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族・月と太陽の交差点に潜む秘密  作者: ジャポニカダージリン
第2章
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友達

 店を後にした俺達は秋葉原駅を目指すべくもときた道を戻る。

しかしさっきは焦ったな、店員さんのあの凍りついたような顔、どんなふうに思ってたんだろ。

俺は左隣に歩くリカちゃんをチラと見る。

「??」

 俺の自然に気づいたリカちゃんはどうしました?と言わんばかりに俺の顔を覗き込んでくるのだが、さっきの事もあって俺は気恥ずかしくてつい反射で目を逸らしたしまう。

高校生か……

 テレビとかでは芸能人とかがよく高校生とかと関係を持って報道されたりしてる連中をよく見るけど、リカちゃんを見ているとそいつらの気持が少しわかってくる。

 問答無用で可愛い。この年頃の子達には鉛筆が転がれば笑ってしまうようなはつらつとした少女のあどけなさと、既に子を身体に宿すべく発育した女性の色っぽさが混ざりあって、大事にしたいと思う男の父性と、乱してやりたいという性欲を刺激して、二つの引力が脳を惹きつけて放さなくしてくる。

 生物学的に見ても、雄がより健康的な若い雌に惹かれるのは自然な事で、要するに若いということはそれだけで魅力的なのだ。そしてさらにルックスまでいいとなると禁忌を犯してでもその肌に触れようと触手を伸ばすし法の檻をすり抜けようとする不逞の輩がいるのも頷ける話だろう。

「ま、俺がそんな事考えても意味ないんだけどな」

 俺はそう言ってかぶりをふる。そもそもオカン以外の女性そのものに嫌われる個性持ちの俺にそんな事を考える必要のある機会なんぞ俺に訪れる事はまずないのだ。


「え、何がですか?」

 独り言のつもりがリカちゃんにも聞こえてたらしく、俺の言葉にリカちゃんが反応する。しかし正直に今考えてた事を話すわけにもいかないぞ。なので俺は、

 

「いや、リカちゃんの高校は楽しいのかなって」

 とりあえず適当にごまかしておく。


「どうでしょう、勉強も大変だし、授業もつまらないですから」

 そういやリカちゃんのクラスって特進クラスだったな。偏差値70の。

 優子も同じ高校生なんだけどあいつは運動コースで勉強からっきしだから忘れてた。

「ま、そんなもんだよな、俺なんてさらに暗黒期だったからな」

 俺の高校時代はというと、悲惨だった。高校デビューに失敗した俺はクラスでは浮いた存在となり、クラスのいじめっ子に目をつけられてそいつらに気を遣ってずっとビクビクしていた。リカちゃんにはそれを以前話した事がある。

 

「でも、最後は抜け出したんですよね?」

「まあね、けど、その後も特に面白い記憶なんてないな」

「そうなんですか」

「うん、授業を受けなきゃいけない意味わかんないし休み時間特に話さなきゃいけない事もないしさ、暇だなーって毎日思ってたな」

 ちなみに今も暇な毎日なんですが。俺ってほんとつまらん人間だな、話してて自己嫌悪に陥ってくるよ。話題変えないと。


「もしかしたら、皆そうなのかも」


「え? リカちゃんもなの?」

「はい。わたしにも笑いあったりする友達はいますけど、それでも毎日どこか空虚な戸惑いを胸に宿しながら学生生活を送っているような気がします」

「へー、女子高生ってそれだけで学校が楽しいもんなんだと思ってたよ。恋に部活に友情にでキャッキャしててさ」

「それは偏見です。私だって色々なことに悩んだりしてるんですから」

「はーん、どんな?」

「それは、言えません!」

 そう言ってリカちゃんはそっぽを向く。

 なんじゃそりゃ。

 けどリカちゃんも色々大変そうだな。思えば高校なんて皆つまらないと感じるものなのかもしれないな。高校球児みたいに燃えるような明確な目標ってのがあればそれに集中すればいいんだろうけど、ほとんどはそうじゃない。

 学校に行ってスクールカーストに気を張って、退屈な詰め込み授業を受けさせられて与えられた休憩時間にガス抜きをする。

 考えてみるとお金貰ってる社会人以上に窮屈かもな。


「ま、悩み苦しむのが若者の仕事なのかもしれないな」

「もーそんな一言でまとめないでください」

 そう言ってリカちゃんは頬を膨らませて俺を睨む。

 いや見ないで、可愛くて動揺するから。


「けど友達がいるんだったらいいじゃん」

「そうでしょうか?」

「いないよりはね、歳とると友達って呼べる存在が作りにくくなってくるんだよ」

 言ってて思う、あれ、なんでなんだろうな?

 そりゃあセイヤとか少ないながらも友達と呼べる存在は俺にもいるけど、何か昔と違う。それがなんなのかって言われるとはっきり言葉に出来ないんだけど。

「うーん、そう言えば先生も同じこと言ってた気がします」

「だろ? お互いの生活とかなんとか言うけど、まあそんなもんなんだよ」

「そうなんですか。そう言われると今いる友達達と出会えた高校も案外悪いものじゃないんですね」

 そっか、いい友達に囲まれてるんだな。リカちゃんの友達ってどんな子達なんだろ? 

 話の流れから興味が俺はリカちゃんの友達について聞いてみる。

「リカちゃんの友達ってどんな子達なの?」


「そうですね〜、いつもはリコって子と一緒にいて、この子が……」

 リカちゃんは友達について色々話してくれる。休み時間何して時間潰しているか、休日どこに行くかなど。

 どうやらリコって子を中心にいろんな友達と仲良くしているようだ。しかし、今出てきたのは皆女の子達ばかり。俺は話の途中で気になってしまったことを尋ねてみる。

「男子の友達とかはいるの?」

 なんか探り入れてるみたいな気がしてくるが、大丈夫、会話の流れに乗ってるから自然なはずだ。

 モテるでしょ〜とか聞いてるわけじゃなく純粋異性交友について尋ねているだけなのだ。


「いますよ」

 その言葉に俺の心臓が少し爆ぜる。いるのか。

 そりゃそうだろう、これだけ可愛いんだ、仲良くしようって近寄ってくる男なんてわんさかだ。

 分かりきっていたことなのに何故か焦る俺。

 出来れば、いないと答えて欲しかった。私は男子が苦手で健太郎さん以外の殿方なんぞとはまともに喋る事が出来ませんと……

 しかし、ショックを気取られるわけにはいかない、隠せ、隠さなければ俺の狭量な心がリカちゃんにバレてしまう!!あくまで自然に会話を続けて情報を得るのだ!


「へ、へぇー、いるんだ。良かったじゃん」

「はい、足人君って子がいて、一年生の時から〜」

 学生中女子とまともに会話した経験0の俺からは信じられない事だが、女子同様に仲のいい男子達がリカちゃんにもいるらしい。

 そして彼女の口から頻繁に出てくる足人という存在、こいつは間違いなくリカちゃんの事を狙っている。

 彼女は全然そんなのじゃないって言ってるが、そんなのじゃないはずがあるか。

 が、俺にはどうこう言う権利もないので、言いたくもないのに大事にしないとね、みたいな綺麗事を述べ、それに「はい!」と答えてくれるリカちゃんを見て複雑な気持ちに陥るのであった。

 ま、彼女には彼女の住む世界があるのだ、友達とうまくいってるだけでもよしとしよう。

 いいよな、学生時代の友達ってさ。


「そして俺達は秋葉原につき、今度は山手線のホームへ向かう」





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