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族・月と太陽の交差点に潜む秘密  作者: ジャポニカダージリン
第2章
40/117

好調。

 きてるんじゃないのか?この一月の俺は側から見ればまさに絶好調、そんなイケイケのムードを感じた早見さんは俺の勝ち組オーラを感じ取って尻尾降り出してるに違いない……!!

 どんな人でも3回は生涯でモテ期が訪れるという。

俺は今悟った。モテ期とは、おそらくその人間の絶好調期。

どんな比モテ男子にも誰よりも輝く一番星になれる瞬間が3回くらい訪れるのは不思議な事じゃあないぞ!!

 俺と話して少し照れくさそうにしている早見さんの顔を見て、自分が今目の前の雌にモテている事を悟ると、俺の中で急に誇らしい気持ちが湧いてくる。


(いやまいっちゃうよほんと、女を惚れさせちゃうのは、まだ早見さんと付き合う心の準備も出来てないのにさ)



「俺、思うんですけど、仕事なんて覚えれば誰でも評価されるじゃないですか? だから大事なのは仕事に熱いとかよりもその人自身の心じゃないですか?」

 よし、俺カッコいいこと言った。早見さんは俺の名言に痺れただろ。

それにこの人には仕事よりも俺の内面を見てほしいんだ。

 次早見さんは『確かに!!』とか、『それって田中くんの事だよね?』とか感激の言葉を言うだろう。そこで俺は言うのさ、


「俺ならプライベートでもずっと早見さんを笑わせてられますよ」


ってな!!

 そこまで次の言葉を用意した俺だったけど……


「……そうなんだ、そうだ!田中くん、今て空いてる? ちょっと頼みたい仕事あるんだけど?」


 あれ? 急に仕事の話? なんかトーンが変わったような?

 けど、今は仕事中だからしょうがない、ここは仕事優先しないといけないよな。

「いいですよ、なんですか?」

「この渋谷の『アカリヘ』の空調設備設計図30枚を今から全部トレーシングペーパーに印刷して課長と部長に印鑑を押してもらえないかな?」

「あ、はい、いいですよ!」

「ありがとう、私今凄くいっぱいいっぱいで手が回らなかったんだ」

「いやいや、お安い御用ですよ、この田中、早見さんの為ならなんだってお手伝いしますから!」

「うわぁ、ありがとう! ほんと助かる!!」

「いえいえ、じゃあ早速やっちゃいますね!」

「うん、宜しくね!」

 俺はそう言って、早見さんが手掛ける物件の設計図を特大のA1用紙一枚一枚に設備別の設計図を印刷していく。

 早見さんから仕事振ってもらうの久しぶりだな。

絶対に完璧にこなさないと。 

 俺がそうやって意気込んで設備図が全て印刷されるのを待っていると、


「健太郎、君って奴は……」


ハクリューが何か話しかけてくる。

「ん? どしたん?」

「いや、どうしたと聞かれると非常に答えづらいのだけど……」

「なんだよ、はっきり言えよ、気持ち悪いな、いつもはズバズバ言うだろお前はよ」

「うーん……」

 そうやってハクリューはまごついてくる。なんやねん。

ま、いっか今の俺は調子いいもんね、小さな事気にしちゃ負け負け。


「あのなぁ、そうやって何か言いかけて人をモヤモヤさせるのが一番女々しくてカッコ悪いんだぜ? 言いたいことがあるならハッキリ言っとこうぜ、ま、女にモテない俺が言うことでもないんだけどさ。笑」


 俺がハクリューにそう言うと、ハクリューもそれならばとしなだれてた首をニュッと上げた瞬間、

「健太郎さん!!そろそろ印刷が終わるんじゃないですか!?」

 セナがそう言ったので、

「ん? ああ、そろそろか、よし、様子を見てくるか」

そう言って、フロア真ん中にあるA1専用コピー機のとこまで行くと、ほんとだ、丁度プリントアウトされたばかりだった。

 俺は印刷されたばっかでホッカイロのようにホカホカのトレーシングペーパー30枚を両手でかかえて早見さん、課長、部長に借りた印鑑を全ての用紙に押して一日の業務を終えた。

さあ、あとは会社を出れば……いよいよ待ちに待った二週間のお盆休み!

普段土日祝日しか休みのないサラリーマンにとってこの二週間の長期休暇は非常にデカい。

あ、退勤する前に課長に挨拶しとかないと!

俺はハクリューをバックに入れ、チャックを締めると課長のデスクに向かう。


「課長!! それでは一足先にお盆休暇に入らせて貰います!!」

「ん、ああ、もう帰っても大丈夫なのか?」

「はい!他の業務も全て完璧に仕上げましたんで!」


「そうか……あんまハメはずしすぎて事件とか起こすなよ?」

「いやいや、課長?この健太郎、起こすとしたらハッピーな出来事以外ありませんから!!」

「……例えばお前が会社辞めるとかか?」

「……それはアンハッピーな事件ですね、会社と自分、お互いにとっても!」

「ハハハ、とりあえず元気でな!!」

「あざーっす!!」

 

一瞬ドキリとしたが、調子絶好調な俺は課長の嫌味な冗談にもウィットなお返しで爆笑をもぎ取り、


(会社出る前に早見さんに挨拶したいけど早見さんは……)


早見さんのデスクをみるが、そこに早見さんの姿はなく、机の上は綺麗に整頓され、立てかけてあったバックもなくなっていた。

どうやら俺が課長に挨拶している間にオフィスを出たみたいだ。

早見さんと話せなかったのは残念だけど、会社に入ってから今までで最高の気分でのお盆突入だね、今日はどっか飲みに行こっと、ま、飲むのは一人でだけどさ。

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