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メルヘンなんてクソくらえ!  作者: 夢見る女の子
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夢ってのは使い捨ての燃料なんだぜ!

この町での残り少ない夜の一つ。

ベッドの上に、二人の姉弟と、その間に猫が一匹。


ココ「カフェ!お話を読んで!」


カフェ「もう自分で読めるでしょう」


ココ「読んでほしいの!」


カフェ「お姉ちゃんに頼みなさいな」


ココ「無理言わないでよ」ひそ


チト「今なんて?」


ココ「ごめんなさい!」ひぃ!


チト「貸しなさい」


ココ「え?読んでくれるの?」


チト「何よ」じとー


ココ「だってメルヘンだよ!チトが嫌いなメルヘンなんだよ!」


チト「えーと。藁と炭と豆の笑える話、短いしこれにしよ」ぺら


カフェ「良かったわね」


ココ「うん!」



ある家のババアが、腹減って豆を煮て食おうとした。


かまどに火を起こして、よく燃えるように藁を掴んで放り込んで、水を入れた深鍋を沸かした。


で、沸いたら深皿いっぱいの豆をぶち込んでやった。


豆が一つ、バレないように逃げた。

てかぶっちゃけ、たまたま落ちた。


ついでに、藁も一本逃げてた。

てかぶっちゃけ、たまたま落ちてた。


その先に、真っ先に逃げ出していた炭がいて。

「どこからきたの?」

て聞いた。


豆(低い声)「深皿から、こぼれ落ちたのよ」


藁(高い声)「ババ、お婆さんの指の間を、すり抜けて落ちたの」


炭は言いました。


炭(カフェ)「てかさ、力づくで逃げなかったら、危うく、燃え尽きてしまうところだったわ」


藁(高い声)「私の仲間は、六百本、六百本てひひひ、も、も燃やされたわ。私も逃げて良かった」


豆(低い声)「私も同じ。私の仲間なんて全滅よ。全滅ー!はは……ふぅ」


じゃ、もうこんな哀しい事が起きないような、どこか遠い所へ行こうと皆は決めて外に出ました。


で、その先。川があったわけ。

渡ろうにも、橋がねえ板もねえ。

そこで、藁が言った。


藁(高い声)「私が橋になるわ!あなた達は私を渡りなさい!」


豆(低い声)「そんな!そんなこと!」


藁(高い声)「いいから行って!」


そうして、せっかちな炭が先に渡ることになりました。

で、真ん中辺りで下見て。


炭(カフェ)「凄い流れ。私恐いわ……」


と足を止めたもんだから、はは、藁が燃えやがっ、へへっひっ、燃え上がって落ちたきっきっきっきっきっ!



ココ「もう!チト!」


チト「はーあ……はいはい」



したら炭まで落ちて、えっへっへっへっ!

ジュッて息絶えたってはっはっはっはっはっ!


でさ、それ見た豆。

腹かかえて大爆笑よ。

したら、はひゅっ……パンッてはじけて危うくおだぶつーうっふっふっふっ!


ふぅーう……ふっ。

そこに優しい小人が通りがかって、豆を黒い糸で縫ったから、ソラマメには黒い縫い跡があるんだってよ。



チト「おしまい!」


ココ「もー」


チト「何よ。文句あるの?」ぷくー


ココ「ううん、ありがとう。はい次はカフェお願い!」


カフェ「ええー」


ココ「読んで!」


カフェ「じゃ、金の球ね」



ある木こりの家に、男三兄弟がいました。

一番下の弟は何やってもドジばかりで、のろまと、家族からも町の人からもそう呼ばれていました。


さて、そんなある日。

三兄弟は浮気して出て行った父の代わりに、木こりの仕事をすると言いました。

母は、一番目と二番目の兄にパンと酒を持たせて見送りました。

一番下の弟はのろまなので、行かせませんでした。


それから二人の兄弟が森に入ると、ある木の根で、一人の小人が休んでいました。

小人は、二人を見るとこう言いました。


「ひもじいので、パンとお酒を少しでも分けておくれ」


兄弟はそれに対して、口を揃えて答えました。


兄弟(チト)「死んでもやだし」


すると、小人は呪いの言葉を吐き捨て、森の奥へ消えました。


その後、仕事を始めた二人でしたが、斧で怪我をして家に血塗れで帰りました。


数日後。

下の弟があまりにも口煩いものですから、母は、カビたパンとお酢を持たせて、下の弟を仕事に行かせました。


こうして森へ入った弟の前に、あの小人が、同じ場所に現れました。

小人は、上の兄二人に言ったことと、まったく同じことを言いました。

それに対して下の弟は。


のろま(ココ)「分けてあげたいけれど、僕が持っているのはカビたパンだけだよ」


それでも小人は、いいから頂戴と言いました。

下の弟が仕方なくカビたパンを出すと、それは立派なパンケーキが出てきました。

しかも空のお酢のビンには、上等なワインが入っていました。


二人は大騒ぎの大盛り上がり。

そして別れ際、小人は下の弟に、あそこにある木を切るといい。

と残して、森の奥へ消えました。


下の弟がそれに従って、ある木を切ると、根本から金の球が出てきました。


下の弟は大喜びして、とりあえず近くにあった宿で休みました。

下の弟が眠っている間、宿屋の娘の一人が部屋に忍び込んで、男の金の球を盗もうとしました。

ところが、なんということでしょう。

男の金の球から手が離れないのです。

そこへ姉がやって来て、引き離そうと妹を掴んだら、同じく、妹から手が離れなくなりました。


ところで、下の弟は一度も起きることなく、ぐっすりと翌朝まで眠っていたのですが。

起きてびっくり。

金の球からたくさんの人が伸びていたのです。


でも、まあいいや。

これを王様にやって、美しいお姫様をもらおうと、下の弟はお城に向かいました。


その頃。

お城では、一度も笑わない姫を笑わせよ大会が開催しておりました。

成功者は、姫と結婚することができます。


そこへ、下の弟が乱入しました。

いきなり登場した下の弟を見て、お姫様は腹筋崩壊。

なぜなら、男の金の球から、たくさんの人が伸びていたからです。


でも、王様は。

のろまで有名な奴に娘はやりたくないと、下の弟にこう命じました。


「私が作った激辛パンを食える奴と、激酸っぱワインを飲める奴を連れてまいれえ!」


下の弟は困って、小人と出会った場所へ行きました。

そこには小人がいて、任せてもらっても構わんのだよ、と言いました。

連れていきました、小人は食べて飲みました。


王様はムキになって、新たにこう命じました。


王様(ココ)「陸も空も海も走る船を持ってこい!」


それは簡単と、小人がその船を出すと、王様はとうとう観念して下の弟に娘をやりました。

それから下の弟は、老衰するまで有頂天。



カフェ「ふぅ……」


ココ「最後!もうひとつ読んで!」


チト「もう寝なさい……ふあーあ……ねむ」ねむー…


ココ「チト、お願い!」


チト「カフェがいるのにーなんでー」


カフェ「甘ったれんじゃにゃいよ!あんたお姉ちゃんでしょう!」


チト「ちっ、真似するなし」


カフェ「別にしてないし」べー


チト「この野郎……!」いら


ココ「お姉ちゃん!」


チト「はいはい。えー……あ、家に寄生する小人の話」ぺら



ある靴屋が、靴片方しか作れないくらい金無しでピンチ。

靴片方作って寝たら、翌朝両方揃っててびっくり。

それからも片方作ったら、翌朝両方揃ってて大繁盛。

しばらくして、夫婦で夜中、誰のおかげか覗き見したら、全裸の小人男性がいて。

翌日、お礼におブラジャーとおパンティをプレゼントしたら喜んでくれた話!



チト「しゃあ!おやすみ!」


ココ「えー……」


カフェ「あんたも苦労するねえ」ぽふ


チト「すっー……すっー……」すや…


ココ「そんなことないよ。お姉ちゃんのおかげで、僕は不自由なく、ひもじい思いもせずに、毎日楽しく暮らしているんだから」


カフェ「じゃあ、お礼に何かプレゼントしてあげたら?さっきの話みたいに」


ココ「そうだね。お姉ちゃん、いつもありがとう」ちゅ


カフェ「あらま、微笑ましいねえ」にこにこ


チト「まだ起きてるし……」てれ


ココ「お!お休みなさい!」


二人の優しい想い、愛情は。

カフェの中で、そっと溶けていきましたとさ。


続け!

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