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族・月と太陽の交差点に潜む秘密  作者: ジャポニカダージリン
第1章
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ゲーセンにて

クレーンゲームからベジータのフィギュアを盗んだ犯人を捕まえるにも情報が必要だよな。

「あの、悟空さん?」


「ん、なんだ?」


「同一の奴ってさっき言ってたけど、どんな人物なんですか?」


「それが……よくわからねえんだ……」


「よくわからない?」


「あぁ、確実にそいつだって事はわかるんだけど……おかしな事にそいつがベジータを連れ去った方法がわからなかったんだ……」


「その人の格好とか年齢とかはどんな感じなんですか?」


「あんま強そうな奴には見えなかったんだけど、ピッコロ、どうだ?」

犯人をよくわかっていないらしい悟空さんがピッコロさんに話しかけると、


「フン、孫の話だけでは犯人の特定も難しかろう。そうだな、他の台の奴らにも聞いたが、盗まれる前はやはり同じ男が台の中を覗くようにみていたようだ。しかしそいつは見るだけで特別おかしな行動は起こさずそいつが去ると同時に他の盗まれた連中も消えてしまっていたようだ」


「台の前に立つだけでフィギュアが消える……」


ピッコロさんの話から一連の事件は同一犯の仕業で間違いないみたいだけど、動作が見えないってのはどういう事なんだろ。


「いつも一人でくるんですか?そいつの仲間とかいたりは?」


「来るのは男一人だ。店内に仲間はいない。いつも決まった時間に現れ一度だけクレーンを動かしたあと、仲間を連れ去って帰っていく」


「それってその男が凄腕のクレーンゲーマーって事は……」


「それはないな。奴が本当の凄腕なら俺達はこんな危機感を覚えたりはしない」

そう言うピッコロさんの顔はとても悔しそうだ。

となるとアリバイ作りの為に一度だけプレイするわけか……?


「年齢は?」


「おそらくお前と同じくらいだろう。」

って事は30歳前後か。


「決まった時間っていうのは?」


「いつも午後3時頃に奴は現れる。今日明日のようなお前達の世界の休日には姿を見せんな」

他に何かわかる事ありますか?


「そうだな、いつも頭に鉢巻きを巻いて鞄を背負い、厚手のチェックのシャツにフィンガーグローブをつけている野郎だ」

なるほど、典型的な秋葉系って事か。


「他に何か聞きたい事はあるか?」


「いえ、ありがとうございます、やはりその男の人が怪しいと思いますので、また後日15時頃にうかがいます」


そう言って俺は店を後にした。少し落ち着きたいし喫茶店にでも入るか。無理やり事件に巻き込んできたセナに腰を据えて言わなきゃならん事があるしな。説教だ。


「おい、セナ」


「はい?」


「ちょっと近くの喫茶店に入るぞ」


「スターバックスですか?」


「いや、ドトールだ」


「えー、スタバックスじゃないんですか?スタバお洒落だし絶対スタバ良いですよスタバ!!」

なんなの?スターバックスにお金貰ってるの?しかし今はセナに合わせてお洒落にスタバって気分じゃない


「確かにスターバックスはお洒落だ。けどな、俺は今ドトールに行きたい気分なんだよ」

ここはなんとしてもひけん。

このスターバックス派とドトール派はコーヒーを好むものにとってはよく話題にのぼる話のようで、コーヒー界のキノコの里とたけのこの里みたいな感じだ。ちなみにコーヒー好きを自負する人達はドトールを好んだりする傾向にある。彼ら曰くコーヒーの味が違うのだとか。

俺としてはコーヒーの違いとかはよくわからないんだけど、ただスターバックスはちょっとお洒落な雰囲気すぎて冴えない俺には少し近寄りがたい。店員の綺麗な女の人と目が合うときょどってお盆からコーヒーをひっくり返しそうになったりしてしまう。なのでコーヒー飲んで一息つくだけならドトールの方が俺には断然落ち着ける。

一杯のコーヒーで安らぎと活力を求めるのなら俺はドトール派なのだ。ドトールさんもそう言ってるし。


「こういう時は女性の意見を尊重するのがマナーじゃないですか?スタバです」

イラ、俺の意思を尊重しないどの口がマナーを語るんじゃ。このままじゃ怒りで額にMのマークが浮き上がってしまいそうだぜ。しかしセナに怒りをぶつけるとセナには本物のMのマークが出かねんので


「わかった次だ、次はスターバックスに行こう」


そう言うとセナは

「わかりました。絶対ですよ?」

と言って機嫌良くなった。あれ?思ったよりも素直だな?

そして俺は近くのドトールでアイスコーヒーMサイズを頼んで席につき、話しやすいようタンブラーの上にちょこんとセナを座らせると、コーヒーグラスのストローに顔を近づける。

チュ〜〜。ぷはぁっ!やっぱコーヒーはブラックに限る。

コーヒーの旨味を楽しむにはやはりブラック。

味あんまわかんないけど。


そしてコーヒーで一息つけた俺はテーブルに長座してるセナを睨みつける。


「おいセナ」


「はい?」


「お前、今日この秋葉原に来たのって」


「はい。健太郎さんに皆さんとお話ししてもらう為です」


「お話ししてもらう為って……」


「健太郎さんだったら喜んでくださると思いまして。健太郎さん、ドラゴンボール大好きですよね?だから絶対に彼らとも上手くお話しができると思ったんです!」

確かに、例えフィギュアでも悟空やピッコロと話せたのに感動したってのはある。彼らに憧れないboyは日本にはいないんじゃなかろうか?しかし……


「そこはいいとして、なんだよ、クレーンゲームの犯人探しって?」

俺は話を本題のお説教へ移す事を試みる。


「それは……私があのゲームセンターで健太郎さんと出逢う数ヶ月前、ある事件が起きました」


「事件って悟空さん達が言ってた……?」


「はい。他の仲間が不正に連れ去られてしまう事件が起き、それは一度で終わらず、日が経つにつれ仲間が連れ去られる回数はどんどん増えていきました。その後事態に気付いた店員さんがカメラの台数を増やしたりしてセキュリティーを高めてくださり、犯行もなくなったように思えたんですが、」


「再び犯人が動き出したと……」


「はい」

セナはコクリと頷き、つらそうな表情で話を続ける。


「私達動けないフィギュアにはどうする事も出来なくて私、居ても立っても居られなくなって……」


「そうだったのか……」

歯痒いだろうな、仲間が不正に連れ去られていくのをただ見るだけってのは。

俺は何も言わず俯き、セナの話に素直に同情しかける、が、いや待てよ……


「って、そこじゃなくてなんで俺が犯人探しに協力する事になるんだよ?」

あぶな!うっかり本題を忘れるところだった!

俺が聞きたいのはなんでその犯人探しを協力しなくちゃならないのかという事だ、思った以上の話の深刻さにうっかり目的を忘れるところだった。



「え、だって確認とったじゃないですか、ね?って」


イラッ「あれは確認とは言わん!同調圧力というんだ。そして俺は本心とは別の圧力に抗うのが苦手な典型的なコトナカレ主義の日本人なんだよ!!」

つい大声を出してしまい、離れた席に座っているサラリーマンや女子高生が驚いたように俺の方を見る。

やっちまった、やばい、恥ずい。安らぎを、心の安らぎを……!!

俺は恥ずかしさとセナへの怒りで震える手でアイスコーヒーMサイズのグラスを手に取り、ストローを咥えるとで一気に喉へと吸い上げる。

ゴクゴクチュッチュ……!!ふぅ、少し落ち着いた。

やっぱりブラックコーヒーはアイスに限るね。


「すみません、二人とも困っていましたし、健太郎さんなら絶対に協力してくれると思ったので」


「どっから出てくるのその根拠?」


「さあ」


「さあって」


「けど、なんとなくわかるんです。健太郎さんは誰かが困ってる時は絶対に力になってくれる人なんだって」

セナは可愛らしい笑顔でそんな事はいうもんだから俺はそれ以上反論出来なくなってしまう。こういうのってずるいよな?


「とりあえず、ああ言ってしまった以上、協力はしなければならん。いいか、しょうがなくだからだぞ?」


「はい!!ありがとうございます」


「さてじゃあセナ、さっきのピッコロさんの話を聞いてセナはどう思った?」

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