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族・月と太陽の交差点に潜む秘密  作者: ジャポニカダージリン
第2章
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本心

騒がしいイオンモールを出て、メインストリートを左に折れ、左手に流れる浜田川にそってまっすぐ進む。

特に行く宛もなく歩き続ける。しばらくすると左に見えてきた幕張メッセも通り過ぎ、そのまま進むと海が見えてくる。

海の前にスポーツ施設が整った公園があり、俺はテニスコートの横に設置してあるベンチに腰をかけた。


「・・・なあセナ?」


「はい?」

セナは呼びかけると胸元から顔だけだす。

その顔には優しいまなざしがこもっている。

その顔を見ると俺の心はゆるみ、これまで溜め込んでいた気持ちが口からでてしまう。


「つらい・・・」


「そうですね・・・」


そうだよな。セナのその一言で俺はやっぱり敗北したんだとあらためてリカちゃんのことを思う。

まがりなりも、うまくいくと思っていた、俺のこの恋は絶対にうまくいくものだと。

彼女とは何度も笑いあった、救いもした、心を通わせた。

けど、それはあくまで俺の思い込みだった。

そりゃそうだ、相手は高校生、30過ぎた男なんて本気で相手するわけない。

だから告白したあと逃げた。本気にしないでと。

そう思うと俺は自分が情けなくなってくる。

また、駄目だったんだ。ここまで本気を尽くしても、結局俺は選ばれない男なんだ。


「やっぱり、あの二人、付き合ってるよな...?」


わかってても聞いてしまう。セナがあまりに優しく俺をみまもっているから。

けど、セナの返答は俺が考えてたのと違って、

「それを知ってどうするんですか?」


「どうするって、大人しく身を引くさ。リカちゃんには避けられた。それにリカちゃんには俺よりもタルトのほうがどう見てもお似合いだし。そもそも年齢だって同じ方が絶対にいいんだよ・・・」


「うーん、やっぱり女の子ですから、そういった考えはあると思います....」


「だよなぁ、はぁ・・・」


あーあ、ほんとやってられない。ふと気を抜くとタルトとリカちゃんが楽しそうに横並びで商品を選んでた光景がフラッシュバックして本気で落ち込んでくる。

クソっ。。。


「俺はさ、リカちゃんだけは本気だったんだ、けど、年齢が違うし関係を壊したくないしずっと好きだという感情を抑えてた。けど、やっと自分の気持に正直になって想いを口にしたらこれだよ。滑稽だよなほんと・・・」


「・・・滑稽だとは思いませんけど、いま大事なのは、健太郎さんの本心なんだと思います、健太郎さんのほんとの想いはどうなんですか?建前なんていりませんから」


セナはすこし逡巡したあという。

俺の本当の想い....

そう言われて俺は心の奥でリカちゃんのことを考えてみる。

眉目秀麗、才色兼備、俺の超タイプの外見にものすごい優しい心をもった女の子.....

それはリカちゃんがただ近い距離にいるからってだけじゃなくて、リカちゃんじゃないと俺はここまで本気に思い詰めたりはできなかったんだと思う。

けど、タルトみたいなのがそばにいると思うと.....


「どうだかな、かわいいし、大事にしたいって思う。けど、彼女は俺じゃなくてタルトを選んだ、俺の前でタルトとイチャつきを見せた。だから、いいかな、あんな女ってのが正直な気持ちだと思う」


俺にもプライドがある。例えどんなことがあろうと俺はリカちゃんのことを想い続ける自信があった、けれど、こんなにつらいんだ、自分の前で女がほかの男といちゃつくところを見せられるのって。

ショックで引きこもりになる男子高校生とかの気持ちがわかる、好きな子をすてて一緒に何もかもすててしまいたい気分だ、そして自由になりたい。

海を眺めて再び俺はタルトとリカちゃんのことを思い出す。

きっと今頃二人で仲良くやってるんだろうな。

あーほんとにもう二度と会いたくない!!

情ねぇ、好きだった女を嫌いになる男の気持ちをこんな歳になるまでわからなかったなんて、俺ってなんて浅い人生を送ってきたんだよ、自分で自分が嫌になる。


「そうですか....じゃあもうリカさんとは会いませんか?」


「いや、会うときは会う。そもそも俺が変な行動を取れば優子に迷惑がかかる。だからこれまでどうりってわけにはいかないが、変に俺から避けるのもおかしいかなって」


「それで、いいじゃないですか」

セナは遠くの海を眺めながらいう。長い髪を潮風になびかせながら。

その優しい瞳で遠くをみつめるセナの横顔をみながら俺は思う。

このフィギュアは一体どんなことまで知っているのだろう。

こんなに小さいのに...


「とにかくだ、俺はリカちゃんをもう恋愛対象とはみない、知り合いだ、うーん、しりあいというかちょっと気心しれた妹の友人だ、そういうスタンスで今後はいくから」


「はい、それでいいんです、それで」


「何がいいんだよ?」


「それが健太郎さんの心なら、それが健太郎さんだけが持つ正解の答えです」


「ふーん.....」


「いいですか?取り繕った心に価値なんてないんです、だからそれでいいんです」


セナはそう言うとまた静かに海を眺め始める、先ほどとは違い、妙にあっさりした顔つきで。

その顔を見てると俺も、これで良かったのかなって思えてくる。

そうだよな、誰かが褒めてくれるわけではない、けど、これが俺の本心なんだよ。

カッコつけてもなんもうまくいかなかったこれまでの人生、なら、もう、徹底的に本心で生きてやろうじゃないか。

何も取り柄のない俺だけど、うちから湧いてくるこの気持ちには嘘はつけないや。

ほんというとまだ心のどこかでリカちゃんを想う気持ちはある、かすかな期待の灯火のように。

けど、それよりも俺はより強い情動を大事にしたい。

自分の気持を大事にしたい。

だから思うのだ、ありがとうリカちゃん、君のおかげで自分の心の大事さに気づいた。

恋はうまくいかなくても気づきを与えてくれた感謝のこころは確かにある。タルトが嫌になればいつでも俺のところにこいよと

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