THE.HERO
初めてオリジナル小説を書きました。
「君、ヒーローになりたくない?」
彼の人生はそこから狂い始めた。
一方は不気味な青年、もう一方は元気に見える少年とも青年とも言えない調度青年と少年の中間位の年。
後者の青少年は即答した「なりたい!」と。
ニヤリと不気味に笑う青年。
少し静寂が2人の間を支配する。
その空間を青年が言葉で、表情で再び支配する。
「後戻りも出来ない、家族にも会えなくなるそれでもか?」
「それでもさ。あの家族に未練はないよ。」
「よかろう。正義のヒーローになるか悪のヒーローになるかは君次第さ。」
青少年が覚悟を決める。
「no pain, no gain.対価を払ってもらうよ。」
「何をすればいいの?」
「じゃあ、君死んでくれない?」
「死・・・ぬ・・・。」
死それは誰しもに訪れるもの。
そして近くて遠いもの。
誰もが想像するが想像出来ないもの。それを青年は青少年に死ねと簡単に言う。
恐怖が渦巻く。
もはやヒーローの事など忘れている。死の恐怖は何にも勝る恐怖だ。
「さてどう死ぬ?死にかたによって能力が変わるよ?」
青少年は反応しない。
恐怖で周りが見えてない。
「聞いてる?死ぬっていっても能力得るための形式上だよ。誰かに見られなければ万事OKだし。ほら食事がいらなくなって強くなれて一石二鳥だと思うけど。痛みも少し痛いだけだし。」
少しして青少年は再び覚悟を決める。
「わかった。僕を殺して。」
青年はまたニヤリと不気味な笑いをする。
「じゃあ、どう死にたい?焼死にすれば炎の能力、溺死すれば水の能力、感電死すれば電気の能力。全部やれば全部の能力になる。さぁ、何を選ぶ?」
青少年は考える。
「じゃあ全部!考えられる全部やって。」
「君は傲慢だね。でも嫌いじゃないよ。」
青年の顔は狂喜に歪んでいた。
そこから青少年には地獄のような時間が始まる。
「さぁ、地獄を始めよう。何からはじめる燃やす?凍らす?電気?何がお望みかな?」
「何でもいい。早くやって。」
そう言うと青年は青少年の体を固定して燃やし始める。
「熱いいいいぃぃぃぃぃ!」
体をあらかた燃やすと今度は電気を体に電気を流した。
一瞬心臓が止まるがまた鼓動を開始する。
「こ・・・ろ・・せ。」
青少年が言う。
「何を言ってるんだい?このまま終るわけないだろ。殺し方は1000以上ある。こんなの序の口さ。さぁいくよ。」
さらに時間が過ぎる。
「殺・・し・・・て・・・くれ。」
さらに時間がたつ。
「こ、ころ・・・し・・て。」
「まだ半分ぐらいだよ。」
そう言うと青年は青少年に硫酸を大量にかけた。
「うあああぁぁぁぁぁぁぁぁ!アツイ!アツイ!アツイ!アツイ!アツイ!」
さらに時間がたち・・・。
「これで最後だ。いくよ!」
そう言うと青年は何処からか取り出した大鎌を青少年に取り出す。
そしてその大鎌を振りかぶり青少年めがけ振り落とす。
そうすると大鎌が切った所から光が出始める。
切り終わると光が大きくなりしばらくすると光が収まりはじめる。
光の中には青少年が立っていた。
「これが僕の力?」
「そうだよ。どうだい?」
「すごいよ!」
そういいながら青少年は手から炎を出した。
「でも僕は本当に死んだの?」
「実際は死んだけど死んでないんだ。ちょっと説明が難しいからいつも死んでって言ってるんだ。」
「いつも?いつもって事は他にも僕みたいなのがいるの?」
「あぁ、いっぱいいるよ。これは遥か古代からの伝統みたいなもんだから。」
「へぇ~。」
「でも、君みたいに全部体験した人はいないかな。さぁこのヒーローについて教えよう。この能力者たちは“神代”と呼ばれている。」
「寝台?」
「寝る台じゃなくて神の代わりと書いて神代ね。」
「神代か。」
「そうこの能力者は読んで字の通り神の変わりに働くもの。日本神道の考え方の“八百万の神”ってのは知ってるよね。」
「知ってるよ。八百万は数字じゃなくて“いっぱい”って意味だよね。」
「そう日本神道には数多の神がいる。この“神代”はその数多くいる神の声を聞き代行するもの。」
「神の声を聞き代行するもの・・・。」
「でもこれは昔の話。今の人間が発展させたこの文明に神の入る隙間は無い。だから好き勝手やっていいよ。ただし制約が幾つかある。1つ、一般人には知られるな。知られた場合僕に連絡してね。これ端末。」
そう言うと青年は携帯端末を手渡す。
「1つ、殺せるのは他の神代だけ。他の神代とだったらいくらでも戦っていいよ。これさえ守ってくれればいいよ。後は君で好きにやってよ、ちなみにその端末には色々な機能入ってるから見ておいたほうがいいよ。」
「分かった。ありがとう。」
端末を見ていた青少年は顔を上げると青年はもういなかった。
それからの青少年は自分の能力と携帯端末機能の把握に努めた。
炎、水、電気、毒、数えたらきりがないほどに能力があった。
昼は能力に夜は携帯端末に割いた。
能力と端末の機能の把握を開始してから数日がたったある日の事だった。
周りの高層ビル群の景色が一変し荒野になった。
「何だ!」
「おめえも神代だろ!パーストニックの使い方位分かるだろ。それとも新人さんか?」
「この前神代になったばかりだ。」
青少年は目の前の全身ピアスをつけている男に言った。
「そうか、そりゃラッキーだ。じゃぁ、もう一度死ねよ。」
そう言うと男の体にあるピアスが青少年に襲ってきた。
青少年はかわそうとするが数が多すぎて避けきれない。
避けきれないと分かった青少年は考えを切り替える。
「全身を鉄に変えた!?それがお前の能力か。」
「だからどうした。」
「底が知れたってことだよ。」
ピアスの男はそう言いながらピアスを大きくして投げてきた。
青少年今度は体を炎に変える。
集中して炎の温度をあげていく。
このピアスに使われているシルバー925の融点は910度、炎の温度は約850度。
それをドンドンあげていく一瞬で1000度を越える。
その瞬間ピアスがあたる。
音をたててピアスが熔ける。
「炎だと!?お前いくつ能力があるんだよ!」
「お前に教える必要はない。もう終わりか?では、次はこっちからいくぞ!」
そう言い青少年は手から炎をだす。
ピアスの男は尻餅をつく。
尻餅を着いたことを気にもせず青少年は話し出す。
「火は破壊と言うやつがいるが俺はそうは思わない。火は始まりだ!」
「何を言ってる!?火は破壊だろ!」
「火は始まりだよ。人類というものが発達した最初は火を使いだした事だ。ある人は言ったよ破壊は終わりじゃない創造の始まりだとね。でもこの炎は始まりじゃない、終わりの炎だ。お前の人生の終わりだ。しかしそれじゃあ面白くない。だから選択肢をあげよう。」
「選択肢!?」
「そう、選択肢だ。一つはここで焼かれて死ぬ。もう一つは俺の仲間になれ。お前の人生の破壊か、俺の仲間になるという始まりだ。」
青少年はピアスの男に手をさしだす。
驚愕、それがピアスの男の表情。
「俺を仲間にする!?」
「そうだ。これから俺たちは悪のヒーローになる。」
「悪のヒーロー?何をするんだ?」
「悪は悪だ。何でも良い。でも掟は二つ。一つ、貧しい者から盗るな!二つ、一般人は殺すな。殺すのは罪人と神代だけだ。それだけだ。」
「一流の悪って所か?」
「そう!一流の悪だ!どうだ!」
この後、この2人は色々あるが神代の間で最凶のコンビとして名をはせる。
to be continued……
完全オリジナルです。
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