会話。
「はい、お父さんとお母さんが話してるのを聞きましたまだ犯人も捕まってないみたいですね」
「そっか、物騒だよな。空き巣もだけど夏だと変な輩が増えるからリカちゃんも気をつけなきゃ駄目だぜ? 帽子が必要なら明日の朝早くに取りにくるとかさ」
俺は一応年上としてまだ世間知らずな高校生であるリカちゃんは少し強めに諫言する。うざがられるんだろうとは思うけど、おっさんにはおっさんの通すべき筋がある。俺の言葉が1ミリでもリカちゃんの安全につながるなら、心の距離が何百メートル離れようと厭わないのだ。
そう思ったのも束の間、リカちゃんは俺の不安なぞ無駄に等しきかな、聡明な彼女らいしい素直な反応を示してくれる。
「そうですね、結果お兄さんにも送っていただいてしまって、私って考えなしな駄目な子ですね」
そう言いながらリカちゃんは自分の右手の拳でコツンと自分の頭を軽くたたく。
「いや、送るのは別に構わん。ただもしリカちゃんが変なやつに襲われたらだな……」
「ありがとうございます、お兄さん、私の事心配してくれるんですね」
「そりゃ、するだろ、普通」
「どうして、ですか……? 私が優子の親友、だからですか?」
「そりゃ……」
「ほら、その……」
「その、なんですか?」
「妹!!リカちゃんは妹みたいな存在だから! 妹が危険な目に遭ったら兄は悲しむ、だから俺はリカちゃんを心配する! な、当然だろ?」
「妹……ですか……」
「そう、優子とは違ってめちゃめちゃいい子なさ」
「お兄さん、わたしそんないい子じゃありません」
「えっそう? 俺からしたらリカちゃんいい子で頭良くて、日の打ちどころがないって感じなんだけど」
「そんな事ありません」
「そうかな?」
「そうです。だから私、わがまま言います」
「お、なんだなんだ? なんでもいってみなさい。常識の範疇ならリカちゃんのわがまま聞いてしんぜよう」
「本当ですか?だったら明日、私に付き合ってください」
「えっ? 付き合うって、リカちゃん明日予定あるんじゃないの?」
「はい。本当は一人でお出かけするつもりでしたけど、お兄さんがなんでもわがままを聞いてくれるみたいなんで、お兄さんにも付き合ってもらう事にしました。都内でお買い物に付き合ってもらいたいんです。集合時間はそうですね……明日朝の8時に幕張駅に来てください」
「それくらいならいいけど……俺なんかでいいの? 友達とかと行った方がいいんじゃないの?」
「お兄さんとがいいんです。駄目、ですか……?」
「とりあえず、幕張駅で」
「やった!凄く楽しみです!!」
リカちゃんは一人っ子だから兄弟で買い物とかそういうのに憧れるお年頃なのだろう、きっとそのはず。
だから明日一日、失望させないよう頑張らなくては。
けど、兄妹の買い物って具体的に何するんだ?
優子とイトーヨーカドーをカート押しながら歩いた記憶くらいしかないんだけど……




