エピローグ
ついに飛行船が完成した。
そして最初の一隻が半径500kmを調査して岩山の頂きや谷間の壁など魔物が少ない場所をいくつか見つけた。
今はそこに基地を建設している途中だ。
それからゴーレム達の連絡でその付近に建物らしきものがあると報告があった。
遠隔操作は距離が離れれば離れるほど負担が大きくのなるので、これから建設中の基地へ向かいそれからどう調査するか決める。
「よし、出発の準備はできたな?」
「うふふ、大丈夫ですよ」
「ッハ! 準備万端であります!」
「……また高いところ……はぁ~」
「ヒャッハー! 新鮮な掘削だぁぁ!!」
「調査だから! 掘削はしないよ!」
飛行船に乗るために中央の城へ向かう。
飛行船を係留するために中央の上半分が消滅した城に係留塔を建設した。
タワーの頂点に飛行船の先端がつながっている。
そしてちょっとしたの部分に出入口があり、飛行船内の通路を通って操縦室へと行く。
皆が続々と大型の飛行船に乗っていく。
タワーの上から外を眺めると真下には要塞砲がいくつもあり、夜になるとスポットライトが周囲を照らす。
「モィモィ~!!」と手を振るモーアー達。
「ああ、行ってくる」
モーアー達は高いところが苦手なのか飛行船には乗ろうとしない。
この都市でゴーレム達と農業をして生きていくようだ。
ふと、これから行く地平線を見る。
あの地平線の向こうには何があるのだろう?
滅びのエルフ達が精鋭化して世界を呪っているかもしれない。
群れをなす魔物達が巨大文明を発展させていたら狂気だ。
あるいは朽ちた寺院では高僧の魂が来訪者の精神を汚染して繋ぎ止め――不死院の魔人が襲わってくるかもしれない。
北の王都には不死の王が死ぬこともできずに徘徊している可能性は十分にある。
今までの冒険と称したことは冒険ですらない――資源開発だと思い知るだろう。
そして今までの開発は先人たちの正解をなぞっていたにすぎない。
この世界の魔法の法則に合わせた本当の開発をこれから始めるんだ。
そう、これまでやってきたことは理不尽で不条理の世界で生きる権利を得ただけだったんだ。
この工場都市から外へ出なくなって、どれぐらいの月日がたった?
死が横たわる世界へ一歩踏み出すのは勇気がいる。
正直言って怖いし、できれば出たくない。
ああ、だからこそご先祖たちの、先人たちの知恵と行動力には驚かされる。
ジャングルの奥地で木と石を使って火を起し――獣を退けた時から人類の冒険が始まった。
銅を、鉄を、身に纏って未知を切り開く。
前へ、前へ。
灼熱の砂漠を越えて、険しい山脈を踏破して、大海原を渡り。
未踏の地を渡り歩いた。
どこまでも、どこまでも。
旅が終わり定住したら今度は錬金術師達が未知の探索を始めた。
そう、これはDNAだ。
人類に刻まれたDNAがそうさせる。
今、心の奥底でワクワクしている。
「はーやーくー! 行きますよー!」
「ああ、今行くよ」
だから今日――
初めて――
――本当の冒険へ出る。
おしまい。
本作品はこれにておしまいとなります。
本小説のテーマは「現代知識」と「開発」です。
そして次の展開つまりテーマがどうしても「脱出」、「冒険」あるいは「異文化交流」に変わります。
それは蛇足というものです。
続編を作る予定は今の所ありませんが、何作品か別の物語を執筆して文章力が上がったら挑戦するかもしれません。
その時は何らかの形で告知をしたいと思います。
次作はそうですね。異世界テンプレって書いたことないので書いてみたいですね。
最後まで読んで頂き本当に、本当に、ありがとうございました。
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