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族・月と太陽の交差点に潜む秘密  作者: ジャポニカダージリン
第2章
102/117

指導

リビングであまり物のカレーを食べ終わり部屋に戻ってみるが、セナはいない。まだ優子の部屋か……


部屋の隅にヤドランとハクリューが肩を並べて座っているのみである。

ま、普段ぺちゃくちゃと口うるさいのがいないのでこれはこれでありっちゃあありか、おかえり俺の心の安寧。

そう思いベッドに横になるが、今日のリカちゃんの事が気になってしまいどうにも落ち着かない気持ちが襲ってきていてもたってもいられない気持ちになってくる。


「なぁハクリュー?」


一人では解消しきれそうにもないこの想いを俺はハクリューに打ち明けることにした。


「なんだい?」


「今日の話に戻るけど、俺、何がいけなかったんだろ?」


「ああ、その話か」

ハクリューはにょろんと背筋を伸ばし俺に顔を向けながら答える

「俺の言動はさ、全部リカちゃんの事を想っての事なんだよ、それなのに今日だけじゃなくいつもいつもうまくいかなくなる。リカちゃんだけじゃない、会社でもどこでも、なんで知らず知らずに俺は人を怒らせるんだ?」


「そうだね……けどいいのかい?セナには自分で見つけるように言われているんじゃなかったのかい?」

首をかしげながらハクリューは言う。

確かにセナにはリカちゃんの心は自分で考えるように言われた、それと人の幸せを考えるのを諦めるなとも。

けど……


「セナの言うことが正しいなら人の幸せを考えて結果人を怒らせちまうのが俺なんだ、だからさなんつーか、解決策を考えるとっかかりみたいなのが欲しいんだよ、ヒントとでもいうのかな?じゃないと混乱して今日は眠れそうにもないぜ」


「ふーむ……」

ハクリューは首を傾げながらしばらく考え込んだ後……


「そうだね、セナは少し固真面目すぎるところがあるのは確かかもしれない。同じ問題に対して全員が自力で答えに辿り着くって事が保証されてるわけではないだろうし、いいだろう」


「えっマジで!?」

マジで教えてくれるのか?!セナの肩ばかり持とうとするハクリューだ、どうせ無駄だろうとダメ元で聞いたつもりだった俺であるが、思わぬ返答に俺はドバッと身を起こしてハクリューに伺う。


「ああ、何より健太郎が真剣に取り組もうとしているんだ、これは答えないわけにはいかないな」


「マジか!話わかるじゃねぇか!話しても無駄だと思ってたよ!」


「ふっ、馬鹿を言っちゃあ行けないよ。というか今既に答えが出たようなものなのだが……」


ハクリューは微笑を浮かべながら答える。


「ん?何が」


「つまり、健太郎、君はさっき僕がセナの肩を持つからどうせ僕は君には協力しないと思っていなかったかい?」


ギクッ……図星をつかれた、これはやばい。

俺はハクリューの鋭利な洞察にドギマギしてしまい言葉を失ってしまう。


「まずはっきりしておきたいのは、以前にもいったが僕は贔屓目でどちらかの肩を持つなんて事は絶対にしない、少なくともしようとは思わない」

そう胸をはって断言するハクリュー、その姿はあまりにも堂々としていてフィギュアとはいえ俺は圧倒されかけてしまう。

しかしここでけおされてはいけない。

「けど、お前、俺とセナの意見が割れた時、ほぼほぼセナに賛成することがおおいいじゃないか?」


「それは認めるかな」


「だろ?じゃあそう思われても仕方ないぜ?セナだって間違ってる事はたくさんあるのによ?」

俺が勝負所と強気にいうと、ハクリューは再び微笑を浮かべた後、


「間違いとは何の事なのかな?」

と答える。


「ほら自分よがりの考え方があったりするじゃん、俺が冗談のつもりで行った事まにうけて怒ったり、その後何倍にもして精神的に俺を苦しめるような事を行ってきたり、理不尽多いぜアイツ?」


「それは、まあ、否定はしきれないかな……」


「だろ?なのにお前がセナの肩をもつから俺が悪者みたいになって毎回俺がおれてさ、これの何が贔屓じゃないっていうんだ?ハクリューさんよ?」


そこまで言ったところでハクリューは押し黙ってしまう。それを見て俺はハッと我に帰る。いかんいかん言っててだんだん気持ちよくなってつい調子にのってた、ハクリューってセナみたいに言い返してこないからつい言いすぎちゃったりするんだよな、気をつけないと……

俺がそう思い直し、しばらく二人の間に沈黙が流れた後、


「健太郎、いいかい?」

ハクリューが再び口を開く。


「なんだよ」


「例えば今の話、セナを怒らせる前、健太郎はなんで冗談を行ったりするのかな?」


「なんでって……そりゃ、気持ちよくなって言いたくなるから?」

思えばジョークを口にする時って自然と頭に湧いてくるんだよな、いつもは考えても出てこないのに、そういう時はするっと頭の中の回路が抵抗なく同通した感じで、多分、そういう時はセナと話してて気分がいい時が多い、


「多分、今のままよりもっと有効的な関係になりたいとかそんな感情が働いてるんだと思うぞ??」


「けれど、結局セナはそのジョークを受け付けない事が多いと」

ハクリューは再び背筋を伸ばし、そう質問する。


「そう、そうなんだよ!なんか、フッと鼻で笑ったり、ソスカとか愛想のない返事返してきたら、それで俺もなんか腹たってくるんだよな、こっちから歩み寄ってやってんのにさ」

俺がやれやれといった様子でそういうと、ハクリューは俺にずるずると近寄りながら、


「そこなのだよ、健太郎!」


と言ってくる。


「何が?」


「つまり、そういう場合、ジョークをいうまでは二人はいい感じの雰囲気になっているわけだね?」


「まぁ、そうだな……」


「ならば問題は明白じゃないか、そこからの歩み寄り方にお互いの感じ方に違いがある、そうは思わないかい?」

すぐ眼下で俺を見上げるハクリュー。

ふむ、そう言われるとそんな気がしてこなくもないぞ?

俺はいつも気分がなるとちょっとパンチの効いた攻撃的なジョークをいう節がある。

例えば一度、セナに何か物を買ってあげてセナが喜んで感謝を言ってきた時など、

「ありがとうございます、健太郎さん!」

など嬉しそうにセナに言われ、

「大事にしろよ?」

と俺が言った後、


「はい!大事にします!」

とセナがいい、買ってあげた小物の入った包みをか大事そうに抱えているのを見て、気分がよくなった俺は


「よし、これからセナが怒った時はあの店だな!」

と軽い冗談を入れた後、セナが急に不機嫌になりだした事がある。

それは静かな活火山のような怒りがグツグツと心のそこから滲み出てるのが感じられる程に。

そしてそれ以降、その店に行くのをセナは嫌がるようになった。


「いいかい健太郎?」


「お、おう……」


「健太郎が良かれとして放ったジョークは、健太郎の中ではそういうのも許し合える関係を保ちたいとの想いがあったのかもしれない」


「う、うん……」


「けれど、セナにとってはただただ何かしらの恐怖や不安を連想させるだけのモノであったりするのではないかな?できれば二度と出逢いたくない類の」


「ほ、ほうほう、」


「つまりだね、健太郎の想いは、セナの安全圏を突き抜けてしまっている、という事なのだよ」


「け、けどさ、それだって二人の関係が強固なものなら笑って流せるものにならないか!?」

焦る俺に、


「簡単にそういうふうになれるならこの世のいさかいは当になくなっているさ」

確かに……俺には経験がないが、固く愛を誓い合った男女でさえ長い時間の経過とともに互いの心は離れていってしまうというのはよくある話だ、ましてや俺なんて……


「つまりだね、想いや事象を受け取る一人一人の精神の土壌は完全に異なる」


「そ、そうなのか……」


「ああ、純粋な優しさを感謝に感じる人もいれば重荷に感じる人もいる。純粋な疑問を批判に捉える人もいる、一人一人異なるから一つのやり方ではいつもうまくいかなくなってしまうのだよ」

ハクリューのいうことに思い当たるところがありすぎて言葉すら出せずにいると、ハクリューは俺に背を向けずるずるとヤドランの方へと戻っていく、そして途中でピタリと止まったかと思うと俺の方をふりかえり、


「あ、今の話セナには内緒だよ?セナからすれば面白い話じゃないだろうからね」


とウィンクをしてくるのだが、まて、冗談を言えなくなった今、俺はこれからどうやってセナとやっていけばいいんだ!?


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