表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

プロローグ 守れなくて生き残った。

『エスケープ 逃げ続けて生き残る』

が意外と好評いただけましたので、続編書いていきたいと思います。


よろしくお願いします

プロローグ


――守れなかった



 ――血の匂いと、焼けた空気。

 辺り一面、砕けた地面と燃える野原。


 俺の腕に抱かれる冷たい体。

 「……すまない。」

 もはや、涙も出ない。


 どれだけ殴られても、刺されても、壊されても。立っていられた。耐えられた。


 なのに――

 そのときだけ、俺は耐えられず両膝が崩れ落ちた。


 自ら、死を選んだ少女。

 「あなたは……生きてくださいね。」

 最後に彼女は、無理をしているように笑った。


 最期の言葉が、俺から死への選択肢を奪う。

 

 そのあとのことは、あまりよく覚えていない。とにかく、生きて、生きて、生き残った。

 生き残って…しまった。


 世界が白く染まり、

 音が消えて、

 俺は叫ぶことすら出来なかった。



 ――目を覚ます。

 硬い床の感触。

 天井は低く、無機質な光が並んでいる。


(ここは……?)

 起き上がろうとした瞬間、体中に痛みが走った。


 全身の痛み。無いはずの左手も、痛むような気がする。

(そうだ。俺は生き残って…。)


 それだけは、分かる。

 その時だった。


『――おめでとうございます』


 無機質な声が、視界に響く。


『あなたは、第1ラウンドを生き残りました』


(このアナウンスは…!)

俺は改めて頭が真っ白になり、全身に冷たい汗が流れる。


『これより、第2ラウンドを開始します』


「終わったんじゃ…ないのか」


 視界の前には、大きな建物。

 まるで摩天楼のような、高い高い建物。

 そしてその建物の壁に、光の板がある。


 見覚えのある――あれは掲示板だ。


『第2ラウンドは「ランク戦」です』


 声は淡々と、感情なく続ける。


『第1ラウンド同様、他の生存者の殺害でスコアが加算されます。』


『第2ラウンドからは、1日1つのボーナスミッションが掲示されます。ミッションをクリアすることによって、追加のスコアを獲得できます』


『第1ラウンドで行われていた生存ボーナスは存在しません』


『なお、第1ラウンドのスコアは持ち越されます。』


 俺は、掲示板を見る。

 

『 Keeper 4,200 』


 順位は、下から数えた方が早い。

 

 俺のランクは…Dランク


『ランク基準は以下の通りです』

 次々と条件が表示される。


 ランクは全部でS、A、B、C、Dの5段階。

 

 そして、最後の一文。

『Sランク到達者が四名を超えた時点で日数カウントが始まります。4名を越えたまま七日が経過した時点で――』


『Sランクの者は解放されます』


『解放者が現れた場合、残りの参加者は、全員死亡します』


 ……それは、第1ラウンドと同じなのか。


 つまり。

 今度は「生き残る」だけじゃ足りない。


 殺せ。

 奪え。

 上に行け。

 そういうゲームなのだろう。


 説明が終わり、視界にアナウンスが流れることは無くなった。

 俺は、力なく左の拳を握った。

 

(俺は…生きなきゃならない。)


 はっきりしていることは、

 俺の名前。

 第1ラウンドの"Keeper"のまま。


 つまり、能力は第2ラウンドでも変わってないということだ。


 生きる意思がある限り、希望を持つ限り。


 俺はどんな攻撃でも耐えることが出来る。


 骨が砕けても。

 腕が吹き飛んでも。

 血を流し尽くしても。


 ――死ねない。


 死ぬことはないが…

 怪我は治らない。

 失った腕は戻らない。

 

(それでも…)

 俺は、立ち上がるしかない。


 この狂ったゲームの中で、

 それがどれほど愚かでも。

 俺は、生き残らないとならない。

 

 それが、彼女の最後のお願いだから。


 きらびやかに輝くネオンは、見上げる俺の額を冷たく照らした。


(エスキープ・プロローグ 了)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ