勇者
勇者視点の物語です
俺たちの前から『アイツ』が消えたのはちょっと前、ほんの1時間前だ…。
俺たちは勇者として地球から召喚された勇者だ。
召喚された直後にそのことを伝えられたあと俺たちは魔王に襲われた。魔王は俺たちを圧倒的な力で倒そうとしてきた。俺たちを召喚した人達が頑張って戦っていた中、俺たちも戦おうと神様から貰った力を遠くから使って魔王の足止めをしようとした。
そんな中『アイツ』は異常だった。まるで心が壊れきり、感情を失っているかのような感じだった。
『アイツ』はいきなり魔王に飛び掛りなにか結界のようなものを貼った。中に自分と魔王を閉じ込めたまま。その後あいつの姿は謎の結界のようなものによって見えなかったが…その結界のようなものが途切れたあと、俺たちはとんでもない光景を見た。
胸に剣を刺されて死んでいる『アイツ』の姿だった。しかも、その姿がどんどんと光の粒子となって消えていった。異様な光景だった。まるで消滅してるような…そんな感じだった。俺たちを読んだヤツらはものすごい泣きながら怒って魔王に飛びかかった。が、軽々とかわされそのまま魔王を去っていった。これを1部の市民たちがみていたから隠蔽は不可能であり、人間の国家で盛大に葬儀を行うそうだ。魔王を命懸けで退けた英雄として。
よく分からない。俺も今少々混乱しているみたいだ。この世界では命がとても軽いことを知って混乱し、何より簡単に勇者と呼ばれている俺たちも死ぬ事だ。それが1番怖かった。
何より恐ろしいのが『アイツ』が消えていく際、とても幸せそうな顔をしていることだ。
理不尽に殺されたはずなのになぜあんなに幸せそうな顔をできるのかが怖い。怖い。怖い。怖い。
『アイツ』の名前は吉村加奈。
いつも明るいし、可愛かった。
地球では俺と仲が良かった…いじめられっ子だ。
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