相談相手はテディベア。
プルルルル
プルルルル
誰だろう?
知らない番号。
仕事かな?
「もしもし」
仕事だったら、
お疲れ様です。
とか言うのに?
しかも、女性だわ。
私「もしもし。」
「急に電話、ごめんなさい。
お久しぶりです。
私、小山ゆうきの
姉です。」
って、あの大好きだった、もと彼の
お姉さん!!!
なにがなんだかわからないで、
言葉が出ません。
その上、内容が内容で、
加賀山みさこ、内容を整理して、理解するまでに時間がかかる…
とにかく、
ゆうきは
入院中で、
余命宣告された。
なぜに私にお見舞いに来いと?
私「ゆうき君のお姉さん、ごめんなさい、お話をお伺いして
ちょっと心の整理がつかなくて、なんて言っていいか、わからなくて、…」
ゆ姉「そうだよね…急にこんなこと言ってほんとごめんなさい。
みさこさんの話になってね、なんだかとてつもなく懐かしそうに、あの子話し出すの。
ゆうきの携帯からみさこさんの探して、電話してくれって言われたんだ。」
彼とはいまさら会っても
なんの話もできないし、
何を話せばいいかわからないし。
5年も前の話の事実や感情をいま話題にしても、なんの得にもならない。
えーえー
私、まあ、
自得のかたまりですよ、
加賀山みさこは!
しかも、彼の状況からして、
私はかなりきつい。
どうしたらいいのかな?
お姉さんはとってもいい人なんだよね。
あの頃からそう思っていた。
いろいろお世話にもなったし。
同じ学部だった、お姉さんにいろいろ聞いちゃったり、試験のとこ聞いちゃったり。
そのときだって、
お姉さんに大学のことを聞きたい
わけでもなくて。
お姉さんと仲良くなりたいから
聞く内容なんて、どうでもよかったんだよね。
お姉さんにも会いたいなあ。
どうしよう。
ゆ姉「私もみさこちゃんに会いたいし。」
自分のことは自分で考えて、
考えた結果のみ
ほかの人に伝える、私。
いわゆる事後報告。
でもさあ、
元彼に会うってことでしょ?
どうするよ!
ふつーなのかな?
あれでしょ?
復活?!
とかは、
ないないないない。
ない
というか、
ついこの間、
darlingできたこの身ですし…
その前に、
彼の状況が。
「ゆうきに会える?」
わからない。
どうしたらいいか、
わからない。
私「ちょっと、今、答えが出ないですね。」
ゆ姉「そうだよね、うん、わかった。ただ…
あまり時間ないから、それは、頭に入れておいてね。」
未来感について、
私は、一見
否定的な、意見を持つ。
「明日は来ない。
くる確率は、
極めて低い。
だから、今日できることは、
今日したい。」
今回のゆうきのことも、
時間がないってことで、
早めに考えなくちゃいけなくて、
明日は来ないかもしれないって、
このこと?
私の明日は、
私の掌にしかなくて、
誰にも委ねられなくて。
明日がくる確率
なんて
その手のしわの
手相の小さな溝に
入ってしまうくらいの確率で。
実体験。
今日考えて
明日決めないと。
ゆうきのためにも
今後の私のためにも?
え。
あ、はい。
彼に
会うもの
会わないのも。
結局は、私が決めなくては。
ね。
うん。
はい。
なにか考え事が
発生するとたいてい
すがりつくもの
があった。
それは、
恥ずかしくも、
テディベア
どうしたらいいのかのな?
でも、結局
心の声を確かめているだけ。
テディベア『お見舞いに行っておいでよ。』