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彼女をNTRれたうえに車で跳ねられ、事故のお詫びに何でもすると言った運転手のお姉さんが実は……。  作者: beru


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第二十八話 元カノと今カノの弟のいやがらせ

「それじゃ、私はこれで」

「おい、待て。こんないやがらせしたって無駄だぞ。そんな嘘はすぐにバレるんだからな」

「バレたってかまわないよ。二人の関係にヒビが入ればそれで満足だし。あー、御免なさいね。こんな性格悪い元カノで」

「て、てめえ……」

 遂に開き直りやがったが、ここまで酷い逆恨みをしてくる女がこの世に存在するとは信じられなかった。

 くそ、こんな女だと知っていたら俺だって付き合ってないってのに。

「いい加減、あっち行ってくれる? これから、友達と学食でお昼食べる約束しているんだから」

「ああ、そうかい。無意味な事をしやがって。俺は葉月さんの弁当で昼を食ってやるからな」

「へえ。お弁当なんか作ってくれたんだ。良かったね、そんな素敵な彼女で。暴力は振るうけど、あんたには優しいんだ」

 うん、優しいよ。ちょっと口も態度も悪いけど、里美よりは遥かに良い女だわ。

 そう心の中でマウントを取って、応援席に戻り、葉月さんの弁当を食べていったのであった。


『それでは次はクラス対抗リレーです』

 その後、午後の全員参加の綱引きに参加し、残りの種目を友達と観戦していく内にもう最後の競技であるクラス対抗リレーになる。

 もう終わりか……クラス対抗リレーは足の速い奴が男女二人ずつ出ることになっているから、特別俊足でもない俺には縁がない。

「あ、始まったか」

 スタートしたので見てみるが、流石にみんな足が速く、ウチのクラスも結構良い順位じゃないか。

(あれ? 英樹も出ているのか……)

 走者を見てみると、英樹もクラス対抗リレーに出ており、バトンを受け取ると、一気に飛ばして前の走者を抜いていった。

 マジで足も速いんだな……背が高くて運動も得意で顔も良いとか、そりゃこんだけのスペックならモテても不思議はないか。


 だったら、わざわざ人の彼女を寝取らなくても良いだろうによ、クソ。やっぱり思い出してもまだムカついてくる。

 あと里美と付き合っているって話、嘘だってのももう一度言っておかないとな。

 葉月さんに言いつけられたら、どっちにしろ面倒な事になりそうだし、もう里美のせいで気苦労が耐えん。

 同じクラスだから、あと何ヶ月も学校行くたびに嫌がらせされるかもしれないと思うと、鬱になってくるわ。


『それではこれで体育祭を終了いたします』

 閉会式も終わり、後片付けも済ませた後、英樹がいないか探す。

 誤解しているのか、それとも嘘とわかったうえで、俺への嫌がらせのつもりなのか知らんが、とにかく葉月さんに余計なことを言わない様に釘を刺しておかないと。

「えっと……あ、いた」

 グランドの三年の応援席のあったあたりを探すと、女子生徒と話している英樹の姿が見えたので駆け寄る。

「あの、そんな事を言われても困るんです」

「いいじゃん。この前、そっちから誘ってきたんだし……」

「おい、あんた」

「ああっ!? って、またお前かよ! 何だよ、邪魔するな」

「さっきの話だよ。里美が俺と付き合い始めたって話、あれ嘘だからな。葉月さんに言っても……」

「はん、嘘だって証拠はあるのかよ」

「は? 証拠ってお前……俺が付き合ってねえって言ってるだろうが」

「うるせえな。姉貴に黙っている理由は……あ、くそ! 逃げられたじゃねえか!」

 この野郎、やっぱり俺への嫌がらせの為に、里美に加担するつもりかよ。

 別れたくせに変な所で息を合わせやがって。


「お前のせいだぞ、おい!」

「何がだよ……とにかく、里美と付き合っているってのは嘘だからな。それだけは覚えておけよ」

 いつの間にか、英樹と話していた女子が逃げ出してしまったみたいだが、そんなことは正直、どうでもいい。

 どうせこいつが強引に言い寄ってきていたんだろうが、今は葉月さんに変な誤解をされないようにしないとな。


「はあ……しかし、考えてみたら、英樹が葉月さんにあの件を言うのを阻止するの無理なんだよな」

 あの二人は仮にも姉弟で一緒に住んでいる以上、俺がそれを止める事は不可能だ。

 葉月さんの誤解をどう解くかを考えた方が手っ取り早いか……厄介な状況になってしまったな。

 溜息を付きながら、校門を出て家路に着いていると、

「あ、あの……」

「ん? 何か?」

 一人の女子生徒が俺に恐る恐る声をかけてきたが、誰だこの子は?

 何となく見覚えがあるけど……あ、英樹と話していた子か。

 小柄な長い黒髪で、前髪が目にかかるかかからないかくらいの地味目の女子だけど、制服のリボンを見る限り、一年か?


「先ほどはありがとうございました。あの……ちょっと、先輩に言い寄られて、困っていたので」

「あ、ああ……ひで……大場先輩と話していた子ね。いや、うん……あの人に言い寄られていたんだ」

「は、はい。えっと、あの良かったら、これ……どうぞ」

「ん?」

 女子生徒がバッグから一本のペットボトルのスポーツ飲料を取り出して、俺に手渡そうとするが、別に英樹から助けるつもりはなかったんだけど……まあ、良いか。

「うん。どうも。あの先輩と何かあったら、遠慮なく言ってね。あの人とは知らない仲ではないというか……」

「はい。そ、それではまた」

 知らない仲どころか、俺の彼女を寝取ったうえに、今の彼女の弟と言う実に複雑で因縁のある相手なんだけど、そこまで見知らぬ彼女に説明するのはちょっとね。


 しかし、英樹の奴もどんだけ見境がないんだろうな……里美と別れたばかりなのに、もう別の女子に言い寄るとは。

 真面目な女子と付き合いたいとは言っていたけど、確かにあの子も真面目そうというか、おとなしそうな子だったな。

 自分の言いなりになりそうだからとか、そんな理由じゃないだろうな。女子の好みも歪んでいそうで、いずれ刺されたりするんじゃねえのか。

 というか、葉月さんがいなかったら俺がそうしていたかも……彼女に免じて、大目に見てやっているのを忘れてもらっちゃ困るわ。


「おっ、葉月さんからだ。はい」

『ヤッホー、進一郎。ちょっと良いかしらん♪』

 家に着いて間もなく、葉月さんから電話があったので出る。

 流石に里美の事、まだ聞いてないか……いや、その気になれば、ラインか電話ですぐに英樹から伝わっちゃうか。

「どうしたんですか? あ、お弁当美味しかったです、ごちそうさまでした」

『ああ、どうも。明日さー、ちょっと放課後にでも会えない。色々と話があるから』

「話ですか?」

『そうよ。何のことか大体、想像つくんじゃないー?』

 想像って、里美の事、もう葉月さんに伝わっているのかよ……頭が痛くなるが、とにかく付き合っているのは嘘だと言うしかねえか。


「わかりました。てか、今ここで話するんじゃダメなんですか?」

『実はさ、これからサークルの子とコンパ行く予定なのよ~~。だから、明日ね、明日』

「ああ、そうなんですか。何のサークル入っているんですか?」

『ダンスのサークルよ。ま、大して活動もしてないんだけどねー。アハハ』

 ダンスサークルねえ……葉月さんらしいといえばらしいけど、葉月さんも運動がかなり得意っぽいので、彼女のダンスも見てみたいかも。

『どうだった体育祭』

「二人三脚はちょっとイマイチでしたね。それにしても弟さん、足が速いんですね。リレーにも出ていましたし」

『ああ、あいつ体育バカなのよ。ま、私も似たようなもんだったけど、それを鼻にかけたいけ好かない男でしょう。しかも私のことバカ呼ばわりしやがって。だから、女子にも逃げられるんだよバーカって言っているの。あ、もう切るね。んじゃ、明日ね』

 と言って、電話を切るが相変わらず、口が悪いお方だなあ。面白い人だと思うけど、こういう所は英樹の姉貴だなって思っちゃうから、複雑になるんだよな。




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