13話
「我が校は全面的に荻野様の要望を受け入れたいと思っております。婚約者同伴で通われる事も許可致しますし……」
「いやいや、そんな要望は無いです!この人はボディーガードと言いますか、男性保護何たらなので、婚約者ではないです!」
「今は」
「そう、今はって、麗子さん!合いの手みたいに入ってこないで下さいよ!」
理事長や教頭は俺たちのやり取りに「あわあわ」と狼狽えていた。まぁ、男性の機嫌を損ねるのは大罪です的な文化なのでヒヤヒヤものだわな。
「えっと、とりあえず学園生活や校内の見学をさせて欲しいのですが……」
「では、校内の見学は私が案内致します。本日は失礼があってはいけないと思い、部活動はお休みにしてます。普段の活気は見れなくて申し訳ありませんが、設備や施設を案内致します」
普段の学園の雰囲気や美少女チェックをしたかったけど、しかたないな。
「案内よろしくお願いします」
その後、見学を済ませ来客室に戻ってきた。
途中下駄箱の前を通った時に俺の靴の前で女性教師であろう人が「いけないわ、私は教師なのに」と言いながら、鼻息荒く俺の靴に手を伸ばしかけている場面を目撃してしまうというハプニングはあったものの見学は無事終了。
正直、共学に通うにはここ以外は反対されているし、選択肢は無いようなもんだな。入学をササッと決めて早く学園に通えるようにしてもらおう。
「綺麗な学園ですね、姉も通っているので安心ですし」
「「では!!」」
理事長と教頭の声が重なる。
「はい。入学したいと思います。」
「そ、それでは気が変わらない内に入学届けと同意書にサインだけでも先にお願いします!」
学園側も入学の確約が欲しいのか同意書を求めてきた。まぁ、特に気が変わる事も無いだろうし問題ないな。
「じゃあ、サインしますね」
俺は3枚の紙を受け取りサインしていく。
入学希望用紙にサインっと……
同意書にサインっと……
婚姻届けにサインっと……ん……んん!?
んんんんん!?
『妻になる人 藤堂 麗子』
んんんんん!?
ビリ!ビリ!ビリビリッ!
「何て事を!?」
俺はこの女を危険度SS級に認定する。




