初心無敵
前回:老迪はやはり癌細胞の祖であった。アップグレードによって悪性度はさらに増し、特に土の鞄の匂いを吸い込んだ後は、ますます傲慢・狂妄になり、体内に秘めた怪物たちが今まさに爆発せんとしていた。
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華迪は土の寸勁による痛撃を受け、さらに二人の幼き美少年美少女に嘲弄され、ドーム大ホールへと引き返し大暴れすることを決意した!支離滅裂に怪物の親族どもを乱発するように噴き出させていく!
「ガアアア吼アアアーーーーッ!」
華迪の後頭部の光ファイバーから猛烈な勢いで光点が注入され、その身体から爆発するように現れた十数体におよぶ海陸空の怪物の頭蓋が、今や一斉に凶暴なる巨大な口を開き、鼓膜を裂く重厚な咆哮を轟かせた!
「ズズズズドーーーーン────!」
怪物の頭蓋は一つ、また一つと膨張を続け、猛然と後方へ向かって放射状に展開していく。まるで発射準備を整える陣列の如し!
この絶対絶命の危急に直面し、株の言葉こそが最も真理を穿っていた。
「このような妖物が再び出でては、我らは死あるのみだ!」
彼は痛感していた。自らが補助型T細胞であり、どれほど奇抜な変種株であろうとも、敵を直接殺傷することは叶わないのだと。そして現在応戦できるのはわずか二人、しかも幼き子供たちに過ぎないのだ!
もしも怪物の親族どもが華迪の身体から離脱すれば、それぞれが一騎当千の脅威へと変貌を遂げる。そうなれば免疫兵士たちの勝機は皆無に等しい。
刹那、十数体の怪物の頭蓋から同時に濃厚な黒煙が噴出し、その姿はまるで毒蛇の群れの如く蠢いた。その中にはCSF-1、IL-4、IL-13といった見るからに強烈な符咒が混ざり込み、ホール全体を席巻していく!
さらに恐ろしきことに──華迪の股間に蘇りし「大鵰哥」が、今や天を突く巨柱のごとく伸長し、空間を切り裂く破空音を伴って、まっすぐに頭をもたげた。復讐を果たさんとするその様はすこぶる凶暴である!
幾重にも重なる恐怖の光景に、霊犀灌頂を受けし土すらも驚愕のあまり正気に戻り、後方の株もまた黒嬰を抱きかかえて片膝をつかざるを得なかった!
尼は未だ坐禅を組み経を唱えているが、その顔は歪み、状況は極めて芳しくない。
ただ二人、直立しているのは二タンの幼き者たちのみ。
「バラバラッ! ガタガタッ!」
勿論のこと、天井の建材が再び崩落してくる!
勿論のこと、性霊病棟においては──
監視室の警告灯は相変わらず激しく点滅し、警報は鳴り響き続けている。偽炎院長G7は相変わらず過熱状態のまま、両手を激しく舞わせて操作を続けている。
N3Sは相変わらず冷徹な看護師のように冷ややかだ。
一方、小炎院長は信念を揺るがさず、その眼光は極めて堅固である。
同じ眼光の残影が嬌タンの瞳に重なる。いまや彼女の双眸には、堅固たる意志のみならず、死を覚悟した清冽なる光が爆発していた!
だが、この究極の大魔王が総力を挙げて構築した陣容を前に、嬌タンは力及ばず、おさげ髪と薄紗の衣が荒々しく引き裂かれ、痛々しい姿を晒していた。邪悪な気場が増すにつれ、強烈な歪んだ風が顔を打ち、嬌タンもまた顔を歪めて目を閉じざるを得ない。
それでも彼女は一歩たりとも退かなかった。脳裏に浮かぶのは、かつて怪物どもが猛威を振るった光景、そして壮絶な傷を負い、果ては犠牲となった仲間たちの姿のみ。重い瞼をわずかに開けば、あらゆる元凶が今まさに眼前にあり、改心せぬばかりか、ますます増長しているのが見えた!
形勢は極限にまで切迫している! たとえ一秒遅れようとも、大量の怪物どもが産声を上げて暴れ回り、「大鵰哥」が人々を一人残らず肉餅へと押し潰すであろう!
まさにその時、突如として声が響いた。
「Be water, my friend!」
驚くべきことに土であった。満身創痍でありながらも豪快に立ち上がり、威風堂々と手を華迪と怪物どもに向けて叫んだのだ。
一瞬、怪物たちの合体は反応できず、ただこの言葉が宇宙級に凄まじい言葉であると感じ取った! 彼らの動きが停止したかのごとく固まり、邪悪な風も瞬時に弱まった!
──華迪としては、接続した脳(李金土)が英語を理解できないため、自身も親族どもも理解できなかったと怨むほかない。
土はまるで何かに憑依されたかのように、香港訛りで大声を上げた。「シャキッとしろや! 気を抜くなよ!」
【嬌の初心】
その声が嬌タンの耳に届いた瞬間、彼女もまた何かに憑依されたかのように、小さな手を額にかざし、息を殺して空中で狂ったように怪物を生み出す華迪を観察し、見極めた。
視線をロックオンした刹那、彼女の小さき手が後方へと伸ばされる。流れるようなおさげ髪と長紗の裾を伴うその動作は、流雲の如く優雅であった──
──背の箭筒から一気に五本の矢を引き抜き、同時に木弓へと番える。弓を限界まで引き絞り、口から古の指令を高く詠唱した。
「Κλίετε, ὦ δαίμονες ἀθάνατοι !(聞け、不朽なる精霊たちよ!)」
「シュッ!」
五つの矢が同時に放たれた! 五筋の銀青色の矢光が空気を切り裂いて迫る。華迪はそれを見るや大鵰を直立させて防ごうとしたが、衝突する直前、奇妙な現象が起きた!
五本の矢はまるで生命を得たかのように分かれ、瞬時に姿を変えて五羽の妖精となった。彼女たちは薄い蝉の羽のような翼を軽やかに羽ばたかせ、分岐して敵の突起物の爪牙を巧みに回避し、華迪の四肢と頭部へと肉薄する!
小さく愛らしい両手を伸ばし、華迪の頭部と手足を固く掴み取る! かくして、独創性に富んだ対戦相手──馬頭五角星に対し、極めて優雅なる敬意が払われた。
優雅たる所以は、精霊たちが超高頻度で翼を羽ばたかせ、「イヤァ──」と可愛らしく声を上げながら、全力を尽くして華迪を外側へと引っ張り、強力な中心真空吸引力を発生させた点にある。
「これが噂に聞く空心大少(うつけ者)というやつか?」骨格が尋常でない重傷の株は、阿土伯に劣らぬ精緻な分析を下した。
この時、華迪の胸郭はすでに透き通り、内部で脈動するコアが透けて見えていた。だがそれは血肉ではなく、千々にもつれ合うDNAの糸によって作られた万悪のコアであり、凄惨な青光を放っていた! まさにこのDNAが、体に実った海陸空の怪物たちと繋がっていたのだ。首にかけられた黄水晶のペンダントは、文字通りただの飾りに過ぎなかった。
──この絢爛にして優雅極まる「五角仙女陣」こそ、古典免疫学においてその名を轟かせる【膜攻撃複合体(MAC)】である! IgM五量体抗体が敵に標識された瞬間、体内の精霊の如き補体タンパク質が召喚され活性化する。敵の細胞膜上で迅速に組み合わさり、容赦なく穴を開けるのだ!
嬌の今回の「覚醒」は、体内の原始的防御の核心たる力を解き放つものであった。それがB-1細胞(嬌タン)である。長時間の育成を要しT細胞の補助に依存する従来のB2細胞(成人の嬌)とは異なり、B1細胞は「先天性類似」のリンパ球に属し、誕生した瞬間から広範な病原体認識能力を備え、第一時間で自発的に活性化する。病原体が侵入した際、複雑な警報リレーを必要とせず、第一時間でこの初心の奥義を繰り出すことができるのだ。
嬌の優雅なる覚醒に対し、後方の土は多くを語らず、熱い眼差しで勇敢な少女を見つめていた。しかし着ている衣装のせいか、鼻を軽く擦り、下唇を突き出すように誇らしげな笑みを浮かべた。
だが、調子に乗るには早すぎた……
通常、MACによって穴を開けられた敵は即座に溶解するはずだが、万悪の首領たる華迪は、未だに仲間たちと共に整然と喚き散らしていたのだから。
見よ、まるで極上の弾力を持つ切り餅のようだ。中央にドーナツ状の空洞が開いているものの、その穴は急速に収縮しつつあり、五羽の精霊の高頻度な羽ばたきは明らかに限界を迎えていた。
MACによる穿孔は、せいぜい急所を露出させるに過ぎない。畳みかける連続攻撃が不可欠だ! それも、今すぐに!
【郎の初心】
この光景を目撃し、覚醒と誇りを経た土は、阿土伯たる目利きとしての本領を取り戻し、より独到な判定を大声で下した。
「見たところ……あの穴には煩悩の糸が溜まりすぎておる、もう使い物にならん。叩き潰して出直させろ!」
すぐ傍らから応じる声が響いた。「いくぞ!」
言い終えると、彼は傍らに視線を向けた……待て、何か様子がおかしい?! 再び顔を向けて精査すると──
そこには、太陽のごとき小帥哥の勇士・郎タンが立っていた。現在の彼は、かつてないほどの高エネルギーな気場を全身から放っている!
彼は数歩前進して嬌タンの隣に立ち、妖精たちの必死の引っぱりのもと、華迪と怪物の親族どもが咆哮し蠢く様を見つめた。しかし彼は至って平静に腰元から一本の藁を取り出し、くわえた。
身軽な身のこなしで頭の部族的ターバンを整えると、前後ろに足を開き、泰山のごとき深く安定した馬歩を構えた! 脳裏に浮かぶのは、盲目の刀客「天」が去り際に遺した職人の忠告である。
『郎タン、初心を忘れるな。自分の天賦を信じろ。いつまでも點穴の技にこだわるな!』
「ヴーーーン────!!」
郎タンは両手を合わせるや、迅速に肘を曲げて右腰へと引いた。掌を向かい合わせると、その間に気流が激しく旋回し始める!
「ハッ!」彼が低く叫ぶと衣がなびき、両掌の間に一団の銀色のエネルギー光球が突如として出現した。光球は幾何級数的に膨張し、「ジジジ…ッ」という激しい放電音と共に眩く輝く。さあ、ご覧あれ……
郎タンの重心が猛然と前方へ移動し、両腕が鋭く直進して伸ばされた! 両掌は順勢をもって前方へと向けられ、口から吐き出された藁が हॉल 全体に響き渡る叫びと共に弾け飛んだ!
「我─────!」
「矮─────!」
「殺────────!!」
傍観していた土も即座に驚嘆の声を上げた!
「波動……拳!!」
感嘆の声も冷めやらぬうちに、部族の図騰を宿した巨大な銀白色の光球が、あらゆるものを粉砕する気勢を纏って郎タンの掌から放たれ、華迪の露出したコアへと直進した! 光速で迫る圧倒的威圧を前に、華迪はただ目を丸くするしかなかった……
だが驚くべきことに、華迪の胸元の黄水晶のペンダントが、まるで意思を持ったかのように光速で刺すような金黄色の一閃を放ったのだ! 結果──
「ドーーーーーーーーン────!!!!」
二つのエネルギーが衝突した!
小さな黄水晶は巨大な波動拳の敵ではなく、後者の気勁は華迪の身体のコアを貫通した!
「バリバリッ! バリバリバリッ!」
未だ成熟しきっていなかった華迪の贅生親族どもは、この洪荒の一撃によって全て体外へと吹き飛ばされ、床一面に散らばって命を落とした!
郎タンは構えを解き、無言のまま土と視線を交わした。その瞳はすこぶる誠実であり、先ほどの長輩による「Be Water」の教えに応えたかのようであった。山の子供が英語を理解できたかは定かではないが。
──嬌タン(B-1)の技が優雅なる陣法であるならば、郎タン(γδ T細胞)のこの技はまさに覇道極まる遠距離砲撃であった! これこそが数多の腫瘍細胞にとっての究極の悪夢【s-TRAIL(可溶性腫瘍死因関連受容体誘導アポトーシスライガンド)】である! この「波動拳」の如き一撃は空間の阻隔を飛び越え、内部に秘められたアポトーシスシグナルががん細胞内部の「自爆スイッチ」を的確に押し、自己崩壊へと導くのだ!
郎の今回の「覚醒」は、免疫システムにおける神秘の隠し主力の一つ、γδ T細胞を呼び覚ました。彼らは「自然免疫の迅速な反応」と「獲得免疫の特異的殺傷」という二つの優勢を併せ持つ極めて稀有な細胞である。B-1細胞と同様に、γδ T細胞は鋭い察知能力を備え、複雑な抗原提示プロセスを経ることなく、第一時間で異常をロックオンし、初心の奥義を放つことができる。
人体の免疫システムが未発達な乳幼児期において、γδ T細胞とB-1細胞こそが初期防御を支える最も重要な防衛線であり、成人に至ってもその初心を変えず、勇猛に戦い続けるのだ!
しかし、この瞬間に心を一つにしたのは、彼ら二人だけではなかった……
連続した打擊を受け、華迪は悲鳴を上げる隙すらなく、胸元を深く凹ませた。身体の筋肉は急速に萎縮し、四肢は全て垂れ下がって震え、顔一面にあった獰猛さと狂気は一瞬にして雲散霧消した。残されたのは、魂を失った空虚な瞳のみ。それが死んだように見つめるのは、前方地面に転がる……わずかに息のある黄水晶のペンダントであった。
「嫌だーーーー────ッ!!」
華迪は身を切り裂くような悲痛な絶叫を上げた!
【小倆口の初心】
「ガチャン!」
華迪は猛然と手を伸ばし、自らの後頭部に刺さっていたケーブルをむしり取った。支えを失った巨躯は「ドサッ」と音を立て、無様にも半空から地面へと重く落下した! だが先ほどの打擊に比べれば、この程度の衝撃など何でもなかった。
データ線の抜脱に伴い、ドーム天井のホログラムと電光は完全に消滅し、ホール全体は再び暗黒へと沈んだ。
今の華迪は体内のあらゆるものをぶちまけ、体格は半分以下に縮小し、まるで捨て犬のように哀れであった。禍々しい気焔は完全に消え去り、徐々に元の「小迪」の姿へと戻りつつあったが、その傷口は痛々しい。
小迪は地面にひれ伏し、身体の凹みや傷も顧みず、必死に、苦しげに地上に転がるペンダントへと這い進んだ。
見れば、そのネックレスはすでに中央から断裂し、かつて晶瑩として透き通っていた黄色い水晶は、先ほど波動拳を肩代わりしたせいで鉄灰色へと変色していた!
ついに小迪はネックレスの前へと辿り着いた。彼は震える両手を伸ばし、愛おしそうに片端を握りしめ、誰も聞いたことのないような、限りない優しさと慈愛に満ちた声で、咽び泣きながら一つの名を呼んだ。
「Kiyomi-chan……」
「?」「?」「?」
その名を聞いた瞬間、三人から同時にクエスチョンマークが浮かんだ。
人々の注視の中、その鉄灰色の千切れたチェーンが幽かな光の中で徐々に人体へと変化し、痩せ細った腕となった! 中央のペンダントはさらに痩せこけた胴体と頭部へと変貌を遂げた!
なんと、これは装飾品などではなかったのだ!
株はこの劇変を傍らから目撃するや、大急ぎで痩せ細った黒嬰を抱き上げ、胸元へと当てがい、その上肢を自らの首に巻き付けさせた。驚くべきことに彼もまた、黒水晶のペンダントを持つネックレスを組み立てて見せたのだった!
光が散り、頭部の顔立ちがあらわになる。
「!」「!」「!」
「浄妹!」「浄妹!」「浄妹!」
三人とも彼女の姿を認識した!
瓦礫の山で座禅を組み疲弊しきっていた尼も、思わず目を開けて失われて久しい浄師姐の姿を凝視した。いまや彼女の顔には憂いが満ちていたが、自分にはもはや気を回す余裕などなかった。数珠を繰り続けてきた小さき手からは、すでに血が滲み出ている!
いまの浄妹はあまりにも虚弱で憔悴していた。メイド服は破れかぶれとなり、環境を浄化するための道具も見当たらない。さらに人々の胸を痛めさせたのは──彼女の右の眼腔が深く落ち込み、なんと片方の眼球が失われていたことだ!
──極度に萎縮・休眠(Dormant)した細胞! 栄養不足などの極めて劣悪な環境下において、細胞が命を繋ぐために代謝活動を最低限まで低下させ、休眠・萎縮状態に入る現象である。しかし通常、必要な構造まで犠牲にすることはない。失われた眼球が一体誰の仕業なのかは知る由もない!
ともあれ、難波の役、長寿堡の浩劫、ジェットコースターの旅、摸乳巷での鍛錬、さらには天庭での決戦を経て、兵士たちはついに長らく行方不明であったこの幼きカップルを取り戻すことに成功したのだ!
眼前の光景を目にし、あまりの突然さに、三人には未だ困惑の色が広がっていた……
「任務……本当に……達成されたのか?」
「かけおちなの? だから……浄お姉ちゃんはわるい子になっちゃったの?」
「あ、そうか! 彼女……交通安全のお守りになっちゃったんだ!」
地にあがき伏せる小迪は、いまや痛々しいまでに慎重に虚弱な浄妹の手を握りしめていた。二つの手が重ね合わされ、細かく震えている。
大ホールの中、増え続ける瓦礫の山を前に、尼はすでに限界を超えていた。青ざめた顔で遠くの浄師姐を懸命に見つめる。師姐の表皮は留まっており、まだ血肉と化していないこと、そして傍らで見守る者がいることを確認すると、油の切れかけた灯火のようなその顔に、微かな安堵が浮かんだ。彼女は虚弱な声で最後の一句を吐き出した。
「問う、世間において……情とは何物ぞ……」
「ヴーーーン!」
言葉が潰えるや否や、尼の手にある数珠が突如として飛砂と化し、金色の光粒を撒き散らした! すると、彼女の愛らしい身体が、微かに震える指先からまるで氷雪が溶けるように一粒一粒の晶瑩たる珠子へと変わり、下方の膨大な瓦礫の山へと沈降し、溶け込んでいった!
ついに彼女は完全に消滅した! 地面には、ただ深紅の光を放つ欠片だけが残されていた──それこそが、かつて長寿堡の戦場で皆を守るために吸収し、未だ消化しきれずに嬌の大剣から誤射された剣屑(自己抗体)であった!
過剰に摩耗した尼は、自らの最後のエネルギーを燃やし尽くし、遺されたリソソーム酵素を全て放出して、大脳前頭葉の浄化のために最後の奉献を果たしたのだ。
この静かなる寂滅に気づいたのは、株だけであった。
黒水晶のネックレスを身につけた彼は、両手を合わせ、目頭を赤く染め、咽び泣くような声で導くように呟いた。
「小尼単核、血海に隠れ、濁を呑み清を揚げ、密かに玄関を守る。一朝縁尽きれば、自らの形を食み、寂滅は灯の消えるが如く、涅槃は星の沈むがごとし。」
この重厚にして神聖なる呟きの中で、大脳前頭葉の死闘はついに幕を閉じた。
しかし、この難を逃れた幼きカップルを、一体どのように処断すべきであろうか?
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次回につづく『あの冷たい小さな手 + 流星雨』
二つの經典的な場面が、若き二人の歩んできた道のりを余すところなく語っている。寂滅した尼の後事如何、次々回の分解を暫しお待ち願う。




