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第三十八話 イントロダクション

第二部が始まりました。これまで以上に残酷でアグレッシブな場面が多くなります。

よろしくね!!

 東京24区目。

 それは東京湾からわずか数キロ離れた海上に存在する人工島を指す。この区にも正式名称はあるが、長すぎる、今更新しい名前に馴染めないなどという理由でいつの間にか国民全体で24区の呼び名で統一されてしまった。おかげでこの区は滅多なことでは正式名称で呼ばれなくなった。

 その島は日本政府が巨額の予算を投資して一から建設し、医療の発展のために作られた直径二キロほどの小さな島だ。機密漏洩防止のため、一般人の訪問は禁止されている。関係者や政府要人のみが立ち入ることを許され、行き来するには専用の偽造不可パスポートの提出と最先端の顔認証、指紋認証をクリアしなければならない。それが無事済めば海底に建設された地下トンネルを通る鉄道を使ってようやくたどり着ける。

 島の中央部にあるツインタワー屋上にはヘリポートも備えているが、それは緊急時以外に使うことは許されない。例えそれが総理大臣であったとしても例外はなく、現総理大臣である立田茂夫たつたしげおもやたらと長い手続きと移動を済ませる必要があった。


「やれやれだ。もっと簡略化してもいいだろうに」


 夜になり、島にたどり着いた彼はツインタワーの片割れのエレベーターに乗り込み、そうぼやいた。隣で秘書の女が書類に目を通しているが彼に対して相槌を打つことすらしない。不愛想な秘書だがスケジュール管理を始め非常に有能なのでこれくらいのことで解雇はできない。なにより秘書のボディラインが彼にとって目の保養になる。それ以上にそばに置いておく理由があるだろうか。


「総理、その目はセクハラですよ」


 立田の視線に気が付いた秘書がきつい目つきで睨んできた。彼女は実は結構な年のはずだが、童顔のせいで睨む顔もむしろ可愛い。


「ははっ、次はバレないようにしないといけないな」


 そう言って立田はわざとらしくエレベーターのパネルに目をやる。


「全くもう」


 ふう、とため息をついて秘書は再び書類に目を落とした。もう何年もこういうやり取りを繰り返してきた。立田は秘書に本当に手を出すつもりはないし、彼女もどこかに訴えることもしない。これくらいの距離が二人にとって丁度良いのだ。

 ところでエレベーターはタワーの最上階である64階に向かっている。小さな島にそんな高さのビルが二つもあるのだ。誰もが高すぎる、予算のかけすぎだと物申したがすぐに医療関連の研究員で埋め尽くされ、誰もビルの規模に文句を言うことはなかった。むしろ今回の訪問の目的が追加のビル建設についての会議になるほどだ。研究は恐ろしく順調に進んでいる。

 立田と秘書の乗るエレベーターが64階に着き、扉が開く。

 扉の先には男が立っていた。


「ようこそ。24区へ」


 ラフなシャツとジーンズの上に白衣を身に着け、さっぱりと整えた頭髪と顎髭、そして黒縁の眼鏡が特徴だ。彼はここのすべての研究を管理し、さらに研究員をまとめるリーダーを務めている。こうしてたまに訪問してくるお偉いさん方の相手も彼が担当だ。


「大臣、多忙の中こちらまでお越しいただいてありがとうございます」


 男の名前はシドナム安純やすずみ。カナダと日本のハーフであるがカナダ人の父親がアジア系ということもあって見た目はほとんど日本人と変わらない。


「いや、いいんだ。ここは気に入ってる。野次とマスコミが飛んでこない場所なんてここぐらいだからな」


 立田の仕事ぶりは全くもって問題のないものだが、立場の都合上、どうしても周囲には敵ばかりになってしまう。ここまでわざわざ文句を言いに来る暇な国会議員はおらず、彼にとって東京24区は日本国内で数少ない心落ち着くエリアなのだ。


「大臣、こんなところで立ち話もなんですから奥へどうぞ」


 シドナムが部屋の奥へと案内する。この階は応接室と会議室だけで埋まっている。毎日何回もこの階で様々な研究員たちによって会議は行われているが、今だけはシドナムと立田達しかいない。

 シドナムによって応接室へと案内された立田は一人用の高級革のソファに雑に座り込んだ。


クリスマスはジルバを踊るぜ!一人で!!!!!!!!!

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