ぷろろーぐ
俺の名前は高山 春斗。
女性に縁のない人生でした。
そう、言葉通り人生を終えたのだ。
人生とは残酷なもので18歳という若さでだ。
「悔いの無い人生でした」
なんて、1ミリも思えない。
なぜですか?と問われるならば答えるだろう。
道程だからだと!
辞書にも書いているだろう。
『道程』
1ある地点に着くまでの距離。みちのり。行程。
2ある境地・状態になるまでの時間。過程。
3ある経験ができなかった者。童貞。
つまりはそう言うことだ。小、中、高を男子校で過ごし、ホモの包囲網を抜け、人生初の男女共学での学生生活をエンジョイしてやると野望を抱き迎えた大学入学式当日。
朝、家を出て右を確認、左も確認、うん。安全出発!なんて普段はしない安全確認をしながら歩き出し俺の視界は暗転した。
え?なぜかって?正面からトラックが突っ込んできたのさ!理不尽だろ?
俺の身体がどうなったのかはわからんが絶対死んでる。トラック100kmは出てるんじゃねーのってスピードだったわ。
超展開だが人生の幕引きである。
では、何故死んでいる人間が過去を振り返れるのか。
それは……
「特に傷や異常はないよな。」
スマホのカメラを使い画面に写る自分に声を漏らしていた。カメラに写るのは男共から「掘られイケメン顔」と言われていた俺が写っていた。
女性との出会いがないだけで、きっと顔が悪いわけでは無い筈だ。たぶん。
けど、なんか少し幼くなってないか?
身長も縮んでいる気がするし…
中3くらいの時の外見な気がする。
俺は頬をつねる。
「痛い……」
痛みがあると言うことは夢ではないのだろう。
こんなブッ飛んだ現象の中で俺の思考は、転移?転送?タイムスリップ?などと考えていた。
今の状況を考えると服装は事故当時の服を着ているが、少しサイズが大きく感じるのは、やはり身体が縮んでしまったのだろう。
「バーロォー」
何故か言いたくなってしまった。
スマホも俺が普段使っているもので、違いと言えばアドレス帳やダウンロードしていたアプリが無くなっていること。電波は圏外になっている。
現在の場所は恐らく街中なのだろうか、大きな建物やコンビニ等が目に付いたが、今は建物の間に隠れている。気が付いた時はこの場所に立っていて周囲を確認するために少し散策していたが違和感を感じダッシュでこの場所に帰ってきた。
違和感と言うのが女性の視線である。
何故か見られる、しかも獣の様な目や神々しい者を崇める様な態度もあり、自身の確認を行い現在に至る訳である。
「なんか、怖えぇぇ」
建物の影から顔を出し周囲を見渡しながら声が出てしまう。
「あ、あの!!!そこの君!!!」
「ひゃい!!!」
いきなり後ろから声を掛けられ奇声が出てしまう。
これか俺のこの不思議な世界でのファーストコンタクトである。