告白?
「なんでですか…?」
俺が振り向いた先でリカちゃんは疑いの眼差しを向けながら再び尋ねる。
何故、俺がここにいるのかと。
「なんでって、多分、言ってもわからないよ」
この子はセナ達が生きてるって事を理解できない。
だから、これ以上説明のしようがない。
さっきの男みたいに適当な返しもリカちゃんにはしたくない。
だから、そう言うしかないのだ。これが辛い。
「ほんとの、ほんとの事を教えてください。なんで健太郎さんは私が恐怖に陥った時に、助けてくれたんですか?まるで映画に出てくる人達みたいに……」
「だから、説明できないんだって、どう言ってもリカちゃんには信じられない話だから……」
「そんなの……ずるいです……」
そう言ってリカちゃんは俺から目を逸らす。
そして気まずい空気が二人の間に流れる。
いやいや、どうすりゃいいんだよ、言っても信じてくれない相手にほんとの事を言えって言われてもほんとの事を話すと馬鹿にするなと怒られる。
それこそ俺にはできる男みたいに適当にはぐらかすことも都合のいい事言ってリカちゃんを喜ばせるような頭も持ち合わせていない。
これはまずい……
俺が返答に困っている間、刻一刻とリカちゃんの心が俺から離れていくのがわかる、なんとかせねば、しかしどうすれば……
するとズキ、
いて、俺の胸元に鋭い痛みが走る。
おそらくセナが俺の胸に正拳突きか何かを放ったんだ。
その痛みで俺の頭は吹っ切れる。
よし、もう一度話すか。
「言ったろ?フィギュアが教えてくれるって。リカちゃんが持って行ったハクリューが教えてくれたんだって……あっ!?」
説明したところで俺は大事な事を思い出す。
ハクリューとヤドランだ!!
まだバンの中にあいつら残っているよ
「えっ!?どう言う……」
「ちょっと悪い、リカちゃん、ぬいぐるみ達を車の中に置いてきてる、ちょっと待ってて!!」
さっきまでバンの周辺にいた警察二人は男をパトカーに連れ込むために歩いて行き、バンには誰もいない。
あいつらを連れ戻すには今がチャンスだ。
このまま警察やらレッカー車やらがきたらどんどん連れ戻しにくくなるからな。
そう言って俺がリカちゃんにごめんと謝るとリカちゃんは驚いた表情を見せるが、邪魔はしないでくれる。
俺はバンに振り向き、ドアが空いているバンに向かって話しかける。
「悪い、お前ら、今動けるか?」
「全く……まあ思い出してくれたからよしとするけど、僕らの事を忘れるなんて……」
「健太郎、ひどいお……」
口々に文句を垂れながらハクリューとヤドランはバンの床をつたい俺の方にやってくる。
悪い悪いと謝りながら俺は二人を両手に持ち、再びリカちゃんの方を振り返る。
すると、口をあんぐり開けたリカちゃんが、
「えっ……今そのぬいぐるみ喋って……」
と、驚いている。えっ、今の見えてたの?
「あ、あれ?リカちゃんこいつらの声聞こえた……?」
嘘だろ、リカちゃんにはこいつらの声届かないはずなのに……
「わ、私の聞き間違いでしょうか?確かに今そのぬいぐるみが喋ってたような……」
「ようやく僕らの声が聞こえるようになったみたいだね、リカ君」
ハクリューが俺の右手からニョロんと首を立ててリカちゃんに
言うと、
「え、嘘、嘘、だってぬいぐるみが……えぇ!?」
リカちゃんが馬鹿みたいに素っ頓狂な驚き声を上げる。
リカちゃんがこんなに動揺するの初めて見たな。それほど驚きが大きいんだな……
「フッ、ようやくわかってくれたかな?健太郎の言ってた事が。何を隠そうと僕がリカ君の居場所を君のスマホから知らせたから健太郎は君を救い出す事が出来たんだよ」
ハクリューはリカちゃんの驚き反応には構わず会話を続ける。
「えっ、そんな、だってこれ、何かのAIとかじゃ……」
「AIか本物か、それはもう君はわかってるはずだよ、つまり、疑う事事態が無意味だって事なんだよ」
「え、ちょっと待って、お兄ちゃん、これどう言う事?」
リカちゃんは俺にもの凄い剣幕で訪ねてくる。
お兄ちゃん、ですか……うむ……
「だから、言ったろ?こいつら生きてるんだって、信じられないかもしれないけど、俺を介すとなんだか人形達が喋れるようになるらしいんだよ」
「そんな、そんなの、あり得ない……だって、人形が……」
「リカさん、事実は事実として受け入れなければいけませんよ!」
そう言ってセナが胸ポケットから頭を出した。
「え!?これって昼間のフィギュア……、ええっ!?」
「もう、まだ信じられませんか?ほら、私ってこんなこともできるんですよ?」
そう言ってセナは両手をあげたり敬礼のポーズしたりなど、身振り手振りで自信の自由を表現している。
ここまですれば流石のリカちゃんも信じるかなと思いリカちゃんを見る俺だが、
「いやいやいや、そんな事あり得ない……だって、だって、フィギュアですよ、ああ、きっとこれは夢だわ、私夢の中にいるんだ、そっか」
などと言ってまだ信じようとしない。
うん、わかるよその気持ち、俺もそうだった。
何言われても信じる気起きないんだよな、セナが何しても。
けれど、セナが言う通り、事実は事実だ。そして声が聞こえる以上ちゃんと納得してもらわなければならないな
「だから言ってるだろ?ほんとなんだって、別にフィギュアが好きでこいつらといるわけじゃないんだよ俺は」
「はっ!?」
やべ、セナがイラつき声を出して今のは言葉選びミスったと思ったが、今はそれどころじゃない、俺の言葉を聞いたリカちゃんは全身から力が抜けたようにふらつき倒れかかっている
「大丈夫か……?」
俺はすぐさま駆け寄り、リカちゃんの肩に手を回し、脱力したリカちゃんを支える。
「……大丈夫です」
「そっか、まあ、信じられないかもしれないけど、事実は事実なんだ、少なくとも俺にとっては」
「……いえ、信じます……」
「ん?」
「信じます……」
「えっ信じてくれるの?」
「はい、だって……私を助けてくれたから……」
「そうか!」
俯いてるのとゴニョゴニョ喋ってるのと周囲の雑音で最後らへん何言ってるのかよく聞き取れないけどどうやらリカちゃんは信じてくれるらしい。
これは吉報だぞ、やっとリカちゃんは俺を変態フィギュア愛好家からマジもんでヤバいやつにレッテルのランクを上げてくれるらしい。
信じるってんだからこれはリカちゃんも仲間だぜ。
俺はそうかそうかと念願の夢が叶ったような心地でなんだも頷く。やったー、やっと理解者が現れた!嬉しい!ハッピー!!俺は一人じゃないぞ!!
ドン引きするリカちゃんの隣で俺がそうやってうんうんと喜びを噛み締めていると、
「コホン、では、リカさん。私から自己紹介させてもらいますね」
と胸ポケットから咳をつきながらセナが自己紹介を始めた。
律儀なやっちゃなー




