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族・月と太陽の交差点に潜む秘密  作者: ジャポニカダージリン
第1章
28/117

4人で出勤

結局ハクリューとヤドランもこれから一緒に出勤することになった健太郎。

元々人付き合いが苦手で一人でいる事のほうが好きな健太郎だが。

何の因果か、俺は今ハクリュー、ヤドラン、セナの3人をビジネスバッグの中に入れて出勤している。

あいつらとの会話に参加してない俺はなんだか仲間外れにされてるような気持ちになってくる。自分でこいつらをバッグに詰め込んだんだけど。

ちなみに人形達と言ってもあいつらにプライバシーとやらを感じるので聴き耳を立てて3人の会話を盗み取ろうなどとは思わない。

眠いし寝るか、と思った所で、


「健太郎さんの好きな食べ物はラーメン二郎であってますか?」

セナから急に話が振られてくる。

どうやら食べ物の話をしているらしい。人形であるこいつらは何かを食べるという事がないけど話成立するんかいな?


「あ、あぁ、まあな」

急なセナからのフリで焦り、そうとだけ答えると。


「酷いんですよ健太郎さん、昨日そのラーメン二郎に行った後、そのまま私を置き忘れて帰ろうとしちゃったんですよ?」

こら、余計な事を話すな、そういう俺のうっかり系の話は俺の評価を下げて行くだろ?


「それは酷いんだお」


「健太郎は満足すると他の事がどうでも良くなる所があるからね、僕たちも気を抜くとずっと電車の中になんて事にもなりかねないな」

ほらね、ハクリューなんて生き生きして俺への信頼を下げにかかってるよ。俺だって好きでこいつら運んでる訳じゃないのにかわいそうじゃないですかね、自分?


「きっと大丈夫ですよ!あの後ちゃんととりに戻ってきてくれましたし。健太郎さんには離れすぎるとどうなっちゃうのかもちゃんと話しましたし」

前半のはちょっと嬉しい。しかし後半部分ちょっと待て、酷い事が起こるって事以外はしっかり教えてもらってないんだけど、どこらへんがちゃんとなのだろう……、が。


「お前らは俺が無理やり連れてきたんだ、責任持って俺が忘れないようにする。だからつまらん事で気を揉むな」


「はい、お願いしますね!」


「その言葉、信じるお、健太郎」


「まかせろ。男に二言は、ない!」


「ちょっと待ってくれ!」


「?!」


「これはつまらない事ではないぞ、健太郎?!君が万が一僕らを忘れれば僕やヤドランはまだしもセナはーー」

そうハクリューが言いかけた所で、


「大丈夫ですよハクリューさん!ね、大丈夫ですよね健太郎さん?」

セナがハクリューを静止するように俺に伺いを立ててくる。何でセナどうなるか教えてくれないんだろ?けど、


「大丈夫だ。自慢じゃないが俺は自分の命の次に大切なスマホと財布はこれまでどこかに置き忘れた事はない。それらが収まっているバッグの中にお前達は今入っているわけだ」


「健太郎さん……」


「心強い事言ってくれるお……」


「へっ、大船に乗った気でいろよ」


「ちょっと待ってくれ!!」


「?!!」

 なに?また?


「この間セナと一緒に鞄の中にはスマートフォンが入ってたと先程セナは言ってたじゃないか、その時に頭痛が起こったんだろう?」

う、確かに、あの時セナが暇だっていうから普段はポケットに入れるスマホをカバンに入れっぱなしだったんだ……


「気を抜いてたら大船が沈没しましたじゃ笑えないぞ健太郎?」


「健太郎さん……」


「不安になってきたお……」


「っっ大丈夫だ!さっきもセナが言ったように、セナを入れたこのバッグと離れすぎたら頭が吹き飛ぶより恐ろしい事が起こるんだろ?だったら忘れん。

生まれてから未だ命を落とした事がないのはここに完璧に証明されてる訳だからな」


「健太郎さん、なんだか苦しくなってきちゃいました……」


「セナ、あまり深く考えすぎてもダメだお」


「健太郎はこういう時あまり口を動かさないほうがいいかもしれないね、苦しくなれば苦しくなるほどわけのわからない事を言い出す傾向があるようだね、無意識なんだろうけど」

そこまで言われて俺は何も言えなくなってしまう。

あー、朝っぱらから何でフィギュア達にこんな嫌な気持ちにならなきゃならないんだよ、とにかく次で秋葉原で乗り換えだ。


これだけはなんとしても忘れるわけにはいかん。

俺は肩にかかっている鞄の紐を何度も握って確かめ、力いっぱい握りしめて総武線を降りる。

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