第6話_抽選前夜より冷やか
良い店を見つけることが出来て満足そうな小嶋だったが、明日からの予定が皆無である。
とりあえずまたアッシュラットを倒して日銭を稼ぐか、、などと考えていた。
((もっと大きな敵を倒せばより金が手に入るぞ?))
そうノゾミがアドバイスしてくる。
(考えが及ばなかった。魔物からお金がドロップするならもっと大きい、または強い魔物を倒せばよりお金を落とすという訳か、)
(しかし、危ない裏路地に行ってまたケンカをふっかけられるのも、、マッドラットを追う事も危ないんじゃないか?)
小嶋はお腹が膨れて思考も巡るようになり、今までの短絡さを後悔した。
「なにかいい稼ぎ方はないのか?、明日1日分の食費、、、と宿代か、、そのくらいは稼ぎたいぞ」
そう小嶋はノゾミに訊ねてみることにした。
ダメ元であるが、どのくらいノゾミが知っていて、そしてそれを教えてくれるのかどうかを試す意味もあった。
((あーー、、、よく知らん。 第一、答える義務は無い。だが、冒険者なんてやってみればどうだ?))
最初に否定を入れるが、ノゾミは最後にはヒントをくれる。
「冒険者か、、、、」
少しその場で悩むが、
「今俺には何もないし、そういった異世界らしいことして金稼ぐのもありだな! 一応魔力もあるし?、 弱いのから倒せば宿代くらいは1日でどうにかなるだろ」
そう決めると、 小嶋は店を後にした。
………
……
…
「そういえば、どうすれば冒険者になれるの??」
夜風に当たりつつ、夜道を数分歩いていたが、ふと思いノゾミに質問をぶつけてみた。
((、、、それ聞くの遅くないか、?))
そう言われ、少し恥ずかしくなる小嶋。
「と、とりあえずどっちいけばいいん?」
ふー、、とため息のようなものが聞こえるた後、ノゾミは
((とりあえずこのまま、 少しして右に行ってデカイ建物がギルドだ。まぁこの時間やってるか知らんがな。))
(悪態を挟みつつも、教えてくれる。ノゾミ、、コイツツンデレなのか?)
そう考えながら、小嶋はノゾミに言われた通りに進んで行く。
少しして、
小嶋の目の前には馬鹿でかい建物があった。
周りの建物は2階建までしかないのに、この建物は5階まであるように見える。
(この目立ち様まさにギルドだな、、)
大きさにビビりながらも、冒険者としてスタート出来ることを少し嬉しく思い、小嶋は少しニヤつきながらギルドの扉に手をかける。
「俺の物語はここからだ!!」
そう言いながら力一杯扉を押す。
しかし扉はビクともしない。
試しに引いてみても扉は全く動かず、閉じたままである。
(ま、まさか、、)
その時ノゾミに言われた
((この時間やってるか知らんがな))
の言葉が脳裏に蘇る。
「やってないんかーーーいっ」
こうして小嶋はギルドの扉の前で野宿をするのであった。
野宿をするのはパチスロ屋の抽選を受けるために徹夜で並んだ日以来だ。
冷たい土は、その時のアスファルトより冷たい気がした。