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彼女をNTRれたうえに車で跳ねられ、事故のお詫びに何でもすると言った運転手のお姉さんが実は……。  作者: beru


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第六話 車の中で葉月さんと……

(どうしよう……まさか、こんなことになるとは)

 車の中、しかも車庫のドアも閉まっているから、完全に密室で二人きり。

 何も起きないはずはなく……いや、これは何か起こした方がむしろ良いのか?

「ねえ、進一郎……私とするの嫌?」

「あ、あはは……嫌って訳じゃないんですよ。ただ、事故のお詫びにこういう事をするのは違うんじゃないですかね?」

「んもう。じゃあ、なんなら良いの?」

「俺達、付き合っている訳でもないじゃないですか。だから、その……こういうのはまずいのでは」

「じゃあ、付き合おっか、私達♡ それなら、問題ないじゃん」

「うわっ! いや、そうじゃなくてですね!」

 と苦し紛れに言ったら、葉月さんが俺の座席を倒して、更に抱きついて押し倒す。

 マジで言ってるのかよ、この人!

 事故の時は誠実に対応してくれたので、良い人なのかなと思ったら、まさかの展開過ぎて、頭が追いつかない。


(考えろ……どうすれば良いのか、考えねば)

 このまま流されて、葉月さんとここで付き合っても良さそうな気はするが、俺達、まだ知り合ったばかりなのに、やっちゃうのは何か違う気がして仕方ない。

「俺なんかで良いんですか、葉月さんは?」

「うん、良いよ♪ 病室で進一郎が起きた時の事、覚えている? あの時の進一郎さ……凄く弱っていたよね。まるで、捨てられた子犬みたいに、泣きじゃくっちゃって」

 ああ、確かにそうだったかも。

 そりゃ、そうだろうよ。彼女が他の男との浮気している現場を目撃して、フラれた上に、その帰り道に車に轢かれて事故に遭うだぞ。

 今、思い出しても泣けるくらい、悲惨な日だったな……軽傷で済んで、葉月さんも事故後は本当に申し訳なさそうに謝って出来る限りの事はしてくれたから、それで少しは救われた気分になったけど、葉月さんも結構ヤバイ女だったりする?


「それが何か可愛くてさ……その後も、事故の被害者なのに私を優しく慰めてくれたし、それでもう……何か放っておけないなって思って。だから、ね、付き合わない?」

「き、気持ちは嬉しいですけど、急に言われても返事出来ないと言うか……はは、ああ、まだ怪我が完治していないかもしれないので、もう少し落ち着いてからが良いです! 本当、すみません!」

「んもう、大丈夫だって言ってたくせに」

 それって、好きになったというより同情して、母性本能くすぐられたとかそういうのでは?

 葉月さんの気持ちはマジで嬉しいんだけど、とにかくこんな押し倒されている状況で返事は出来ないし、里美の事もまだ吹っ切れているとは言えないので、返事を引き延ばしてもらう。

 案の定、葉月さんは不満そうに頬を膨らませていたが、よく見ると、やっぱりスタイル良いな……胸も大きいし、まるでモデルさんみたいだ。


「あ、実はね。私、ファッションモデルのバイトしているんだよ。高校の時からね」

「え? モデルさんだったんですか?」

「そう。だから、色々とスタイルには気を遣わないといけなくて。くす、私の体に見とれていたでしょう。視線でわかるんだよ、そういうの」

 葉月さんのスタイルに目が行っていたことが思いっきりバレていたみたいだが、そうかモデルさんだったのか。


「くす、ねえ。付き合ってくれるって言うなら、私の体、好きにして良いんだけど、本当に良いの?」

「おお、それは魅力的ですね。でも、俺はまだ高校生ですし……」

「むう……まさか、元カノに未練あるとか? そんなに好きだったの?」

「未練なんかないですよ。ただ、その……他の男と浮気しているのを見ちゃって、それで……」

「あ、そういう理由で別れちゃったんだ」

 里美が他の男と浮気していた事は葉月さんには話していなかったと思うが、あの光景は今、思い出しても腸が煮えくり返ってしまい、完全にトラウマになっていた。

 ああ、もうどこに向ければ良いんだよ、この怒りを。

 葉月さんと付き合っても、このトラウマを忘れる事が出来るのか、正直、自信がない。


「彼女とその男の事を忘れたいなら、いっそ他の女と付き合えば良いじゃん。私とか」

「良い案かもしれませんけど、その……いやー、突然すぎて、心の準備できていないんです。本当、すみません。もう少し返事待ってもらえませんか!」

「あーん、折角、ノリノリだったのになー。ここなら、誰も邪魔は入らないんだから、いっそ抱いちゃえば良いのに。男の子ってそういうもんじゃないの?」

 知らんけど、里美ともそういう経験はしてなかったし、あいつもこんなに積極的に押し倒すような真似はしてなかったからな……。

 葉月さんはかなり珍しい方だと思うんだけど。


「さ、服をちゃんと着ましょうよ。俺、もう帰らないといけないんで」

「やん、もうちょっと……」

 ピンポーンっ!

「ん? 誰か来た?」

 なおも食い下がろうと葉月さんはしていたが、その瞬間、家の呼び鈴が鳴り響くので、どうやら誰か来たようだ。

「ほ、ほら誰か来たんじゃないですか」

「もう、別にいいじゃん、大したことじゃ……ん? 電話……って、英樹からじゃん。はい」

『姉貴、今、何処にいるんだよ? 俺、鍵持ってないんだけど』

「ああ? あんたもう帰ってきたんだ。うん……部活が早く終わった? 今、私も帰ってきた所……車庫に車、入れた所なの。うん、今行くから。ゴメン、弟が帰ってきたみたいでさ。悪いけど、今日は……」

「そ、そうですか……」

 助かった……葉月さんの弟さん、めっちゃ良いタイミングで帰ってきてくれたやんけ。


「後でまた来るから、ちょっと車の中で待っていて」

 急いで脱ぎかけた服を整えて、車を出て、車庫の扉を開けて玄関へと向かう。

 俺が中に入っているのが知られるとまずいっぽいか、ちょっと身を屈めて隠れているか。

 何だかイケナイことをしているみたいで……いや、正真正銘イケナイ事をしているんだよな。

 つか、帰りはどうしよう。ここ、何処だかよくわからないんだけど、マップの位置情報で調べてみるか。

「うーん、家からはちょっと遠い場所にあるな」

 歩いていくと、結構かかるので、葉月さんに送ってもらわないとキツイかも。

 また戻ってくるって言っていたけど、来ないかな……。


「ゴメン、待った? 今、進一郎の家まで送ってあげるから」

 とスマホを見ながら悶々としていると、葉月さんが走って車の中に戻ってきてくれた。

「すみません、わざわざ」

「いいの。全く、英樹の奴、今日は彼女とどっか出かけるって言っていたくせに、邪魔して」

 と、ブツブツ文句言いながら、車のエンジンをかけるが、葉月さんの弟、彼女居るのか。

 そりゃいてもおかしくはないけど、葉月さんの弟ならイケメンなんだろうな。どうでも良い事だけど。

「ふふ、ちょっと落ち着いてきた?」

「え? ああ、そうですね」

「じゃあ、私と付き合うって話、考えてくれる?」

「う……そうですね! すぐに返事出来るようにはしますから」

「はいはい。私もちょっと強引だったからね。でもさ。本気だから、そのつもりでいてね」

「はい……」

 葉月さんはハンドルを握りながら、逃げ場をふさぐようにウインクしながらそう言い、俺も助手席で力なく頷く。

 何だか事故の後に、とんでもなく重い展開になっている気がするが……葉月さんへの返事、どうすべきか一日考えても、結論が出ずにいたのであった。



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