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華やかな色とりどりの花のようなドレスに身を包んだ女の人達。

スッキリとした装いの男の人達。

陛下と王妃の間に座ってる私に、次々と挨拶をしてくる。

マーベラス様のお勉強で覚えた貴族という人達だ。

相手に解らぬように、カトリーヌ様と二人で考えた合図で肩を撫でるようにトントンと指先で教えてくれるので、私はありがとうございます…もしくはこれからそうなりたいですわ、と笑っていうだけで済んだ。

けれども────流石に2時間程もずっと笑顔というのも辛い。

顔が引き攣りそうだ。



「…リーチェ、大丈夫?」

「……少し、休みたいです…」

「そうだね、喉も渇いただろう。 もう部屋へ戻るかい?」

「……よろしいのでしょうか?」

「一通りの挨拶は済んだからね、もう大丈夫だよ」

「……では、下がらせていただきます…」

「じゃあ、ゆっくり休んで。 カンナ、頼んだよ」

「畏まりまして。 さぁリーチェ様、此方からどうぞ」

「陛下、王妃様、おやすみなさいませ」

「おやすみ、良い夢を」



カトリーヌ様から額に口づけされて、私はにっこりと微笑んでカンナに促されるまま、王座の後ろから会場を出た。



「どうでしたか? リーチェ様、楽しかったですか?」

「…凄く煌びやかで驚いたわ…あんなに人がいっぱいなのも初めてよ」

「ふふふ…そうですわね、皆様リーチェ様にご挨拶することが嬉しそうでしたものね」

「……私、ちゃんとご挨拶出来たかしら?」

「えぇ、とても凛々しく出来てましたわ。 まるでルシィ様の様でしたよ」

「本当にっ! なら良かった…私、ルシィ様が大好きなの。 だから、真似してみたの」



えへへ…と笑って返事をすると、カンナも楽しそうに笑った。





カンナと一緒に与えて貰った部屋に向かう。

会場から中庭に出て、王族の住まう宮殿に入ろうとした時だった────。

突然────私達の前に黒尽くめの男二人が現れたのは。



「誰っ?!」

「────っ!」

「貴様には用はない。 死ね」

「きゃああぁぁぁぁっ!」



カンナが斬られた────と同時に、私は後ろから口を塞がれた。



──────いやっ! カンナっ! カンナがっ!



暴れても易々と抑えられてしまい、私はそのまま抱き上げられて中庭の奥に連れて行かれた。



「こんなに可愛いお姫様を好きにして良いとか────本当に嬉しく思うよ」

「ひっ────っ!!」



思い切り押し倒されて、ドレスが破られる。

肌蹴た胸元を鷲掴みされそうになり慌てて暴れるけれど、男の力に敵うはずも無く────。



「ぃやっ! いやぁっ!」

「お前は、俺に抱かれたいのだろう? ────暴れるなら、あの女と同じように斬るぞ」

「ひっ────!」



血の付いた剣が、顔の前に突きつけられて、私の身体が硬直する。

露わになった胸に、男の手が触れる。

蘇る忌まわしき記憶。

────実の父親に、水揚げされそうになった時もこんな感じだった。



─────嫌だっ! 誰かっ! 助けて────



その時、身体中から沸き上がる何かに気づき────私は、その何かに集中した。



「────どけ。 痴れ者が」



身体中から────沸き上がるのは、魔力。

一瞬で────頭の中に魔力をどう使うのか、解らないのに、解って。

私は、自分の上に居る男にそれ・・を放った。



「何だとっ! ぐああっ!」



私の身体をまさぐって居た男が、吹き飛ぶ。

そして、そのまま氷漬けにする。



「ひっ────!」



それを見た男達が途端に狼狽するが、私はそのままカンナを斬った剣を持つ男に手を翳す。



「よくもカンナをっ──お前も同じようになれっ! 〔ざん〕!!」

「ぎゃっ───ああああ!」



男の身体から血が噴き出す。

それを一瞥すると、私は立ち上がり肌蹴た胸も露わに斬られたカンナの元へ走り出した。




「カンナっ! カンナっ!!」

「…り、リーチェ様…」

「待って、喋らないで───『癒し』」



ゆっくりと確実にカンナが斬られた部分が治っていくのを見て、私はホッとして座り込んでしまった。



「…り、リーチェ様…そのお姿は…」

「…ぁ、これは…」



流石にドレスまでは直せないので、私は慌てて胸元を両腕で隠した。

バタバタと人が来る気配を感じて、私はぎゅっと両腕に力を込めた。



「──っこれは…、リーチェっ!?」



現れたのは────騎士を連れたフレデリックだった。








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