14話
学校見学を終え数日が経った。
今は5月の始まり、ゴールデンウィークの真ん中って感じなんだが、今日は家族で初めてのお出かけ回でござる。
俺も出かけるにあたり、家族会議が執り行われた。
対策として女装をする流れになったが断固として拒否させてもらった。
女性に興味津々の健全男子ではあるが、女性になりたいわけではないのだ。
まぁ、前世の男子校時代には、「もう……ゴールしてもいいよね」って思ってしまった、キュートな男の娘もいたのだが、俺は諦めず童貞を守り抜いた。前も後ろもだ!
そんな事はどうでもいい、これから学校も始まるのにスカートを履いて行くなんて流れになっても困るしな。
家族も駄々をこねる俺に心を痛めたのか女装は諦めてくれました。
なので俺の服装はジーパンにジャケットって感じでラブコメのテンプレ主人公って感じだ。やったね!
主人公補正で新たな出会いに期待だね!
「ぐへへ」
「ニヤニヤしてるお兄ちゃん……かわいい」
「まふゆー!はるとくーん!行くよ」
「「ふぁーい!」」
小夏に呼ばれて家を出る。
移動は麗子さんの運転で秋代ママン、小夏、真冬ちゃん、俺氏の5人でお出かけ。
行き先は買い物をしてディナーって感じです。
テーマパークや水族館などは男性優待券などで一般客と別に見ることもできるみたいだけど、今回は見送りました。
車中では揺れもないのに真冬ちゃんが「ゆれるー」っと言ってくっついてくる。小夏も顔を真っ赤にして「すごくゆれるー」って言いながら反対側から密着してくる。
姉妹サンドイッチ最高です。ありがとうございます。ありがとうございます。
そうこうしてると到着してショッピングモールに入ったんだが……視線が凄い。ハンターの目をしてやがるぜ。これは男性が家を出ない気持ちが少し分かる気がする。
麗子さんのメンチビームで近付く人はいないけど、周囲に人だかりができてる気がする。
とりあえずカフェに逃げ込む。
「春斗さん、今日は買い物難しいかも」
「いいですよ、Amazonessで大体買えますので」
秋代さんが申し訳なさそうに言ってきたけど、アマゾネスは便利と言うよりチートです。
それよりも外ではお忍びデートしかできない気がする。これでは今後の野望に支障が出てしまう。
基本好感度MAXスタートだからデートは必要ないと言えばないんだけど、俺はデートがしたい!テンプレデートをしたいんだ!そして最後には……
「ニヤニヤしてるお兄ちゃん……かわいい」
未来の卒業式を想像したあと、俺はスマホで館内施設を調べてみる。
「男性専用アパレルショップか……」
「確かにそこなら買い物できそうね」
秋代さんのオーケーが出たので向かう事に。
「いらっしゃい……ま……せぇ!?」
あれ?男性専用店なのに来店にビックリするのか?経営は大丈夫なのか?売上とかさぁ。
「旦那さまほどのイケメンはお目にかかる事自体が奇跡のような確率です」っと耳打ちをしてくる。ちなみに麗子さんから良い香りがしました。ありがとうございます。
「少し店内を見たいのですが」
「はい。どうぞ。お着きの方は店内入り口の待合室でお待ちください。」
真冬ちゃんと麗子さんが抗議していたが、男性客に配慮したルールのようで、渋々座っている。
俺ひとりになり、店員さんも気を使ってか離れていった。服や小物など色々あったけど、アクセサリー類なんて前の世界の女性用って感じだった。
店内を見てると女性と目が合った。
俺も、何で店員さん以外の女の人が店内に?っと思い見ていると、小走りで近づいて来たぞ!
「あのッ!」
「な、なんでしょう……?」
目の前にはショートボブでワンピースとカーディガンを合わせた服装をしている、ゆるふわ女子が凸って来ました。
「僕……」
僕ッ娘好きです!見た目もストライク!これは運命的な出会いなのでは!
「大山 虎太郎って言います!お友達になってくれませんか!」
こたろう?えっ?
「女の娘だよね?」
「いえ、男の娘です」
この世界に来て初めて男の友達……
いや……男の娘友達ができそうです。




