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族・月と太陽の交差点に潜む秘密  作者: ジャポニカダージリン
第2章
95/117

フラペチーノ

トレーを受け取り、1階はほぼ販売専用フロアになっているので店内奥の階段を登り、2階の飲食フロアに行くと、

「うおぉ、凄いな」


「人がたくさん...」


俺がため息をつき、あとからついてきたリカちゃんも驚きの声をあげる。

ニ回の外側の壁も全面ガラス張りになっており、眼下にスクランブル交差点を見下ろすことができる作りになっている。

世界一混み合うと言われているスクランブル交差点の上からの景色は地上とはまた違い、永遠に変わり続ける人々の行き交いを自分たちはその慌ただしさに巻き込まれずに俯瞰して眺めることができる。

これだけで野球場などVIP席みたいに自分達だけが特別な世界にいるような感覚に陥ってくる。

センスあるぜ、スターバックス。

ガラスの前のカウンターに丁度2席空いてるところがあったので俺が左、リカちゃんが右側に座るかたちで腰をつけ、俺はリカちゃんと自分の前にそれぞれフラペチーノのカップを置いてやる。


「この席しか空いてなかったけどリカちゃんは大丈夫?下の人達みて酔ったりしない?」

一応さっきのことが気になったので俺はリカちゃんにそう話しかけると、


「あ、はい、ここから見てる分には全然、店内も思ったより静かでもうすっかり元に戻りました」

とどうやら体調は回復したみたいだ。

ほらな、こういうのは行けば大体大丈夫なんだよ、それをセナのやつが過剰に心配とかするから俺が薄情みたいな感じになるんだ。女のああいう心配性って何なのかね、俺には点数稼ぎに見えるわけよ、私達は心配し合う程いい関係なのよってさ。社交辞令みたいな?

そんな事を思うわけだがここで口に出しても仕方ない、わざわざ雰囲気悪くするのも何だしね、少しむっとしたので俺は目の前の抹茶フラペチーノを持ち上げ、ストローに口をつけてすすってみる。

うわー、甘そうだな。

ずずず....


「ん?うま!!思ったより美味いぞこれ!!」


「あ、それ美味しいですよね、抹茶の渋みが効いてて見た目ほど甘くなくて!!」

思わず口から漏れた俺の感想に、どうやら以前飲んだことあるらしいリカちゃんが足りてない俺の感想を補正してくれる。


「確かにうまい、これなら全然余裕で飲めるよ、勉強しながらとかだと脳を休めるのに丁度いい甘さかも」


「ですよね!私もスタバで友達と勉強したりする時にそれよく飲むんです!」


「へぇ、そなんだ……集中出来んのこんな賑やかなところで?」


「図書館もいいんですけど、学校の宿題みたいなちょっとした勉強とかだとワイワイ話しながら出来るからよくスタバを活用してるんです」


「そなんだ……」

ふーんとフラペチーノを喉に流し込みながら返事を返す俺だが……ちょっと羨ましいなリカちゃんめ、、わかるよ、女子高生だもん、友達だってたくさんいるさ。けど、楽しそうに学校の話をされると少し嫉妬しちゃうな、いいな〜高校生、キラキラしてて。

リカちゃんを恋愛対象に選ぼうなんて気持ちはさらさらない。けどやっぱり彼女とのこういった距離感を感じると落ち込んでしまう俺がいる……俺がいる……


「リカさんは勉強以外でもスターバックスによくくるんですか?」

俺が落ち込みかけた時に、セナがリカちゃんに話しかける。

そういやこいつもスタバ初めてだもんな。

確かに気になる、この麗しの少女リカちゃんが普段どのくらいの頻度でスタバに行くのか、ってかリカちゃんの事なら全て知りたい。


「私は友達と時々くるくらいです、親友の子が好きでそれに付き合うって感じですけど……」


パンプキンフラペチーノを啜りながらリカちゃんは答える。

へぇ、この間話してた親友かな?その付き合いでスタバにくるって事か、


「その親友ってこの間話されてた方ですよね?」


胸ポケのセナにも以前の親友の話は聞こえていたようで、今は普通に会話出来るのでリカちゃんの親友に興味を持ったらしいセナは堂々とリカちゃんに質問する。めんどくさ、何故わざわざ関係のない人間の話にまで興味を広げるかな、お前会う事もないじゃん……

そう思う俺なのだが、


「はい!!リコって名前の子で入学した時丁度席が一つ前で話しかけてくれたんですけど、凄く大人びてて、私に色々な事を教えてくれるんです!」


セナの質問にリカちゃんは赤裸々と答える、目を輝かせながら。

ふむ、リカちゃんの親友か、きっと彼女に釣り合う美少女なんだろうな、そんな事を考えると俺も少しその親友に興味が湧いてくる。

なので、


「そのリコって子は何を教えてくれるんだ?」


そう質問すると、


「彼女、凄く大人なんです。お化粧のやり方とか、人との付き合いの考え方とか凄く深くて尊敬しちゃうんです」


っとリカちゃんはほんとに感心したように語る。

へぇ、JKが人との付き合い方ねぇ……

俺は大人というワードに少しムッとしてしまう。彼女にあてつけのような悪意はないと断言できるのだが、同じ大人として意識せざるを得ないな


「人との付き合い方って例えば?」


「えーっと、人には敬意を払わないといけないんだってよく言ってます。その子、誰とでも仲良くなっちゃうんですけど、なんでって聞くと『私はみんなの心に触れたいんだ』って言うんです、これって凄くないですか?」


ふむ、何が凄いのかわからん。

確かに凄いなとだけ返しながら俺は思う。

これって浅い奴によくあるあれだよな、人の意見を尊重したいとかなんとか。

そう言う事言う奴に限ってすぐ人を見限ったり、内心人を見下したりするんだよな、自分だけが聖人面して。

俺は今まで外面は取り繕いながらも人を見下す人間の汚い部分を嫌というほど感じ続けてきた。

だからリカちゃんの親友の言う、人に敬意を持てとかいう理想論にはまるでシンデレラのストーリーを信じるかのような馬鹿げた妄想に思えてしまう。

リカちゃんを見てても思うが、確かに美人は性格がいい子が多いい。けどそれは第一に外見が優れているという圧倒的なアドバンテージがあるからじゃないか?

外見が優れている人間には人は無条件に好意や敬意を抱く、だからその分人を愛せるんじゃなかろうか?

愛を注ぐ相手にわざわざ敵対する必要がないから。

しかし外見が優れない俺みたいな存在はどうだ?

まず初めに嫌悪や見下しから入られ、おまけに頭も悪いのでいよいよ軽蔑にまで落ちていく。

そんな太刀打ち出来ない針の寧ろのような悪意に晒されながらどうやって人に敬意を抱けってんだ……

けど、相手は女子高生だし、このまま素直な気持ちを吐露していいものか、そう考えてると、


「リカさんの御友人は素晴らしい考えをお持ちなんですね!素敵です、人々の心を感じようとする事が出来るなんて!」

セナがそんなふうによいしょするもんだから、


「そうなんです!私、彼女に会うまでいっつも自分の事しか考えれてなくて、他人の事をあーでもないこーでもないって批評ばかりしていて、けどリコのおかげであーだこーだ思うのは自分の心がせまいからなんだって気づいたんです!」


「わかります!やっぱり大事なのは心ですよね!」


「そう、そうなんです!!」


と、セナとリカちゃんの人間論は白熱していきまたまた俺はかやの外空気に……

そうなんだよな、二人が話しだすと入れなくなってくんだよな。

それになんだが胸が苦しくなってきた……甘いものを摂取しなければ……

除外感を感じた俺は抹茶フラペチーノを啜りながら、眼科のスクランブル交差点を歩く男達を見ながら思う、

俺達男は苦労するよな、女ってのはあくまで綺麗事に固執したい生き物なんだとさと。



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