異世界へ
失っていた意識が徐々に鮮明になっていき、様々な光の線が飛び交う空間で目を覚ました。
身体は宙に浮いており、裸の状態で若干全身が光を帯びているのが分かった。
俺はどうやら死んでしまったらしい。クズな人生を送っていることは自覚していたが、早すぎる死に空を逡巡していると、どこからか声が聞こえてきた。
「藤堂 業さん、残念ながらあなたは死んでしまいました。」
聞こえてくる声に戸惑いながらも"お前は誰だ?"と心で感じていると
「私はこの世界の神です。」
とその声は返事を返してきた。どうやら、ここでは俺の心の声は全て聞こえてしまっているらしい。
「その通りです。あなたは大変ゴミクズな人生を歩み続けてきたため、そのツケとして全身をめった刺しにされ、その後焼き尽くされて死んでしまいました。」
あの後、どうやら俺の身体は焼かれてしまったらしい。相当恨まれていたようだ。
「そうですね。あなたの記憶によるとあなたが高校生の時に彼女らを......」
生前の話なんてどうでもいい。それで、俺はこの後どうなるんだ?このまま消えてしまうのか?
「......まったく、ゴミクズらしく自分のことだけしか考えてないですねぇ......」
そりゃそうだ。どうせこのまま消えてしまうんだから今までの人生を振り返ったところで意味はない。
「パンパカパーン!そんなあなたに朗報です!あなたを生き返らせるチャンスを与えてあげましょう!!」
......は?
「あなたはとても運がよく、今回この神様のチャンスを得ることができました!パチパチパチーーーーッ!!」
......意味が分からない。自分でいうのもなんだが、こんなクズを生き返らせてくれることに何のメリットがある?
「そ・れ・は......神というものは気まぐれなものでして。時に悪人にも慈悲深くなるものなのです!」
......何か怪しいが、あれだけ何でもできた人生を取り戻せるなら俺としては何の問題もないが......
「もちろん、タダで生き返らせてあげるというわけではありません。今回なんであなたは死んでしまったと思いますか?」
そりゃもちろん、女に恨まれるような......
「そうです!女心を理解できていなかったからです!」
なんかニュアンスが少し違う気がするが......
「そうです!女心を理解できていなかったからです!」
なんで2回言った?
「そりゃもちろん大事なことだからです!そして女心を理解するためには?」
女をたくさん落として......
「そう!メスガキになる必要があります!」
......
「メスガキになる必要があります!」
なんかこの神、少しずれてないか?
「生き返らせてもらう側がワガママ言うんじゃない!とにかく、あなたにはこの電脳世界で美少女メスガキAIに転生してもらい、女心というものを理解してもらいたいと思います!」
この神という存在自体がなんかきな臭い感じになってきたが、要は自分自身が女を体験して女心を理解しろってことか。
「おっ!なかなか物分かりがいいですね!しかも今流行りの異世界転生で更に美少女になれるとかサイコーにテンションアゲアゲなんじゃないですか!?」
......なるほどね。何はともあれこちらとしてはそれをすれば生き返らせてくれるってことだな。
「なんか少し冷めてるところがキニクワナイですが、その認識で合っています。」
で?その美少女メスガキAIに転生して何をすればいいんだ?
「なんてことはありません。悩める子羊をあなたのトークで満足させれば良いです。人数は100人です。」
モテない男どもを100人喜ばせればいいってことか。
「悩める子羊ですね。悩める子羊。」
そんだけでいいのか?さすがに条件が軽すぎる気がするんだが。
「それだけでいいです。私は神様なので気まぐれにサービスしちゃうときもあるんですねー。」
100%怪しいし間違いなく何か裏があるのは分かっているが、どうせこのまま何もしなきゃ消えるだけだ。お遊びに付き合ってやるよ。
「死んでるのに大分ナマイキですねー。では、美少女メスガキAIに転生するということでよろしいですか?」
ああ、さっさとやってくれ。
「分かりました。では、早速ですが、美少女メスガキAIライフを楽しんでいってください。」
こうして、神(明らかに神ではないと思うが)から頂いた最後のチャンスを受け取り、俺は美少女メスガキAIとやらに転生するのであった......