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「まぁ! なんて可愛らしい! 陛下ったら、こんなに可愛い子を何処に隠してましたの?!」
「おはよう。 カトリーヌ、そうじゃろう? 昨日寝室に現れたのじゃが…夜中だったのでな、起こさなかったのじゃ」
「まぁ…陛下の寝室に…?」
「昨日は執務が終わらなかったからのぅ…カトリーヌを起こしたくなかったから、我の個室の方に行って寝ようとしたらな…彼女が突然現れたのじゃ」
「…この黒髪黒瞳……もしかして…【神様の御子】様ですか?」
「……そうじゃ。 じゃが、まだまだ小さいからのぅ…我が庇護することにしたのじゃ」
「まぁ…陛下の庇護下なら、安心ですわね」
朝、起きたら男の人は居なくて、代わりに現れたのはカンナと呼ばれた女の人だった。
その彼女に着替えさせられたのは、ドレスという肩が出てしまう上に下はふんわりとした地面についてしまうのでは無いかと不安になるくらい長い裾の1枚の布だった。
髪は、カンナに纏められた。
彼女に連れられて来た食事をする場所には、一緒に寝た筈の男の人と、彼と同じくらいの年齢の、私が着させてもらった同じようなドレスを着た女の人。
その二人よりは若そうな女の人と、男の人と同じような様装の男の人。
あと、私よりは少し年上だろう、女の子と男の子が二人。
そんな彼等の興味津々といった感じの視線が怖く感じて、私は慌てて隣に居たカンナの後ろに隠れた。
「まぁ…可愛いっ!」
「ルシィ、彼女と仲良く出来そうかな?」
「勿論ですわ、お祖父様! お名前はなんて仰るの?」
「それは…まだ決めて無いのだよ。 此方の世界ではいないような名前でね、彼女が馴染めるかもあるからのぅ…」
「まぁ…じゃあ、私と一緒にお勉強しましょうね!」
「そうだな…そなたもそれで良いかな?」
「……はい」
陛下と呼ばれた男の人に聞かれて、私は小さく頷いた。
「では、まずは食事にしよう」
彼の隣に座らせられて、私は恐る恐る見よう見真似で食事をしたのだった。