける。

 ふわ、と紅茶の香りがする湯気が立ち上った。

 ユーフェミア嬢が差し出した錫のコップに注いでみると、間違いなく熱い紅茶である。


「こいつはすごい。淹れたて同然ですね」


「魔法を使っていないのに魔法みたいですわよね。金属の容れ物を二重にして作っていると聞きましたわ」


「ほう。お世辞抜きに欲しくなります、行軍の供に役立ちそうだ」


 フィリア妃は何の気なしにポンと出してきたが、かなりとんでもないぞ?


「騎士のお仕事は大変そうですね。冬も夏も行かれるのでしょう?」


「もちろん任務とあらば。ですが、おれ達も人間ですから寒い時に温かい物が飲めるとだいぶ違います」


「妃殿下がおっしゃるには、暑い時期は冷たい飲み物を冷たいまま運ぶこともできるとか……ちなみにアルヴィオ様、入っていたら嬉しいお好きな飲み物などはありまして?」


「あー……おれは何でも食いますし飲みますが……」


「まあ、うふふ! お酒も強いとお聞きしました」


 そんな具合で会話も弾む。


 十字星(クロススター)は歓談するおれとユーフェミア嬢を尻目に、その辺の青草をもしゃもしゃと()んでいる。馬はみずみずしい草が大好きだからな。

 ふっとお喋りが途切れたところで、ユーフェミア嬢も景色に目を向けた。


「絵になる光景ですわね……あの、アルヴィオ様。もし良かったら少しスケッチをしても構いませんか?」


「ユーフェミア嬢は絵を描かれるんですか?」


「絵と呼べるほどでは。ただの手慰みですけれど……」


 言いながら、ユーフェミア嬢は乗馬服のポケットから小さな手帳を取り出し、白紙のページにさらさらとペンを走らせた。


 おっと、これは?


 空と草原と、草を食べている十字星(クロススター)だ。

 シンプルな黒い線だけのスケッチなのに、こんな生き生きした躍動感が出せるものなんだな。

 手品を見せられた子供(ガキ)みたいになっていると、ユーフェミア嬢は恥ずかしそうに微笑み、次のページにまた別のものを描いた。


 ……今度は……うむ。

 おれの顔だ。

 特徴をよく捉えているし、何なら実物のおれよりイイ男に見える、まであるんじゃないか?

 ユーフェミア嬢の目には、おれがこんな風に映っているのかと思うと……

 落ち着かない、な。


「……すごいですね。どなたかに習ったんですか?」


「いえ、特には。……女の身で画家になるのは、よほど才能がないと難しいんです。この程度ではとても」


「ふーむ?」


 おれはこういう時、割と勘が鋭い方である。元が野生児だからかな。

 河原にいっぱい落ちている石ころの中から、きらりと光る綺麗な貴石を見つけた時みたいな直感。

 芸術なんざ分からんものの、「この程度」じゃ収まらない気がしてならない。


 しかし……


「私……小さい頃から引っ込み思案で、大した才能もありませんのに役にも立たない絵ばかり描いていまして。自分を変えたくなって……フィリア妃殿下に憧れて、乗馬を習ってみたいと思ったのですが……」


 ――日頃の運動不足が祟って思うように動けない、とユーフェミア嬢はしょんぼりしている。

 もっと自信を持っていいと思うんだが。


「おれで良ければ、またいつでも乗馬をお教えしますよ。何なら体力をつけるために、外出したり散歩をなさったりしてはどうです? お供します」


「えっ……」


「その手帳より大きなものを持っていって、行った先の景色を描いてもいいのではないですか」


「そ、そんな。……本当によろしいのですか? ご迷惑では」


「全く。貴女こそ、むさ苦しい無骨者でよろしいですか」


「素晴らしすぎて心臓が止まってしまいそうですわ。では、その……」


 ユーフェミア嬢はますます頬を染めて、言った。


「……妃殿下に伺ったんです。ラング伯爵領は自然が豊かで、景色の美しいところだと。そう遠くないうちに見せてくださいませんか? 描いてみたいのです」


 ユーフェミア嬢は伝統と格式ある貴族の娘である。

 その彼女がラング伯爵領へ来たいと言うなら……意味は一つしか考えられない。


 おれはうなずいた。


「もちろん歓迎します。田舎ですが、おれの大好きな故郷です。どこへでも案内しますよ」


やっぱり終わりませんでした。

おまけへ続きます……

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