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双頭竜転生

火竜の方が俺だ!そして兄だ!2〜焼き魚編〜

作者: 鷹司

どうも!双頭竜の向かって右側 かっこいい火竜の兄です!


今日は森の南の方にあるここらで1番大きな湖に来てみた

なんやかんやあって地球から異世界に転生してから早5年、なんか最近氷竜だからって自己評価やたらと低かった弟と誤解からうまれた距離をなんだかんだで縮める事ができてハッピーな日々を過ごしてる俺ですとも!


いやーほんとこれまでは凄い力持ってて聞き分けの良い弟だったのが 可愛いくて凄くて気配りもできてスキンシップも取ってくれる弟になるとは思ってなかったわ

それでなんだか弟は『これまで兄さんにひどい態度とっちゃってごめんね?なにかお詫びしたいんだけどなんかある?』と言ってきてくれました

健気か…可愛い… 正直態度は悪くても良い子ちゃんだった弟に文句は無かったので断ると泣きそうになるからとりあえず今日は俺の我儘で魚を取ることになりました。



普段からたまにとってる小川の魚は捕まえやすい

手の届くところにいる魚を狙って爪を叩きつければすぐに捕まえられる

でも、たまにはそういう小魚じゃなくて大きめの魚が食べたい時もあるんだ!

こう、シシャモと鮎は食べてる時のテンションが違うじゃん…鮎の塩焼きみたいに あ〜〜身の部分食ってる〜〜って実感のある魚を食べたいんだ…あの内臓や尻尾取ろうとするとぐしゃぐしゃになる小魚はもう嫌なんだ

大きめの魚はワタとって串焼きとかしたら雰囲気でるよなー楽しみだ


「兄さんは魚が好きなの?」

「魚も 好きだな、火が通ってると最高」

「……?ふーん」

うん、理解を全く得られない事がよくわかった

普段生肉か果物ばっかりだもんな…弟は竜として当たり前だから生肉ガツガツしてるけど 俺は割り切れないから果物とたまに獲る生魚しか食べない 親にも顔を合わせるたびに偏食をたしなめられるくらいには竜の食生活合わない…ほんと弟いなかったら飢えてたかもしれないな

なんとか魚は刺身だって言い聞かせれば食えなくはない 好きじゃないけど食えなくはない

けどさすがに血も滴るような生肉はな…今度は焼肉とかもしよう…


そんなこんながあって湖に来たけれどそこからどうするか考えてなかった

少し水に触れるくらいなら俺も弟も問題ない

だけど全身水に浸かると翼の内側がなんだかそわそわするんだよね なんかこうかぶれるっていうか荒れるっていうかとにかく耐えられない不快感

目に見える所なら爪やブレスを使えばまず捕まえられるけど見えないものは捕まえられない

さてどうするか…

「兄さん、魚が食べたいって言ってたのに捕らないの?」

「あー小魚じゃなくて大きいのを狙いたくてな」

「大きいのいないね」

「きっと真ん中の深いところじゃないか?」

「どうするの?」

「んーどうするか…驚かす?」

そう言うと弟は長い首を傾げ少し考えると大きく息を吸い口を開いた


ガアァァァァァァァァァ!!!!


力強い咆哮に鳥が飛び立ち 湖面が揺れる

「どうかな?驚いた?」

「驚いたけど、むしろ魚は深いとこに潜ってしまったっぽいかな」

「えー」

俺を驚かしてどうする弟よ?

「真ん中だけ驚かせて端っこに来させるかんじか?」

「どうするの」

「んー…あっ岩でも落として見るか!!」

「おー驚きそうだね」

さすが兄さんみたいな目ですぐ見てくれるからほんと最近の弟はちょろ可愛いさも上がってるな可愛い


岩場まで行き抱えて飛べるギリギリの大きさの岩を選んで湖の上に行く

とりあえず試しに落としてみるがボチャンと大きな音がしただけでそんなに生き物の反応がなかった


「兄さん結構深そうだし高さが足りなかったんじゃないかな」

「そうだな、それともっとインパクトが大切だよな」

「いんぱくと?」

「とにかくすごいびっくりさせるんだ」

いくらおっきな岩が上から来てもゆっくりなら避ければ間に合ってしまうもんな…生命の危機を感じるくらいなことをしないと驚かせないよな

「よし、めっちゃ温めた岩を落とそう」

「たしかにそれはびっくりだね」

そうと決まればやるしかない

抱えやすさ重視で先ほどよりは一回り小さな岩を抱えて湖の上でホバリングする

「もっと上がる?」

「いや、ブレスでギリギリまで温めてから上がろう」

そんなに高高度でブレスを吐き続けた事がないので酸素のありそうないつもくらいの高さでかなり熱くしてから上がる事にしてまずは大きく吸い込みブレスを放つ

腹に向けて炎を吐くようなものなのでじゃっかん暑いが胴体はやたらと寒暖差に強い鱗をしているので特に問題ない

「…兄さんちょっと熱い」

「兄さんの後ろならそんなに熱来ないから後ろにいてくれ」

まぁ氷竜の弟は暑そうだが俺で熱波さえ防げればなんとかなったみたいだ

俺の首の後ろにぴったりくっつき暑さをやり過ごす弟の呼吸音と業火の岩を焼く音だけが聞こえる

双頭竜だと喉の弁さえ意識すれば片方に呼吸を任せて息継ぎ無くブレスを吐ける 俺に送るための空気も吸う大きな音と 殆どブレスと共に吐き出される所為で少ししか出ない吐く音、一定の音の繰り返しが弟がこまめな体の制御をしてくれるおかげだと伝えてくる

っていうかさっきから飛ぶのに意識してないから弟が全部やってるじゃん!?一定の高さでホバリング続けながら 大岩抱えて 呼吸にも気を使わせるとかほんとごめん

終わったらなんか甘やかそうと決めて早く終われるように集中してとにかく吐く 吐く 吐く…


しばらくすると岩は紅くぼんやり光り始めた ここまでくればいい気もするがさっきみたいに中途半端な結果は避けたい…もう少しもう少しと温めてかなり強い熱を放つまで温めた

「よし上がるか」

そう言い翼を動かし一気に上がろうとした瞬間手に抱えていた岩がぐにゃりと溶けて手からすっぽ抜けた

「えっ?!」

「兄さん!どうする?!」

熱しすぎたかもしれない…

そう思いながらどうしようもないかとその場で眺めていると湖面に溶けた岩が触れると同時に水面が泡立った気がした



その瞬間 轟音とともに全てが揺れる



上空にいたのに耳がちょっとキーンとする え、なに爆発でもしたの?

弟は初めての爆音に怯えてパニックで暴れてしまった…かわいそうな事したかもしれない

なんとか落下しないように弟をなだめて湖面をやっと見ると 大量の魚などが腹を見せて浮いていた

「すげぇ!爆弾漁だ!!!」

「なにそれ?」

ついテンションが上がってしまう

前世の常識で禁止されてたことって別に今は禁止されてなくてもなんかやるときドキドキするんだよな

まぁ水面での衝撃と音だけだったみたいなので大概は気絶しているだけだがいい感じに大きな魚が浮いている

「兄さん」

「うん?どうした」

「あれって叔父さんじゃない」

…見ないことにしていたのに

そう 魚など・・が浮いてるんだが3頭の水竜も仲良く腹を見せて浮いて来ている

その中にどうも見覚えある水竜がいる気がするが人違いならぬ竜違いじゃないだろうか?

「あの顎の傷は間違いないね」

…間違いないそうです

「……まぁいいから大きい魚とっちゃおうぜ」

「うん わかった」

湖面に浮いた魚で美味しそうなのを爪に引っ掛け岸に運んでいく

お〜大量大量 俺の巨体が満足できそうな量が取れてにまにましていると血相を変えた大人達が飛んで来たのが見えてちょっと遠い目になる

やばい 集落まで爆発音聞こえちゃったかな?

…これは魚を食べれるには少しかかりそうだ


この後俺だけめちゃくちゃ怒られた

すごいななんで主犯俺って一発で見抜くの

「兄さん食べる?」

俺の為に内臓を綺麗にとって洗ってくれている弟だけが癒しだ……でも今回の目的は生魚じゃ無くて焼き魚だって言ったよね?

「こら!話を真面目に聞け!!」

「はーい」

適当に返事していたら長老のお小言はまた増えてしまった


とりあえず、無闇矢鱈に水竜のいる湖に岩を落とすなと言われそれだけは頷いておいた

頷かないと説教続くし 魚が焼けないから仕方ない

ただ食生活がかかってるので魚を捕るのは今後も止ませんけどね







後日大きな魚が欲しいなとまた湖に近寄ったら

とつぜん弟が吼えた

「叔父さーん!!」

「あれ、叔父さんと仲良かったっけ」

「この前魚を洗ってる時にちょっとお話ししたんだ」

ふと気になったから聞いていると叔父さんがすごい勢いで上がって来た

「お、おおおお久しぶりだな2色の甥」

シュッとした体の若い水竜は 鱗の色も顔の形も結構弟に似ていて正直ずるいと思う 母方の顔は美人さんだな〜

叔父さんはちょっと気弱なのかチラチラと俺と弟を交互にせわしなく見ながら尻尾を体に巻きつけるようにしている、竜なのになにが怖いんだか?

「叔父さん、わかってるよね?」

「当たり前だろ だからもう少しだけ猶予を…!」

「なぁ弟よ なんの話ししてるの?」

話についてけなくて兄さん寂しいよ?

「あー叔父さんが かわいいかわいい甥っ子の為にお魚取って来てくれるんだって」

「え?!ほんとに?叔父さんありがとう」

「え?おお恐ろしくかわいいからな……」

「おい!若いの!魚が取れたぞ!!早く2色のに渡しとけ」

なかなか美味しそうな魚が岸に置かれて嬉しくなる

「叔父さんありがとうね、また兄さんが欲しがったら呼ぶよ」

「おお、絶対に呼べよ」

水竜の皆さんは常にびくびくしてる…火竜は気性が荒いとか聞くから水竜もそんななのかな?

「兄さん 叔父さんはほっといて魚を焼こう?内臓取ってあげるね」

「そうだな!叔父さんありがとう!また来るよ」

そうお礼を言うと泣きながら小さく

おうと返事してくれた

甥にちょっとお礼を言われたくらいで泣くほど嬉しいなんてもっと遊んで懐いてあげたら良かったかな


それは置いとき 木を集め無理やり燃やして焚き火を作る 生木だろうが燃やせば燃えるんだよ

弟に長い串を丸太から掘りだしてもらい魚の尻尾近くから頭までうねうねと突き刺してもらう…なんで同じ体なのに弟だと前脚が器用なんだろう

見た目は完璧になった『異界産鮎?の丸焼き』、串を両手で持って腹らへんにかぶりつく 油が染み出し皮のパリパリした食感もたまらない

「あー美味い…でも塩があったら最高なのにな」

「しお?」

「海はこの辺無いし岩塩かな」

きっと弟も塩なら野生動物も舐めるらしいし気にいるだろう

聞いたことない言葉に不思議そうにしている弟に笑いかける

「一緒にいっぱい美味いもの食べような」

「うん!」




その数日後

岩山に地竜の絶叫と長老の説教が響き渡ることとなった

注意:今回 爆発に関しては界面接触型の水蒸気爆発をイメージしておりますがあくまで異世界なので細かい物理法則などは考えておりません

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[良い点] 前作の感想で続きがあると聞いて飛んできました! 弟が兄LOVE強くなってる? 兄はちょっと前作よりおバカになってる?w だがそこがいい!
[良い点] 双頭竜のお話、一年近くも前に更新されていたなんて(@_@;)気づきもせずに前回の話を何度か読み返して、今日も読みに来て漸く気づきましたwww 兄弟の仲の良さが最高☆(о´∀`о) 他の竜…
[一言] 知り合いのブクマから来ました! 句点が無くて少し読み辛かったですが、面白かったのでどちらも一気読み。。 続編はまだかー!(笑) 人間との絡みをもっと見たいです(*´ω`*) 冒険者とか、勇…
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