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族・月と太陽の交差点に潜む秘密  作者: ジャポニカダージリン
第2章
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向かう。

アリスに先導してもらう形で俺は改札を通って山手線内回りに乗り込む。

車内の中は人でいっぱいで、俺とアリスはかろうじて余っている吊り革を掴んで並んで立つ。


「凄い人だな」


「ですね、皆んな花火を観に行く人達みたいですね」

アリスがそう言って周囲をみまわすと浴衣を着た人も多い。

俺達と同じで皆んな花火大会目的なんだな。友達同士や和服を着た彼氏に寄り添って立つ浴衣姿の女性達が色鮮やかで見てて綺麗だ。

通勤とかじゃなく、自分も同じ目的でこの電車を利用してるんだと思うとこの満員電車もいつもと違ってあまり苦じゃなくなるから不思議だ。


「これは山手線じゃないな」


「どういう事ですか?」

俺の発言にキョトンと首を傾げてアリスは尋ねてくる。


「俺がいつも使う山手線の時間帯は利用者が通勤者や学生達ばかりで皆んな黒一色って感じだけど、今は私服や浴衣だったりでまるで中身は別世界だなって」


「あ〜、確かに。それに朝はなんだかもっとギスギスしてますよね」


「きっと皆んな出勤するのが嫌なんだな。嫌々な人が集まるから空気もギスギスしてくる。けど今は否定的な気持ちで乗ってる人は少ないから雰囲気も和やかになるんだろうな」


「そっか、じゃあ皆んな仕事や学校が楽しみになれば朝の通学も苦じゃなくなるのかな……」

アリスは俯きながらそう呟く。

何か少し深刻な表情をしながら。


「どうかした?」


「えっ?」


「なんか急に元気がなくなった様な気がしたからさ」


「そ、そうですか?そんな事ないですよ?ほら!」

そう言って綺麗に並んだ歯を出して笑顔をむけてくるアリス。

どうやら俺の気のせいだったみたいだ。

しかしそこで会話が途絶え、少し沈黙が続き、何か話題はないかと考え込んでいるとアリスが、

「あの……覚えてませんか?」


「はい?何を?」

突然そう尋ねられ、なんの事か分からず聞き返した俺だったが、アリスは、


「あ、やっぱりなんでもないです……!」

そう言って吊革ん掴んでない左の手のひらをぶんぶんふってやっぱりいいやと言う。

なんだろ?


「何なに?気になるじゃん?」


「あ、そ……そう、さっきの話、健太郎さんも仕事に向かうのが嫌なんですか?」

ああ、なんだ、そんな事か、ネガティブな内容だから言うのを躊躇ってたのかな?

けど学生だから社会人の事とか気になるんだろう。

ならば俺が大人としてリアルを教えてやらんとだな。


「はっきり言って嫌だよ」


「そうなんですか?」


「ああ、夜ふかしすれば朝辛いし、会社に行けば上司にやたらと気を使うしそれに……」


「それに?」


「や、これはいいや」

俺は仕事出来ないから周囲に馬鹿にされるし。

そう言いかけたが、やめた。

それを言うとなんだかこの子の中で自分が情けない存在になってしまいそうだったから。


「そっか……社会人ってやっぱり大変なんですね。私はバイトだから行きたい日とかもシフトで自由に選べるし学生だから皆んな優しくしてくれるから……」


俺の話を聞いた後、がっかりしたように下を向くアリス。

アリスはバイト先が楽しいみたいだ。きっといい環境で働けてるんだろう。

こんな可愛い子だし真面目そうだから自分なんかと違ってどこでも楽しくやってけるんだろう。


「けどさ……」


「はい?」


「自分の仕事で仲間の力になれたり感謝されたりすると凄く嬉しいよ。仕事が出来る様になって頼られたりするともっと楽しかなるのかもしれないな」

俺はハクリューのサポートのおかげで仕事が上手くいきはじめてから、最近感じ始めた事をアリスに話す。

確かに気を使うし怒られたりもするけど、考えてみると嫌な事ばかりでもないんだよな。


「そうなんですか?」


「そうそう、けどそれは仕事出来る事が大前提だけどね。ま、アリスちゃんならきっと大丈夫だと思うよ」


「そっか〜、やっぱり仕事を覚えるのが大事なんですね!ありがとうございます!」


そう言ってアリスの顔に笑顔が戻る。

そのまだあどけなさの残る無垢な笑顔を観て俺も嬉しくなってくる。

こんな前向きな事が言えたのもハクリューのおかげだな。

早く迎えにいってやらないと。


「私も早く健太郎さんみたいに出来る大人にならないと!」


そう言って嬉しそうに感謝を述べるアリス。

あれ?アリスの中で勝手に出来る人になっちゃってるけどいいや、今はアリスの期待に応えてあげる事の方が大事だ。


「おうよ!」

ハクリューの事など忘れて力強く答える俺。

周囲のどんなふうな思われてるんだろうな。


「次は秋葉原〜秋葉原〜」

車内に学びしたアナウンスが流れる。

一同を乗せた電車は秋葉原へ。

「次、おります!」


「わかった」


電車が停止し、ドアが開くと、大量の乗車客に押し出されるようにして俺達は電車から降りた。



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