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独りぼっちの紅い風 ~スモールアドベンチャー第四章~  作者: 山羊太郎
第一章 アクト・オブ・バイオレンス
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第一話 イントロダクション

 すべての始まりは夜に起きた。


 この日が無ければ誰もが平和な日常を送るはずであった。その日は珍しく天気予報が外れ、大雨が日本の関東地方を襲っていた。


 ここは東京から鈍行電車で二時間の場所。人口も多く、十分に栄えている街。開発が進み、田舎と呼べるほどの規模はとうに超えている。


 その街のとある住宅街から少し離れたところに山がある。地元の人間が管理する小さな山だ。標高は100メートルもない。


 山頂には誰が建てたのか、どこの記録にもないほどボロボロの小屋がある。屋根も一部が欠け落ちておりもはや小屋として機能していない。


 そんな小屋の前に三人の男女がいた。


 一人は金髪の青年でいわゆる不良と呼ばれる見た目をしていた。手には刃渡り二十センチほどの大型ナイフが握られている。


 もう一人は少年だ。傷を負い、雨でぬかるんだ地面にうつ伏せに倒れていた。


 最後の一人は女だった。不良青年と少年の間に立ち、不良のことを睨みつけている。


「て、てめぇは誰だ! 失せやがれ!」


 不良青年がナイフの先を女に向け、そう吠えるも何も反応がなかった。


「このナイフが見えねぇのか、殺すぞ!」


 先ほどの出来事に気が動転していた不良青年は目の前にいる女にすっかり怖気づき、攻撃の動きを取る。迫りくる彼にナイフを振り下ろされ、女はあと少しで切りつけられてしまう。


 次の瞬間、女の目が見開かれ、動いた。


 地面に倒れていた少年は意識があり、このすべてを見ていた。あっという間に不良青年をノックアウトしただけでなく、そのままナイフを奪い取って殺してしまったのだ。


「あ、う……」


 口から声にならない声が出る。人殺しが目の前にいる。だが少年は女に対して恐怖しなかった。彼女が少年の命を救ったのだから。


「ダレ?」


 女が何かを呟いている。


 先ほどから続く雷が再び近くで落ちた。本当に一瞬の出来事だが暗闇が照らされ、少年は女の姿をしっかり確認できた。


 彼女は裸だった。一切の布を纏うことなく全裸そのものだ。


()()()()()……?」


 女の言うことは少年には理解できなかった。雨が強く、言葉が聞き取れない。


「クソったれ、()()()()……」


 女は気絶してその場に倒れた。続けて少年も緊張が途切れ、意識を失った。


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