〜大好きな婚約者(元・兄)を横取りされたので奪い返して絶対に結婚してやります〜
私はブラコンだ。それも、極度の。自分でも自覚するほどの。
四六時中お兄ちゃんの隣にいたいし、なんなら今もお兄ちゃんと毎日にお風呂に入っている。
学校の授業までは一緒に受けられないけれど、休み時間や放課後はお兄ちゃんのクラスに行っているし、部活も運動は苦手だけど陸上部入ったし。
これからもお兄ちゃんと一緒に生きていくつもりだった。
——けど、ある冬、雪で滑りやすくなっていたのかスクールバスが横転して炎上。私はお兄ちゃんと共に焼死した。
もっとお兄ちゃんといたかったけど、でもお兄ちゃんと一緒に死ねたならいいかな——
死んだら何になるんだろうとか考えた時期もあった。例えば、視界が真っ暗になって何も感じなくなるとか、天国や地獄にいくとか——例えば、転生とか。
*
妙に身体が軽い。が、動きにくい。手も小さいし、どことなく視界も低いような。しかも、目の前に広がるのは豪華絢爛な景色——
「ここはどこ?」
声に出してみて、自分の声が幼いことに気づいた。ちょうど近くに鏡がある。覗いてみよう。
「あぇ?」
映った自分の姿を見て、思わず舌足らずな声が出た。
美幼女。
ロココ時代の貴族が着るようなドレス。
金髪のロング縦カール。
まるで中世ヨーロッパのような世界。
つまり、転生。
「ぅう……」
お兄ちゃんと一緒なら、例え地獄にでも行くつもりだったのに。まさか、一人?
——まさか。
悲観に暮れ一人いじいじと金髪をいじっていると、扉が開いてメイドらしき女性が入ってくる。
「ドロシー様、ベネデット様がおいでです」
案内されるがままに別の部屋へと移動する。すると、そこにいたのは。
(お兄ちゃん?)
目の前にいる私——ドロシーと同じか少し歳上の男児、ベネデットの風貌が、幼少期の頃の兄にそっくりなのだ。思わずお兄ちゃん、と呼びそうになったが寸でのところで押し留める。なにしろここは転生先なのだし、人違いだ絶対。……それに。
(隣の子は誰なの?)
私と同じくらいの年齢、青いドレス、プラチナブロンドの髪——ドロシーに劣らないほどの風貌。先に着いていたのか、ベネデットと楽しげに話している。
と、先程からそわそわとドレスの裾を弄っていた彼女が真剣な顔つきになる。そして、言った。
「ベネデット様、あたくしと婚約してくださいませ」
——は? どういうこと?
できれば毎日投稿する予定です。小説を書くのは初めてなので誤字脱字等あるかもしれません。よろしければブクマ、応援、感想等おねがいします。