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族・月と太陽の交差点に潜む秘密  作者: ジャポニカダージリン
第1章
25/117

俺の名前は健太郎

ガチャリッ!!


「おい、セナ、ちょっと話がある!」


俺は自室に入ると部屋の真ん中で入り口に背中を向けてヤドランと話してるセナの方まで歩いて行き話かけようとするが、

俺が話しかけるべくセナの右側から周り込もうとすると、それに合わせてセナは体育座りをしたまま回れ左をしてベットの方を向き、俺に背中を向けた状態をキープ。


「おいおい、そんな露骨に避けなくてもいいじゃないか……」


俺がそういいもう一度セナの右側から回り込もうとすると、


クルッ。


再び回転し、今度はドアの方を向く。


「だ、だお……」


足元のヤドランが驚きの声をあげている。

うーむ、これはまじで避けられてるな、これ以上執拗に追いかけるとセナをキレさせかねん……

そう思ったので、俺は部屋に一緒に入り、今セナと向かいあった位置にいるハクリューに目配せをする。

頼む、お前が説得してくれと。


ハクリューはコクリと頷いた後、


「セナ、すまない。君の了諾を得ずに健太郎から話を聞いてしまったんだが、健太郎と話してやってくれないか?」


とセナに近寄り俺のサポートに入ってくれる。助かるぜ。


「イヤです」


「そこをなんとか、彼も十分反省しているみたいなんだ。だから、ね?」


「絶対イヤです」


「お願いだよ、健太郎は君に謝りたいみたいなんだ、話だけでも聞いてやってくれないかな、僕からもお願いだ」


そう言って視線を俺に向けてくる。

なので俺はコクコクと頷いてセナの反応を待つと……


「……じゃあどこらへんを反省してるんですか?」


セナがしばらく考え込んだ後、やっとふり向いてくれるが……うっ……その目は冷たい。

蔑むようなねめつけるような目は、完全に俺を敵と捉えている。優子が俺に向けてきてるのと同じ目だ……

俺は蛇に睨まれたカエルのように恐怖で一瞬硬直するが、たじろぎながら、


「えーっと、ほら、デリカシーがなかったかな……って……」


っとハクリューに指摘された事をそのまま流用する。


ハクリューがセナの後ろで違う違うとぶんぶん首を振っているが、わかってる、目を逸らした事を謝らなきゃいけないんだろうけどそれは非常に言いにくいんだよ!!


「……デリカシーですか、そうですね、確かに健太郎さんはデリカシーないですね、無配慮だし調子乗りだしちょくちょく気持ち悪いし……」


「うっ……」


「けれどそんな事じゃ本気で怒ったりはしません……」

セナからの散々な言われように流石に俺も言い返したくなる。

いやお前、俺に炎天下の中ずっと説教かましたやんけ、と……

がっ、これまで仕事で上司からマジ説教を喰らい続けて来た俺は知っている。

マジでキレてる人の話は決して遮ってははならないという事を……

俺は喉に出かかった疑問をグッと呑み込む。

ここで異議を申し立てればマジでプッツンなりかねん。ハクリューが繋いでくれたこの雲の糸のようにか細いチャンスが。


「私だけじゃなく、皆、健太郎さんの何に怒っているかわかりますか?」


「皆って、女性がって事か……?」


「……ほんとに馬鹿なんですね……」

そう言って俯くセナ。

うん?どういう事だ?

俺はセナが妙に熱い視線を向けてくるのが疎ましくて目を背けてそれで傷つけてしまったと思っていたのだが、そうじゃないのか……?

これまで俺を振ってきた女性がって事じゃないという事はもう俺に関わる皆って事だよな?

馬鹿な……ハクリューは凄いやつだって言ってくれたのに……


「えっと、俺は確かに頭が悪くて、昼間お前に言われた通り、その、人の心ってやつがよくわからないようなんだ、これはハクリューにも言われた」


「……」


「けどさ、それでもなんとかやってく事って出来ないか?さっきも言ったが悪い事をしたら謝る、注意を受ければ直せるところは直す。それじゃあ駄目か?」


セナの目線を逸らしてしまった事だって、直せるなら直したい。

無理なのかもしれないが、好意を向けてくれた瞳に優しく笑顔で返せるような、そんな男になりたいと、今は思っているんだ。俺が言葉にするのは恥ずかしいので、心の中でだけそう呟くと、


「直せるんですか?」

セナが聞いてくる。

背筋が凍るような真剣な眼差しで。

その目を見て俺は直感的に悟る。これはおそらく最終通告。ここでちゃかさずにちゃんと向き合わなければ今後一生それまでの人間としてしか扱われかねない究極の質問だという事を。


「直す」


「ほんとですか?」


「ああ、直す。男に二言はなしだ!!」


そう俺が言い切ると、

セナは俯き、「はぁぁぁぁっ」と飛び切りデカいため息をついた後、


「それじゃあ健太郎さん、いいですか?」


っと聞いてくる。晴れやかな笑顔を作って。

ゾクリッ。

その笑顔を見た瞬間、俺の背筋に悪寒が走る。

頬を伝わってくるこの冷たい感触は……汗ッッ?

これって……

俺はその笑顔に若干の恐怖を覚えながら質問する。


「な、なんだよ?」


俺は緊張しながらセナの返答を待つ。そうだよこの感じって、セナとの契約で無茶苦茶な要求をされた時のあの感じだよ……


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