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族・月と太陽の交差点に潜む秘密  作者: ジャポニカダージリン
第2章
67/117

ショッピング

江戸川花火大会は七時から。

 お昼を食べたばかりの俺達にはしばらく時間があるので、それまでセナ達と秋葉原で時間を潰すことにした。

セナが悟空さん達に会いたいと言うのでゲームセンターに行ってみたけど台には既に悟空さんもピッコロさんの姿も見当たらなかった。

 もう誰かがとってちゃったんだろうな。

 普通に考えればそんなんだが、フィギュア泥棒との一件を思いだした俺は一応の確認のため、悟空さん達が台に今立っている緑と黒の市松模様の羽織を着た少年のフィギュアに話しかけてみる。

「おーい!」

 返事がない、ただのフィギュアのようだ。


 少年は始めは何かの勘違いだろうと構えた刀を下ろさずに俺の声を聞き流している風だったけど、セナが声をかけるやいなや両目を見開きわたわたと刀を落としそうになりながら驚く。

「驚いた、お兄さん僕の声が聞こえるんですか?」


「聞こえるんだよこれが」


「すみません、僕らの声が聞こえる人間がいるなんて思ってもみなかったもんですから」

 そう言いながら少年は漆黒の刀を鞘に収め、ペコリと頭を下げる。とても物腰の柔らかいなかなかの好青年じゃないか。


「ちょっと聞きたいんだけどさ、この台に前いた人達ってどうなったか知ってる?」


「前いた人達って悟空さんとピッコロさんの事ですか?あの二人ならいい人と巡り会えたようで1週間ほど前に俺と入れ替わりで出て行っちゃいましたけど」


「あー、そうなんだ、わかったよ、ありがと」

 俺がそういって話を終えようとする。

 少年は頭の上にハテナマークを浮かべるようにして傾けている。

 もう用事も済んだのでゲーセンを後にしようと台に背を向けると、


「あの、もしかして、お兄さんのお名前って健太郎ささんじゃないですか!?」

 引き止めるように市松模様の少年が話しかけてくる。


「そうだけど?」


「うわー!! 悟空さん達から聞いたんですけど、お兄さんがこのゲームセンターの仲間達を救ってくれたんですよね?」


ほう、知っているのか少年。


「そうだ」


 実際はボコボコにされてた所を通りすがりの爺さんに助けて貰っただけなんだけど、わざわざ自分の評価を落とす必要もないだろう。

 俺はそうだと素直に首肯する。


「うわーカッコいいな! ありがとうございます! お兄さんのおかげでここのゲームセンターが平和になったって皆感謝してるです」


「ははは!そうかそうか、ま、俺みたいになれなくても君も頑張りなよ!その刀で悪い奴らを懲らしめてやりなさい」


「はい! 頑張ります! それじゃあお元気で!」

 そう言って少年は店員さんに見つからないように手をブンブンと振りながら俺とセナを台からお見送りしてくれた。

 

 俺達はゲームセンターの閉まることのほとんどない自動ドアを抜け、通りに出る。

 するとセナが胸ポケットから顔を出して言う。


「あの人、炭治郎さんって言ってましたね。なんだかとっても気持ちのいいかたでしたね!」

 

「……そうだな。あんなに感動してくれて悪い気しないよな」

 へそ曲がりの俺は一瞬同意しようか考えこむが、確かにセナの言う通り、とても気持ちのいい少年だった。

 爽やかな人ってああいう感じなのかもしれないな。


「もしかしたらあの方も悟空さん達みたいな凄い人気者になっちゃうのかもしれませんね?」


「はは、まさかな」

 爽やかなのは認めるけどさ、なんのキャラクターかは知らないけどドラゴンボールみたいな人気作品ではないだろう。

 俺はセナの発言に乾いた笑いを返しておいた。


 ゲーセンを出た後、まだまだ時間のある俺達は次に駅前のヨドバシカメラに行ってブラブラと最新の家電製品を眺めて時間を潰す。たまにくると知らぬ間に掃除機やレンジとかが進化してて見てるだけでも楽しかったりするのだ。

 なになに、最近のシンクには自動ゴミ処理機の機能が付いてるものもあるのか、便利そうだな。

 そういやおふくろが食器洗うときのゴム手袋が破れたって言ってたっけ。

 シンクで手袋のことを思い出した俺はシンクの近くにかけられている食器洗い用のゴム手袋を一つ購入。

 そういや優子が最近ポットのスイッチが入りにくいって言ってたな。

 それも思い出したのでお盆になった事だし、リカちゃんを怒らせてしまった贖罪の意も込めて棚に展示されてる湯沸かし器を買っていってやろうとするが、店員に聞くと展示品しかないらしい。

綺麗だし、小型の割にステンレスで頑丈そうだから梱包しなきゃバックに入りそうで逆に好都合。って事でこれにしよう。


 レジで会計を済ませた後、今度はセナが行きたいってんで急かされるように秋葉原駅の高架下まで歩いていく。

 そんなところに何があるのかとしぶしぶ高架下に入ってみると、壁や柱が綺麗な白色にコーティングされた長い空間になっている。

 柔らかな温白色で照らされた真っ白な壁からはチークな雰囲気が醸し出されている。舗装も綺麗になされていて、高架下なのに高級デパートにきたような錯覚に陥る。

 へーこんなところあったんだ。

 近くの看板に目を向けると2k540 AKI-OKA ARTISANって名前の通りらしい。

 変な名前だ。

 通りに沿って並ぶお店はブティックやら絵画店やら皆お洒落な感じでなるほど色物好きのセナがきたがった理由もわかると言うものである。

 

 何か好きなもの買ってやるというと、20店舗近くセナの買い物という冷やかしに付き合わされる羽目になってしまった。

 しかも一店舗ずつ入念にチェックしながらねりうごくようにして。

 見てるだけで何が面白いのかね。俺は一度セナに文句をいってみたが、「いいじゃないですか、健太郎さんも暇なんでしょ」と半ギレで言われたのでそれ以降は黙ってつき従った。

 これなら家でゴロゴロしてる方が楽しいよ。

 

 通りを出て流石に疲れたので俺達は以前入ったドトールに向かう。

 セナが今日はスターバックスですか?っと聞いてきたけどしんどすぎる俺は「疲れすぎて無理」といって強引にドトールに入る。

 それ以降セナが不機嫌になった気がするけど、そんなにスタバが良かったのかな?

 とりあえずアイスコーヒーを二つ頼んで受け取った後、テーブルに腰を下ろしてみると時間は既に17時前。 

 ヒェ〜ッ、2時間近く立ちっぱなしだったの俺……

 そんな俺の苦労も気にせず、不機嫌にそっぽ向いて座っているセナ。なんなのコイツほんと。

 しかし何か話さなければ場が持たん。


「悟空さん達に会えなかったな」

 俺がそういうとセナはようやく口を開く。かなりぶっきらぼうに目を合わさず。


「そうですね」


「そうですねってお前も会いたかったんじゃなかったのかよ?」


「いいんですよ。私達フィギュは自分を気に入ってくれた持ち主に出会って持ち帰ってもらう為に存在してるんです。だから会えないのは少し寂しいですけど、それ以上に喜びの気持ちの方が大きいんです」

 へー言われてみるとそうだな。それぞれの存在には存在意義ってのがあるのかもしれないな。

 目の前のコーヒーだって美味しく飲んでもらうのが存在意義で喜びだったりするのかね。

 そう思いながらアイスコーヒーのストローに口をつけ、温まった体を覚ますように一気に吸い上げる。

 ふぅ、アイスコーヒーの存在意義が身体を冷やす事なのは間違いなさそうだな。


「けどやっぱり残念だな、セナ達が良ければ花火大会悟空さん達も誘おうかと思ってたんだけどな」


「えっ、そうだったんですか?」


「うん。セナも悟空さん達がいた方がいいだろ? 仲良さそうだったしそっちの方がセナも楽しいかなってさ」


「健太郎さん……」

 そう言ってやっと俺の方に顔を向けたセナの大きな瞳は潤んだように澄んで見える。

 あれ、俺また何かやっちゃいました?


「私は健太郎さんと二人きりでも構わないですよ」


「オイラももいるんだお」

 セナがそういうとカバンの中のヤドランが主張する。


「あら、そういえばそうでしたね、フフ」


「ひどいんだおー」

 どうやらセナも機嫌を直したらしく、セナの顔からは笑顔が溢れている。よっぽど嬉しかったんだな。

ま、セナもああは言うけどやっぱり会いたかったんだろうな。

 

 コーヒーを飲んで一息ついた俺はポケットに携帯をしまおうとポケットに手を突っ込むと、何かカサカサしたものが指先に当たる感触を感じる。レシートでも入れてたかな?

 そう思って取り出してみると、さっき店員さんに手渡されたメモ用紙。

 すっかり忘れてたな。意味がわからないけど無視しとくのも悪いから一応登録しときますか。

 セナはヤドランと花火の話で盛り上がってるし、集団会話ではコミュ障の俺は一人特にやることもないのでメモ用紙に書いてあるラインIDを打ち込み彼女を割り当てる。

『どうも、健太郎です』

 それだけ送信して、再び携帯をポケットに入れようとすると、携帯が震える。


『嬉しいです! お返事貰えると思ってなかったんで!』

 店員さんからだ。早!! LINE開いてたのかな? 数秒も経ってないぞ。

『連絡しないのもなんなので一応連絡しました』

 そう返すとまた秒でLINEは返ってくる。


『それでも嬉しいです!!』


『健太郎さんって言うんですよね? 私も健太郎さんって呼んでもいいですか?』


『さっきは余計なことしてしまってすみませんでした』


 どうやら彼女はさっきの事で謝りたかったんだということがわかった。それで俺にLINE教えてくれたのね。


『いいよ気にしなくて、店員さんのせいじゃないから』

 俺はそう返す。きっかけは店員さんだけど、遅かれ速かれリカちゃんには嫌われてただろう。そう思ったから送った内容は本当の気持ちだ。

 しかし、店員さんのLINEはそこで終わらなかった。


『ありがとうございます!!』


『優しいんですね……』


『アリスです! 私のことはアリスって呼んでください!』


『突然なんですけど、健太郎さんはこの後何しますか?』

 このアリスという店員さんからは矢継ぎ早にLINEが送られてくる。

 なんぞこれ? 俺が一つの質問に対して返信文を考えている間に話題が変わっていってしまう感じだ。

 女の子のLINEってこんなだっけ?

 俺の知ってる女性からのLINEというのは俺が秒で返しても数日おきに短文で一通返されるといった非常に奥ゆかしいものがオーソドックスなわけで、俺はアリスのLINEについていけずに焦る。とりあえず最後の文に答えるか。


『花火に行く予定です』

 俺はそれだけ打ち込む。


『もしかして江戸川花火ですか?』


『誰とですか?』


『もしかしてリカさんと仲直り出来たんですか?』

 そっか、リカちゃんの事やっぱ気にしてくれてるんだな。


『いえ、昨日のフィギュア達とです。笑』

 一人でというのも気にしてくれるアリスに悪いので俺はセナを使って自虐的な笑で返信を試みる。

 けれど、すぐに返ってくると思われたLINEは予想に反して少しの間静まりかえる。

 やっぱり苦しかったか……もうちょっと適当な嘘ついた方が良かったのかな。

 そう思いながら俺は再度携帯をしまおうとポケットに手を伸ばすと、携帯が揺れる。


『あの、もしよかったら一緒に花火観にいきませんか!?』


 やや、様子がおかしいぞ?? これは一体……?!

諸事情によりしばらく小説を書けないかもしれません。

楽しみにしていただいてる方には申し訳ないんですが、どれくらいかかるかわかりませんが出来るだけ早く再開したいと思いますのでその時はまたよろしくお願いします。

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