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彼女をNTRれたうえに車で跳ねられ、事故のお詫びに何でもすると言った運転手のお姉さんが実は……。  作者: beru


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第十八話 やっぱり二人は似ているのか

「あ、そのケーキいらないの? なら、私が食べるけど」

「いえ、食べます」

 テストなんかより、自分の方を取れって言う葉月さんの言葉が地味にショックであったが、逆の立場だったら、本当に葉月さんが自分を取るのか疑問に思い、

「あのー、大学も試験ってあるんですよね?」

「うん。七月の下旬ごろにね。あと、定期的に小テストみたいなのもあるよ」

「じゃあ、大学の試験中も俺とのデート優先できますか?」

「うーん……進一郎が会いたいって言うなら、会うけど」

「例えばですね。試験に受からないと留年しそうだって時でもですか?」

 俺としては葉月さんにそんな選択を無理強いするつもりは全くないんだけど、本当に彼女が彼氏の為にそこまでやるのかと。


「留年は困るわねー。学費も余計にかかるし。でも、留年くらい、どうにでもなるんじゃないの」

「どうにもって……すみません、もう良いです。俺は葉月さんにそうはなって欲しくないんで」

「あはは、そう。意地悪な質問だってのはわかっていたけどね。んで、テスト期間中は会えるの? 午後は予定ないんだよね?」

「人の話、聞いてました? ああ、会えそうなら連絡しますよ」

「んもう、私が会いたいって言ってるんだしさあ。ウチの方がお姉さんなんだよ」

 俺だって葉月さんと会いたいのは山々だけど、ちょっと我儘な人だな。

 そりゃ付き合っているなら、別に遠慮なんかしなくても良いんだが、今の葉月さんの態度は少し横柄に感じてしまう。

 うーん……葉月さんと出来る限り一緒にいたい気持ちはあるんだが、


「じゃ、そろそろ出ようか。あんま遅くなるのも悪いしさ」

「はい」

「あ、そうそう。こっち来て」

「何ですか?」

「ちゅっ♡」

 そろそろ店を出ようと、席を立つと、葉月さんが俺の腕を組んで頬にキスをする。

「ふふ、誰も見てないんだから、これくらいはしてあげないとね」

「はは……どうも」

 葉月さんはウインクしながら、そう言ってきたが、今まで感じていた彼女へのモヤモヤした気分も吹っ飛ばしてしまうくらいの可愛さだったので、もうテストの事なんかで悩んでいるのが馬鹿みたいに思えてきた。

 そうだよな。別にテストがどうとかで、彼女との時間を減らすのはおかしいよな。

 葉月さんだって色々と忙しい中、時間を作って会ってくれているんだし、俺の方も都合合わせないとな。


「んーー、やっぱりもう帰るの?」

「葉月さんもあんまり遅くなると、親御さんが心配するのでは? 事故の事もありましたし……」

「そうだけどさ。折角のデートなのに、ちょっとお茶したくらいで解散とか味気なくない? ほら、ここのホテルにでも入ろうよ」

「いやいや、俺、今、制服なんですけど!」

 葉月さんは店を出た後も、俺の腕にがっしりとしがみつき、ホテルに連れ込もうとするが、今は制服なんだから、無茶を言わないでほしい。

「別に制服なんか脱げばいいじゃん。相変わらずお堅い子だなー、進一郎は」

「そうかもしれませんけど、流石にここに入って、学校にバレるとまずいですし」

 誰が見ているかわかりゃしないので、ちょっと勘弁してほしい。

「もう、遠慮するなよー。進一郎、もう高二でしょう。さっきも言ったけど、私の方がお姉さんなんだからね。少しは言う事、聞きなって」

「あー、テスト勉強があるので。それじゃ、また連絡しますから」

「あん、もう。はいはい、じゃあねー」

 なおも連れ込もうとした葉月さんの腕を振りほどき、何とか彼女から逃げ出す

 どんどん積極的になっていくな葉月さん。事故のショックからは、もうすっかり立ち直ったみたいだし、それは結構な事なんだが、この先、彼女とちゃんと付き合っていけるか心配になってきた。


 数日後――

「それでは、始め」

 中間テストの初日になり、試験に取り掛かる。

 葉月さんが夜中でも容赦なくラインのメッセージを大量に送り付けていたので、なかなか勉強にも集中できなかったんだが、彼女の事はしばらく忘れよう。

 そう言い聞かせて、試験に取り掛かったが、やっぱり手応えがイマイチな出来だった。


「はあ……大丈夫かな、残りの科目」

 まいったなあ。赤点はないかもしれないけど、いつもより点が悪いかもしれない。

 事故とか失恋とか色々あったからってのは言い訳にならないとは思うけど、色々と試験に集中できない環境になっていたのは確かだしな。

「だから、今日は無理だって言っているでしょう」

「んだよ、午後は時間あるんだろ。少しは良いじゃねえか」

「んーー?」

 階段を下りた所で、聞き覚えのある男女の声が聞こえたので、ちょっと覗いてみると、里美と英樹が校舎の裏手で言い合いをしていた。


「少しはって、今はテスト中だし……英樹だって、困るでしょう」

「最近、俺の事、露骨に避けているじゃねえか。テストを盾に逃げようとするなよ」

「そ、そんなことを言われても……」

 何だなんだ。あの葉月さんの弟が里美に何やら詰め寄っているようだが、英樹が無理矢理里美を付き合わせようとしているってか?

「そんな事も何もないだろ。大体、俺の方が先輩だぞ。お前、最近、ちょっと偉そうにし過ぎじゃないか。後輩なら先輩の言う事を少しは聞け」

「何よ、その言い方。敬語使わなくていいって言ったの、そっちじゃない」

「それとこれとは別だろ。とにかく、今日は付き合え。テスト勉強なんか後でも出来るだろ。てか、お前、成績良いんだから、別に良いじゃないか、それとも俺よりテストが大事とでも言うのかよ?」

「あ、ちょっと!」

 おいおい、流石に強引すぎるんじゃないか、あいつ。

 英樹の奴、いくら彼女が相手だからって、あんな態度はないだろうに。

 束縛って言うかモラハラって言うのか、ああいうの? よくわからんけど、あんなんじゃ普通の女は逃げるわな。


(うーん、助けるべきか見捨てるべきか)

 流石に里美が不憫になったので間に入ろうか悩んだが、さっきの二人のやり取りを見て、葉月さんの事を思い出してしまった。

 あいつが里美に言っていた事、葉月さんが俺に対して言っていた事、そのまんまじゃないか。

 口調は英樹の方が乱暴であったが、テスト期間だろうが、俺に付き合えとか、言っていた内容はほぼ同じだった。

 やっぱり、あの二人って……姉弟なんだな。仲はあまり良くないらしいが、考えていることは殆ど同じだってのが今のを聞いて思い知らされてしまった。

 自分の都合ばっか考えているじゃん。葉月さんはあれでも女性だから、俺は力で振りほどけたけど、男女が逆だったら、キツイかな。


 しょうがねえな……物凄く気が滅入るが、

「あー、おい」

「あ? またお前かよ。何だよ?」

無理矢理英樹が里美を引っ張ろうとしたところで、俺が間に割って入ると、英樹はうんざりしたような眼で俺を見る。

「今の話聞いたけどさ。里美も嫌がっているじゃん。あんま無理強いするなよ」

「別に嫌がってなんかいないだろ。お前には関係ねえじゃん」

「一応、俺も無関係ではないだろ。それに里美は一応、元カノでクラスメイトだしさ」

「姉貴の彼氏ってだけで、俺とは関係ねえだろ。ったく、面倒な男と付き合いやがって、あの馬鹿姉貴も」

また葉月さんの事を馬鹿呼ばわりかよ。いくら弟だからって、葉月さんを馬鹿にされるとムッと来るな。


「そ、そうだ。今日は進一郎と約束があるんだ。行こう」

「は? あ、おい。おい、里美! くそ」

 英樹が里美の手を離した瞬間、里美が俺の所に駆け寄って、俺の手を引いて逃げ出す。

 俺達を追おうとしたが、先生が近くを通りかかったようで、英樹もすぐに諦めてしまった。




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