10話
月明かりに照らされた美少女が枕元に立っていた。
真冬ちゃんである。
眠気も吹き飛ぶ質問をされ俺は目を覚ました。
「おにいちゃんはおっぱいが好きなの?」
自称おっぱいマイスターの俺は、この問いには答えなければならない。
俺は真冬ちゃんを見つめ答える。
「俺はおっぱいが……おっぱいが……」
ない!だと……。
真冬ちゃんに二つの双璧がない!
これは、試されているのか。
真冬ちゃんは俺を見つめている。
顔にあまり感情が出ないのか、表情からは考えが読み取れない。
「おにいちゃん?」
待て、新しき妹よ!
最善の答えを探しているのだ!
「おにいちゃんは大きなおっぱいが好きなの?」
自分の胸に手を当て、少し悲しい顔になる。
そんな顔をしないでおくれ。新しき妹よ。
「俺は、チクビ派だから!」
「チクビ……?」
ちがぁぁーう!
間違えた!間違えた!間違えた!
冷静な判断ができなくなっている。
しかし、このまま押しきるしかない!
「俺は、大きさよりも……そう、色や乳輪を重視する紳士だから。」
俺は何を言っている。
「チクビは私にも二個ある……」
君も何を言っている。
「う、うん。そうだね。ハハハ」
乾いた俺の笑い声が静かに響く。
会話が途切れ気まずい。
「お兄ちゃん、ちょっと眠たくなったから今日はもう眠るよ。お休み真冬ちゃん。」
耐えきれず、布団に逃げる。
「お休み、私のお兄ちゃん。」
ー翌朝ー
小夏が起こしに来てくれて、リビングに降りると、秋代さん、小夏、それに真冬ちゃんが椅子に座り俺を待っていた。
「春斗さんおはようございます。」
「春斗くんおはよう。」
「……。」
「おはよう。」
真冬ちゃんが無言なのはスルーして朝の挨拶を返す。
家族四人揃っての初めての朝食だ。
朝はやっぱり牛乳だよな。
「真冬、春斗さんにちゃんと挨拶しなさい。」
秋代さんが真冬ちゃんに注意をする。
俺は気にしてないけど。
真冬ちゃんは秋代さんの首より下の膨らみを恨めしそうに睨み付け……。
「ママ!お兄ちゃんはチクビ派だから勘違いしないでよ!」
ブフゥー!!
俺は盛大に牛乳を吹き出した。
「ちょっ、春斗くん!?」
正面に座る小夏にクリーンヒット。
日に焼けた肌が牛乳まみれに。
これで、俺の要注意人物リストに真冬ちゃんの追加が決定した。




