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彼女をNTRれたうえに車で跳ねられ、事故のお詫びに何でもすると言った運転手のお姉さんが実は……。  作者: beru


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第二十六話 彼女にはやっぱり弱い

『はーい、進一郎。元気してるー? あんたの最愛の彼女、葉月お姉さんよ』

 夜になり、いつものように葉月さんが俺に電話をかけてきた。

 今日は色々な事があったので、葉月さんに話したいことが山ほどある。

「実はですね。今日、体育の時間に体育祭の練習をしたんです」

『あー、体育祭ね。そんなのもあったわね、懐かしい』

「懐かしいって、葉月さんも去年までやっていたんじゃないですか?」

『そうだった気もするけど、面倒くさくてさー。あんまり熱心にやってなかったのよね。体育はどっちかっていうと得意だったんだけど、ああいう行事、何かやる気でなくて。んで、進一郎は何やるの?』

「二人三脚です。実は里美とやることになったんですよ」

『へえ……里美って、あの元カノだよね』

 これを言うと、葉月さんも怒るかと思ったが、案の定、不機嫌そうな声で返事をしてきた。


「いやー、あいつが二人三脚の相手に俺を推薦してきちゃいまして。断ろうかと思ったんですけど」

『断りなさいよ。あんた、まさかあの子に未練があるっての?』

「違います! それは断じてないんですって。何であいつが俺を推薦したのかって言うと、この前、葉月さんに足を踏まれた時の痣がまだ残っていたみたいで、それを俺に見せてきたんです。どう責任取るんだって、詰め寄られて……」

『そんな事もあったわねー。全く、あの程度で根を持つとは根性のない子よね』

 根性がないとか、そんな問題ではないと思うんだが……理由はどうあれ、あんなことされたら怒るだろう。


「葉月さんだって同じことをやられたら、嫌でしょう? ですから、こういう事は今後、止めてほしいんですよ。俺への風当たりもキツくなっちゃいますし」

『でもさ、しつこく付きまとっていたあの女が悪いじゃん。里美って子、マジおかしいわよ。よくあんなのと付き合っていたよね、進一郎も』

「付き合っていた時は真面目だったんですよ。いや、真面目に振る舞っていたというべきかもしれませんけど」

 あんな女だと最初からわかっていたら、俺だって告白なんかしてない。

 何というか色々と病んでいるなあの女。

『ふーん。ま、英樹なんかと浮気する時点でロクな女じゃないわよ。何かあったら、すぐに言ってね。私が代わりに締めてやるから』

「そんな事しなくていいですよ。てか、物騒な事、言わないでください。今日も、葉月さんが足を踏んで怪我をした事を責められたんですから」

 葉月さんがもし里美を絞めるような事をしたら、同じクラスの俺があいつに何をされるかわかったもんじゃない。

 というか、こういう物騒な事を平気で口にするの止めてほしいんだけどな。


「そうそう。今日は葉月さんの弟さんにもちょっと話をしまして」

『あ? 英樹に何か言われたの?』

「いえ。前に葉月さんのせいで、彼女にフラれて酷い目に遭ったとか聞かされたんですけど、本当なんですか、それ?」

『私のせいで彼女に? はて、どれの事かしら?』

 どれの事って、まさかあの話以外にも心当たりがあるのかよ。

「一緒に買い物に行った時に、葉月さんが彼女を蹴ったとか何とか……」

『ああ、あれか。前にも話したでしょう。英樹と二人で買い物に行った時、偶然、あいつの彼女に会ってさ。その時の話か。まだ根に持っているのよね、あいつ』

「何でそんなことを?」

『だって、勝手に私の事を英樹の彼女だと誤解したうえに、ヒスってこんな女とかキモイとか抜かしたのよ。そんなん我慢する義理ねえじゃん。ムカついたから、そのバカ女の腹に蹴りを食らわして、ヤキ入れてやったの。ったく、思い出してもムカつくわ。あんな女と付き合ってんじゃねえよ、バカ弟も』

「…………」

 何の悪びれる様子もなく、自分を悪く言った相手や弟が悪いと踏ん反り返ったように口にする葉月さんの言葉を聞いて、呆れてしまい、頭が眩んでしまった。


 しかもその口調が弟の英樹にそっくりで、口の悪さもそっくりだと思い知らされてしまったのだ。

 もしかして英樹があんな性格になったのも葉月さんのせいなんじゃ?

「そういう事しちゃ駄目ですよ。てか、蹴りとか大けがしたらどうするんですか? それじゃ弟さんだって怒るに決まっているでしょう」

『あーん、また進一郎に怒られちゃった。てか、それ中坊の時の話だしさ。若気の至りって奴よ、アハハ。今はそこまでしないって、多分。一応、英樹にもちょっとやり過ぎたとは言っておいたっての。それ以来、私と二人で出かけるの拒否っているけどさ」

 それに関しては当然としか言いようがない。いくら、英樹の彼女の態度に問題があっても、手を出しちゃダメって常識じゃん。

 話を聞いていると、あの間男にも同情しちゃうくらいの酷さではないか……。


「とにかく、暴力は駄目ですって。付き合っている彼女がそんなことをしているの見たくないんですよ、俺も」

『随分と上手い言い回しするわねえ進一郎は。あんた学級委員とかやっていたでしょ』

「小学生の頃、やった事あるくらいですけど」

『マジでやっていたんだ。アハハ、どうりで良い子ぶっている事が多いと思った。あ、馬鹿にしている訳じゃないよ。むしろ褒めているからね』

 良い子ぶっているって、誉め言葉ではないと思うんだけど、彼女から良い子と思われているってのは素直に喜んでいい事なのかどうか……。

『わかったわよ。進一郎が言うなら、気を付けてあげる。彼氏の顔を立ててね』

「本当、お願いしますよ」

『ふーん。今の話聞いて、私に幻滅した?』

「幻滅……そりゃ、良い気分はしませんよ」

『正直じゃない。真面目君にはちょっと嫌悪感が強すぎる話だったかしらん♪ 進一郎の為にちゃんと更生してあげるわよ。でも、前の彼女よりはマシでしょう。あんなメンヘラ気味の浮気女よりさ』

 里美よりマシってくらいで、得意気にならないで欲しいんだが、ある意味あいつより性質が悪いかもしれん。

 でも浮気さえしなければ何とか……葉月さんに関してはまだ安心も出来ないけど。


『そうだ。体育祭の日、お昼ごはんどうするの? よかったら、私がお弁当作ってあげようか』

「え? いいんですか?」

『うん。その日、大学の授業で小テストあるから、行けないんだけどさー。朝、お弁当届けに行くから。進一郎には少しでも活躍してほしいし』

「ありがとうございます。葉月さんのお弁当、美味しかったから、楽しみです」

『でしょう。ふふ、私も進一郎に良い女、アピールしておかないとね。何だか、危ない暴力女みたいに思われてそうだから』

 今の話を聞いてりゃ、そりゃ良い印象は持てないけど、葉月さん自身は面白い人だとは思うけどなあ。

 俺が彼女を少しづつ変えていけば良いのか? 出来るかどうかわからんけど、もうちょっと真面目というか、優しい人になってくれれば、最高の彼女になれそうなのにな。


 そして体育祭当日――

「んじゃ、行ってきます」

「おはよー、進一郎」

「葉月さん。どうしたんですか、こんな所で?」

 家を出てすぐ、葉月さんが俺に声をかけてきたので、ビックリしてしまい、

「お弁当作ってきたよ。はい」

「ああ……ありがとうございます、わざわざ」

「ふふ。どう? 彼氏に尽くしてくれる甲斐甲斐しい彼女でしょう、私?」

 弁当箱を俺に手渡した後、葉月さんは胸を張って得意気に言うが、こういう所はやっぱり憎めないな。

「今日は英樹の分は作ってないの。あいつ、姉貴の弁当なんかいらんって言うから、お望み通り、進一郎の分だけ作ってあげたわ。今日は正真正銘、進一郎のためだけに作ったお弁当だから、ありがたく頂いてね」

「は、はい」

「うん。じゃ、体育祭、頑張ってねー。ちゅっ♡」

 と言った後、葉月さんは俺の頬にキスをして、立ち去っていった。

 ああ、やっぱり俺もチョロイ男なんかな……




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