猫なんざこき使え!
二人は二日かけて、ようやく町にたどり着きました。
チト「さて、どうしましょうか」
ココ「わあ!見て見て!お店がいっぱいだよ!」きらきら
チト「うんうん。ココ、まずは私の話を聞きなさい」
ココ「はい」
チト「どんな家に住みたい?」
ココ「うーんとね。二階建てがいいな!」
チト「じゃあ、町を散歩しながら、ゆっくり探しましょうか」
ココ「はーい!」
のんびりと町を散歩してみましたが、活気もなく、どこか寂しい町でした。
チト「町と言えど、やっぱしみんな貧困なのね」
ココ「このパン、固い……」むむっ
チト「小さくちぎって、焦らずゆっくりと食べなさい」
ココ「んふふ!」もむもむ
チト「ふふ……。お姉ちゃんがしっかりしなきゃね」なでなで
ココ「あれ?」
チト「あら。ここが町の端っこみたいね」
ココ「うわっ。大きな建物ー」
チト「図書館?」
そこへ、一人のおばんが声をかけます。
おばん「図書館は、本が沢山あるところだよ」
チト「ほーん」
ココ「楽しそう!」きらきら
おばん「今は閉鎖されているけどね。誰も、メルヘンなんて求めないから」
チト「うん。メルヘンなんてクソくらえ」
ココ「どうして?ひどいよ」
チト「だって、つまんねえし」
おばん「そうそう」
ココ「そんな……」しゅん
チト「あ。おばさん、ここって金で買える?」
おばん「んー……どうかな?」
チト「はっきりしろよ。大人だろ」
おばん「知り合いに聞いてくるから、そこで大人しく待ってなクソガキ」にっこり
で。
チト「ちっ、金が尽きた」
ココ「今日からここが僕達の家だー!」とたたた
チト「走り回るとこけっほ!っほ!ええいクソッたれ!」
ココ「こほっ……埃まみれだね」
チト「よし、とりあえず掃除しますか。窓は特に綺麗にね」
ココ「はーい!」
日が沈むまで、二人は一生懸命お掃除をしました。
チト「よし。二階は綺麗になったね」
ココ「下は?」
チト「明日やるわ。まずは住むところが大事でしょう」
ココ「うん!そうだね」
魔女「おーい」
チト「何よ召使い。起きたの」
魔女「召使いはやめてちょうだい」
チト「やだし」
魔女「他に名前を下さい!」
チト「もーわがままなんだからあ……ココ」
ココ「ええーと、じゃあ……クッキー!」
魔女「やだし」
チト「次、真似したら埋めるよ」
ココ「うーん……うーん……あ!」
魔女「ごくり……」ときとき
ココ「カフェ!」
魔女「ええ……」
ココ「毎日飲んでたでしょう。羨ましかったの」
チト「いいよね?」
カフェ「し、仕方ないわね……」
チト「カフェちゃん。お願いがあるの」
カフェ「カフェちゃ……。お願いって?」
チト「ここに、ベッドやテーブルといった家具一式。下の奥の部屋には、かまどをこしらえなさい」
カフェ「ええ、いいわよ。でもその前にあたしからもお願い」
チト「無理」
カフェ「少しは聞きなさいよ!あんたほんと!もう!」ちくたく!
チト「チクタクうるさい。それで何よ」
カフェ「あたしを、おまじないで猫にしてちょうだい」
チト「まんまと魔女にしようったって、そうはいかないわ。馬鹿フェちゃん」
カフェ「安心して、念じるだけでいいの。それをあたしが利用するから」
チト「利用されてなるものか」じとー
カフェ「あーもう!じれったい!」ちくたく!
ココ「僕が念じるよ」
チト「駄目よ!やめなさい!」
カフェ「あなた、あたしに食べられるところだったのよ」
ココ「本当に食べるつもりだったの?」
カフェ「ええ」
ココ「じゃあ、やめとく」
チト「正しい」
カフェ「嘘よ!食べる気はありませんでした!とにかくごめんなさい!だから許してーねえーえー!」
チト「情けない魔女ね」ためいき
カフェ「ふぇぇん……」ちくたく…
チト「ほら、利用しなさい。その代わり、しっかりたっぷり働いてもらうよ」
カフェ「いいのかい?」
チト「疲れたし、はやく寝たいわけ。あ!風呂も用意しなさいよ!」
カフェ「ええ、じゃあいくわよ!」
グリムグリムゴボウノササガキカイパンイッチョウ。
と魔女が唱えると、なんということでしょう。
あの微妙な懐中時計の姿だった魔女が、紅い瞳の愛らしい猫へと変わったのです。
カフェ「どう?」
チト「きっきっきっ!」けらけら
カフェ「何よその笑い方、きもっ……はっ!」
ココ「上が白で、真ん中が茶色で、下が黒。カフェオレみたいだ!」
カフェ「チト!あんたやってくれたね!ええ!」
チト「笑い死にそう……はーあ」
カフェ「くっー!」じだんだ!
チト「そうだ。月の光から外れたらどうなるの?」
カフェ「大丈夫、自由気ままに猫のまま。ただし、夜の間だけね」
チト「ちっ!ハメられた!」
ココ「メルヘンだね」
チト「だからメルヘンなんてクソくらえなのよ!!」ぷん!
こうして、三人……。
二人と一匹の不思議な金稼ぎ生活が始まりましたとさ。
続け!




