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彼女をNTRれたうえに車で跳ねられ、事故のお詫びに何でもすると言った運転手のお姉さんが実は……。  作者: beru


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第十四話 元カノと今カノの弟と

「な、何をやっているのよあんた」

「何って。今の見ていたんだろ? 葉月さんとのデートの帰り。葉月さん、この前、会ったから知っているだろ」

「そう……」

 葉月さんとは里美も会っているので、改めて紹介する必要もないと思ったが、何か面白くなさそうな顔をしているな。

「今日は一人なのか?」

「友達と遊びに行った帰り」

「そう。じゃ、俺はこれで」

 彼女とのデートが終わった直後に元カノと遭遇とは、ものすごい気まずい状況なので、さっさとこの場を去る事にする。

 里美との関係はもう終わった事だが、やっぱりまだ思い出すと、ムシャクシャするなあ。

 元はと言えば、こいつのせいで事故にも遭ったんだし、葉月さんにもトラウマ植え付けちゃったんだぞ。


「待って」

「何だよ?」

「あの人、英樹のお姉さんよね? どういう経緯で付き合ったのよ」

「んーー? どういう経緯ね。事故のこと、聞いてるだろ。その後、色々あってな」

「何それ、意味わかんないだけど」

 確かに付き合い始めた経緯を思い出すと、俺もよくわからんうちに付き合っていた感じだな。

 ま、良いんだけどね。葉月さん、良い人だし。


「お前には関係ない話だろ。あ〜、でもあの男のお姉さんなんだよな、葉月さん。あいつ、何か言ってた俺のこと?」

「――! ひ、英樹とはもう……」

「え?」

「何でもない! もう帰るね!」

「あ、おい。行っちゃった」

 英樹の話をしたら、途端に表情を強張らせて視線を逸らして逃げ出してしまったが、もしかしてあいつと上手く行ってないのか?

 だったら、ざまぁないなと思っちまうが、どうでもいいか。

 今更、里美に未練ないし、あいつと英樹の関係がどうなろうが知ったこっちゃないからな。


「ふふふ〜〜……見たぞ〜〜」

「ん? は、葉月さん!?」

 背後から誰かに目を両手で覆い隠され、何事かと振り向くと、葉月さんが笑顔で俺の真後ろに立っていた。

「か、帰ったのでは?」

「ふふん、ちょっと忘れ物しちゃって♪ そしたら、進一郎が元カノと仲良く話しているのを見かけちゃってさ。お姉さん、もしかして元カノと寄りを戻そうとしているんじゃないかって、ハラハラしちゃって。で、どうだったの?」

「そんな話してませんって! 別に大した話はしていませんよ」

「本当? 洗いざらい話してごらんなさい。君の今カノとしては、元カノと同級生ってだけでも、危うい感じがするのに、あんな仲良さそうに話しているのを見たら、穏やかじゃいられないなー」

 まさか、本当に浮気を疑っている訳ではないんだろうが、マジで大した話をしていないんだけどな。


「葉月さんとどういう経緯で付き合ったのかとか、そんな話ですよ。あと、葉月さんの弟さんと何か上手く行ってなさそうな感じだったような」

「へえ。前にも言ったけど、英樹ってモラハラの気があるのよね。後輩にも女子にも偉そうな態度を取っているしさ。ついでに姉である私にさえ。気に入らないなら、さっさと別れればいいのよ。むしろ、そうすべきだし、私が彼女なら絶対別れるわね」

 姉にまでここまでボロクソに言われるって、あの英樹ってのはどんだけ性格が悪いんだよ。

 まあ、人の彼女に手を出す時点でロクな男じゃないのはわかるんだが、問題は葉月さんと付き合う以上、あいつとは無関係ではいられそうにないってのがな。

「元カノへの未練はもうない?」

「ありません。向こうから寄りを戻せって言われても、即断りますよ」

「それ聞いて安心したよ。えへへ、やっぱり進一郎と付き合って良かったかなー」

 里美への未練なんぞ、微塵もないし、今は葉月さんの事しか考えられんわ。

 あいつの様子はちょっとだけ気になるけど、未練があるとかそういうのでは断じてない。


「ね、あの子にも何かやり返したい気持ちあるの?」

「里美にですか? ない事は無いんですけどね」

「じゃあ、お姉さん、協力してあげるよ。あの子に復讐したいんでしょ」

「いや、そうですけど、何やるんです?」

 やけに楽しそうに目を輝かせて、葉月さんはそう迫ってきたが、何を企んでいるのやら。

「うーん、どうしようか。どんな目に遭わせたい? 集団リンチとか?」

「物騒な事、言わないでくださいよ。別にいいですって。葉月さんはそんな事、考えなくても」

 さり気なく恐ろしい事を口にしてきたが、葉月さんって、もしかしてヤンキー女子だったりする?

 この前、弟を蹴り飛ばした時も思ったけど、怒らせると怖い人っぽいし、俺も気を付けないと。

「そっか。ま、あの子と英樹が何かやってきたら、いつでも言ってね。お姉さんが即飛んできてあげるから」

「はい。何かあれば話しますので」

 そう言ってくれるだけでも頼もしく感じてしまい、やっぱりこの人と付き合って良かったなって感じてしまった。


 そして月曜日――

「あーあ、今日も掃除当番、面倒くせーな」

 掃除当番だったので、教室のごみ箱に溜まったゴミをゴミ集積所へと持っていき、袋を放り投げる。

 確か英樹と里美の浮気現場を見たのこの辺だったな……まさか、あいつら今日も……。

「おい」

「ああ? って、お前は」

 もう一回、あの現場を覗いてみようかと思っていると、誰かに肩を掴まれて声をかけられ、振り向いてみたら何と葉月さんの弟、英樹が俺に眼つけながら、声をかけてきた。


「な、何だよ?」

「この前はよくもやってくれたじゃねえか。里美の前で恥を掻かせやがって」

「はあ? いや、そうは言われてもな。あれ、葉月さんがやった事じゃん」

「馬鹿姉貴にも散々言ったに決まっているだろ! 姉貴の男だか、何だか知らねえが、調子に乗りやがって。おかげで、里美にも避けられてんし、変な噂が広まって、散々なんだよ。お前の仕業だろ! 馬鹿姉貴と一緒に俺に嫌がらせしてんのか!」

 知らねえよ、そんなの……逆恨みっていうか、殆ど葉月さんのせいで俺は何もしてないんだけど、こいつ本当にムカつく男だな。

「あんまり、自分の姉貴をバカとか言うなよ。あんたに弁当とか作ってくれてるんだろ」

「俺の事だって、普段、バカバカ言いまくっているんだぞ、あの女は! 本当、ムカつく姉貴だわ。俺より成績悪かった癖に粋がりやがって」

「…………」

 うーん、姉弟との仲があまり良くはない感じだけど、それ以上にこいつの性格に問題があり過ぎだろ。

 顔は良いけど、家族に対してもこんな口を叩くとは本当にモテるのかこいつは?


「俺だってな。あんたには言いたいこと、山ほどあるんだよ。自分のしたこと、わかっていない訳じゃないんだろう? 人の彼女を……」

「あれは里美の方からやってきたことだから、俺は悪くねえな。お前が勝手に愛想尽かされただけだろ。しかも、俺の姉貴に手を出すなんてな。見境ないのはお前の方じゃねえか」

 え? 里美の方から告白して来たって事? だったら、せめてこいつと付き合う前に言えっての。

 今更どうでも良い事だけど、やっぱり性格問題あるなあの女も。

「とにかく、葉月さんに免じて、俺は我慢してやっているんだ。もしかして、姉ちゃん取られたのが気に入らないのか?」

「はあ? ふざけた事言ってんじゃねえよ。とにかく、姉貴と俺の邪魔をするんじゃねえ。もし今度、同じことやったら、マジでぶっ殺すからな」

「くっ! おい、いい加減に……」

「おい、お前ら何をしている?」

「――!」

 英樹が俺の胸倉を掴んで、俺もこいつの因縁に我慢できなくなった所で、通りかかった体育教師が駆け寄ってきた。

「ちっ。何でもありません。ちょっと部活の相談していただけです」

 俺から手を離し、舌打ちをしながら、英樹は教師に言い訳して、その場を去っていく。

 教師の前じゃ良い子ぶりやがって……しかし、改めて奴の性悪さを目の当たりにし、頭が痛くなってきた。

 あいつが将来、俺の義理の弟になる可能性が……いや、考えるの止めておこう。

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