怪しいおっさん
前回:肺門リンパ節は既に癌細胞に侵され、今や円形闘技場の遺跡と化していた。そこでは平穏の宗師たちと寂冥の衛士たちが惑わされ、強力な免疫抑制の気場を形成している。免疫の小兵たちは、この状況にどう立ち向かうのか?
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しゃがれた笑い声が、一同の怒りを切り裂くように前方の暗がりから響き、その場所が明るくなる。一同は猛然と気づく。残された平台から何かがせり上がってきたのだ——大きな椅子であり、そこにはずんぐりとした小柄な老人が悠然と座っていた。
羅が真っ先に見抜き、叫ぶ「あいつだ!舌がめっちゃ器用な金魚佬だ!」
まさに先ほど逃げ延びた怪魚・鮕そのものであった。姿は相変わらず中間が禿げ上がったキモいおっさんだが、体はすでに人形に変わり、ぴょんぴょん跳ね回らなくてもどっしりと座っていられるようになっている。さらに「長寿」の文字が入った錦の袍をまとっていた。その背後には大きな扉があり、中央の鍵らしき場所は大きな布で覆われている。
鮕は片手で二つの黒い長寿玉を弄び、もう一方の手で一本の紐を握り、悠然とした態度で、舌なしのまま答える「このお姉さん、ちょっと待っててくれ。舌がまた生えてきたら、きっとお前さんの体中を隅々まで舐め回してやるからな!」羅は鋭い目つきで睨み返す。何しろおっさんに「お姉さん」と呼ばれるのは、実に不愉快なことだ。
鮕は突然怒りに満ちた口調で言う「さて、まずはっきりさせておきたいことがある。お前たちに返さねばならんものがあってな!」そして椅子の左側の取っ手を引いた。すると人影が一つ、彼の左側にゆっくりとせり上がってくる。
「猴坊! 捕まっとったんか!」土が声を失って叫ぶ。せり上がってきたのは猴だった。猴が上がってくるのに合わせ、鮕がナレーションを入れる「一号選手、火猴の弟よ。腕前も度胸もなかなかのものだった。縛りも自爆も何でもこなし、寿爺をさんざん振り回してくれた。見事な10点満点の飛び込みを華麗に決めてくれたものだ!」
せり上がった猴は全身傷だらけで、体は縮こまり震え、その目つきは操り人形のように虚ろだった。呼びかけに応じて、彼はかろうじて顔を上げ、最後の力を振り絞り、ゆっくりと前に歩きながら、後ろの方を指さす——
「お……大鳥の化け物が迪を……連れて行った……早く追え……」自分はもう追いつけないことを理解していた。
彼が話している間に、鮕がもう片方の椅子の取っ手を引くのが聞こえた。一匹の大きな白い犬が素早くせり上がる。鮕の三倍はあろうかという巨体で、その眉は間抜けに垂れ、眼窩は涸れ果てて何の光も宿していない、右前足は萎縮している。首輪からは鮕の持つ紐へと繋がっている。
——この大犬は鮕自身が分裂させた細胞である。癌細胞の突然変異とはこのように強引に進行するものだ。細胞分裂(有糸分裂)の過程で、新しく生まれた細胞は元のものとは異なることがあり、この紐は両者の繋がりを示している。
「猴坊、まさか『木人巷』に行くんか?」土も焦って猴に問いかける。
その時、鮕が紐を引いた。大犬が猴の方へ顔を向け、半秒も経たないうちに跳び上がり、巨大な足へと変わって落下する——
「ワン~」天残踏!
「ぐしゃっ!」猴はその場で踏み潰され、肉のミンチと化した!
「送り届けてくれてありがとう。愛してるよ~」鮕は作り物めいた優しさで別れの言葉を告げる。
——実に残酷な話だ。末期癌において、好中球はしばしば利用され、癌細胞の転移を掩護した後、使い捨てにされるのである。好中球が細胞外トラップ(NET)を放出して癌細胞を絡め取り閉じ込めようとする。この技は通常の細菌には有効だが、癌細胞には容易に利用されてしまう。NETは逆に癌細胞の保護膜となり、免疫細胞の攻撃を防いでしまうのだ。
「なんてこった!」土は怒りで目を見開く。
羅は傘の先を鮕に突きつけ、殺意が沸騰する「子供にあんな残酷な仕打ちをするなんて、後で思い知らせてやるからな!」
あの巨大な足は、どうやら大犬の萎縮した右前足が変化したものだった。今は残りの体の部分が萎縮している。
——多形性は癌細胞の特性の一つである!
人型の鮕は大犬を撫でながら、大犬は次第に元の犬の姿に戻っていく。彼は再び偽善的な哀れみの表情で、肉のミンチに向かって嘆く「夭寿な猴の弟よ……お前は実に酷い死に方をした……」
突然、彼は空を仰いで哄笑し、涙をわざとらしく迸らせる。俯瞰で見ると、その歪んだ顔はまさに気持ち悪い鬼おじさんそのもの。さらに甲高い声で詠み始める——
「江湖に一笑 波は滔々~
紅塵はすべて忘れ去られ~
過ぎ去りしこと 何をか語ろう~
(江湖一笑 浪滔滔~ 红尘尽忘了~ 俱往矣 何足言道~)」
一同の耳に悪魔の旋律が反響し、瞬時にどう反応すればいいのかわからなくなる。
「こいつ、時間稼ぎしとるんや! 皆を惑わしとる!」土は見抜いて、鮕を指差して怒鳴る。
人型の鮕の笑い声はぱったりと止み、顔色が曇る「教養のない奴だ!」
彼は激しく咳き込み、「ゴホッ……ペッ!」と大量の粘ついた黒い痰を自分の目の前に吐き出す。
痰は「ぺちゃっ」と地面に落ちた後、なんとうごめきながら形を成し、地面を滲み透らせて下の方へ消えていった!
ここで鮕は両手を高く掲げ、大真面目な様子で言う「わかっているとも。素晴らしい作品はスターによって演じられるべきだ。今ここに、私から最新の神獣を謹んで披露しよう。科目は——五…」
「五角馬だ~」
言い終わると同時に、彼は両手で椅子の取っ手を握り、一緒に引いた…
「カチッ!」
一同は気づく。目の前にある崩れた小部屋群の中で、一つだけ扉が開いたのだ……
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次回につづく《科目 五》
人型の鮕よりもさらに奇妙な生物が登場。彼の言う通り、スター級の存在である!
好中球(歿)




