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娘の独白

便名:UA837 成田(NRT) → 高雄(KHH)

目的地(小港空港)までの残り時間:4時間3分


三、四年ぶりかな、帰国するのは。

乗り継ぎを終えて、故郷まであと4時間ちょっと。


もし、あの人のことがなければ、こんな真夏の暑死にしそうな時期に台南へ帰ることなんてなかったはず。

おばさんが言うには、先週見舞いに行った時、彼はひどく痩せて血を吐いていたって。無理やり大きな病院に行かせたらしい。


あの人はビデオ通話さえ拒んで、電話越しじゃ何も分からなかった。

相変わらずヘビースモーカー特有の痰が絡んだ咳と、しわがれた声。

それなのに、今回は「大丈夫だ、郷親きょうしんたちがたくさんいて、毎日楽しくやってる。寂しくなんてない」なんて強調してさ。

タバコを控えてるかって聞いても、返ってくるのはいつもの「平安無事ピンアン・ブー・ダイジー」だけ。


郷親がたくさん……。

郷親(近所の人たち)? 親戚でもないのに、そんなにいいものなの?

ニュースでは、災害が起きるとボランティアのスーパーマンがどこからともなく現れる……なんて言ってたけど。

老いぼれた廟公が大病を患ったところで、赤の他人が何をしてくれるっていうのよ。


Damn!(くそっ!)

窓の外には、まだ出発した国の陸地がうっすらと見えている。


お父さん、お願いだから……。

せめて、手遅れになるような大病でだけはありませんように。


挿絵(By みてみん)

最愛の人が危篤の時、


人はどこにいても、


どんなに山や海に隔てられていても、


立ち上がり、道を急ぐ。


空を越え、海を越え、


ただその人の傍へ駆けつけるために。


その手を取り、支えるために。

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