バケモノ
悲しいことに、
私はバケモノになったんです。
寝て起きたらそうなっていました。
片思いのクラスメイトの彼には、
とてもとてもではありませんが、
見せられないお姿です。
一体この恋をどうすれば良いの?
嬉しいことに、
両親は私の頭を撫でました。
これからもここに住んでて良いからね。
外には出なくて良いからね。
そう言ってくれたのです。
私は涙が、ボロボロ、ボロボロ、
感謝しても感謝しきれせん。
愛がこんなに深いとは、
驚きました。
ガイコクがワガクニに攻め込んできました。
今が愛を返す時です。
私は先陣切って、敵軍に突入。
銃弾受けても、
ミサイルの爆発に吹っ飛んでも、
痛い体を引きずって、
敵を引き裂き、高らかとおたけび上げる。
自国の部隊と連携とって、
殲滅の風を吹かすのでした。
無敵の私に敵さんびっくり、
お前の国は、
人間の遺伝子までいじくったのか、
そんな悪口言われても、
気にせず戦場駆け抜ける。
ジャンヌ・ダルクな気分の私。
やがて和平がなりました。
家に帰宅した私、
両親は私を抱きしめておんおん泣きます。
テレビで見てたよ。
テレビで見てた。
よく戦ってくれたね偉かったよ。
私はほんの少しでも、
愛を返せたようなんです。
もう、一生バケモノでいいや。
そう思っていたんですけどね。
人間の姿に戻りました。
寝て起きたらそうなっていたんです。
久しぶりの高校通学、
片思いだったあの人が
私の方を向いて赤面。
近づいて話しかけてきました。
話に聞くと、どうやらどうやら、
彼の父は軍のお偉いさん。
私の活躍を、彼は父から聞いたようなんです。
お友達になりました。
私は感激、胸がドキドキ、ドキドキ、
生きていて良かったなって、
本当に思うんです。
バケモノになって良かったなって、
心底思う、私の髪を、
初夏の風が生暖かく、撫でてくれました。
ハッピーエンド調にしてみました。