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族・月と太陽の交差点に潜む秘密  作者: ジャポニカダージリン
第2章
112/117

イラつき

はぁ、リカちゃん……マジかよ。俺よりあいつなのかよ、あんな同学年のちょっと顔がいいクソガキがリカちゃんの求める男なのかよ……

リカちゃんとの一件が終わり、今日は月曜日、俺は朝からオフィスで今まで通り何も変わらない科の備品整理兼自宅警備員のような業務に勤しながら昨日のリカちゃんとの事を悶々と考え続けていると、


「ちわ〜っす、今から現場行くんでカメラ借りていいっすか〜?」

後輩の辻が俺にカメラ貸し出しの要望を話しかけてくる。

きっと俺をいじる手立てを何か探しているのだろう、あいもかわらず俺を同学年か何かと勘違いしたようなニヘラ顔を男梅のような顔に浮かべて話しかけてきやがる。

フッ、辻よ、わかるぜ、お前はそうやってテンパル俺を期待しているんだろう。

しかし悪いな、今の俺はセナやハクリューのサポートを受け、するべき事は漏れなく事前に済ませるようにカメラやコピー機のトナーなど必要な備品は休日前に全て揃えるようにしている。加えて今歳下の男は歳下ってだけで殺意が沸くくらいに俺の腹の虫の居所は悪い。つまり俺は今お前にムカつきを抑える事は出来ない。

なので俺はガッツリ辻の目を見据えて答えてやる。


「なんのカメラが欲しいんだよ?」

俺が据えた目で辻を見ながら言うと、


「え、いや別に使えたらどれでもいいんすけど……」

辻は驚いたような顔で煮えきれない返答を返してくる。

イラ。

なんだこいつ?どれでもいいなら今は誰も使いたがらない10年以上前の200万画素のデジカラー以下のカメラ渡してやろうか?ちゃんと充電してあるから。それで文句言うなよ?昔はみんな使ってたんだから。


そんな事を腹の中で思いながらも、さすがに実際に渡せば嫌がらせになるので俺は手前にあるソニーの画質のいいやつを手に取る。


「ほらよ、これ持ってけ」


手に取ったソニーの2000万画素の高機能カメラを辻の手に渡してやると、


「……ありがとうございます」

辻はそう言って貸し出しリストに名前を書き、充電器からバッテリーを2つ気まずそうに取り出して俺のデスクから離れて行った。

ケッ、いいきみだぜ辻がよ。いつもそうやって大人しくしてろっての。

そう思ってやる事もないので腕を組んでノーパソのモニターをじっと見つめていると、


「ねぇ、どうしたの?田中くん何かあった?」

隣の席の早見さんが話しかけてきた。

きっと今の辻とのやりとりで何か違和感を感じ取ったんだろう。

俺に話しかけてくる早見さんの心配そうな顔を見ると、お盆中にあったレストランテでの出来事が脳裏によぎる。

そういやこの女も陰では俺の事あんなふうに悪く言ってるんだよな、よくもまぁ平然と俺に心配そうな顔を向けられるもんだぜこのアバズレがよ、ムカつくぜ……


早見の顔を見ると辻以上のイラつきが湧いてくる、正直この場であの日の出来事を口に出して目の前の三十路の女を糾弾したくなってくるぜ、いやしないけど。


「何かってなんすか?」


「え、いや、今日の田中くんちょっとギスギスしてるっていうか、話しかけづらいっていうか……」


カッチーン、お前がそれを言いますか、内心俺の事馬鹿にして見下してるお前が?

早見の取り繕った心配そうな顔を見てると辻以上の怒りが胸中に渦巻いてくる。

なに?善人のツラして俺を懐柔しようとしてるの?

はっきり言ってよかったわ、あの時あの場でお前の陰口が聞けてよ、あれ聞いてなかったら俺は心許して昨日のリカちゃんとの一件ベラベラ話してたわ、そんでまたこいつは友人に笑い話として話すんだろうな、くわばらくわばら、誰も信じられねぇぜ。


「いや、なんもないすよ?」


「えー、なんかあると思うんだけど〜」


「ないです、少なくとも貴方に話す事は何も!」


妙に食い下がってくる早見に真顔でそう言うと、早見は「そ、そなんだ……ごめんなさい」そう謝って自分のデスクのパソコンの方へ顔を向け直し、マウスをクリクリ動かし始めた。

何に必要なのかカチカチカチカチ妙にクリックを押しまくっているように思えるがウザッ、テンパってんの?馬鹿じゃねぇの?


それにしてもいやぁ、もうなんでもいいや、リカちゃんが俺の事好きじゃなかったんならどうでもいいやこんな世界、そう思うと今まで必死に会社で守ってきたものも無価値に思えてくるぜ、てか、人の心とか意識しても無意味じゃね?

厄介者払いできたような晴れ晴れしさもあり、俺は自身のパソコンに目を向け、やる事もなくネットニュースをぼーっと眺めていると、


「荒れてますね〜健太郎さん」

セナが人知れず胸ポケから話しかけてきた。

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