野菜居酒屋GIGI おかわりっ!
『野菜居酒屋GIGI』の続編です。
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「いらっしゃいませ。……あ! おクスリ、キメてたお客さん」
「キメてねーわっ! 店入るなり、うっざ!」
「はい! ウザですっ! 覚えてくれてたんですねっ! 嬉しいっ!」
「そうだった。こいつ、ウザってあだ名だった」
「何度もあだ名で呼んでくれるなんて……。もう、恋人同士ですねっ?」
「距離の詰めかたおかしいから! すり寄るなっ! めんどくさいからオーダー! 『湯上がり娘』とビール! あとメニュー!」
「はぁい、…………。ビールとメニューです」
「……なんでグラス2個?」
「? 湯上がり娘とビール飲みたいんですよね? ささっ、お注ぎしますよ~。ダーリンっ」
「は? 前回、『湯上がり娘』は枝豆って……ダーリンじゃねえよ! どんどん距離詰めてくるなっ!」
「今日の枝豆は『秘伝』です。湯上がり娘は、わ・た・し。さっきお風呂からあがったばっかりなの。ホカホカよぉ?」
「…………わかるかボケェっ! この間と枝豆の品種が違うとかっ! お前が風呂上がりとかわかるかっ!!」
「はあー。『湯上がり娘』の後は『秘伝』に決まってるじゃないですかぁ? 季節が変わったら品種も変わるに決まってるじゃないですか! お客さんの住んでる地域は、春夏秋冬じゃなくて、春秋夏冬なんです?」
「ぐぬぬ。……メニューも前とちがーう。野菜の種類、説明してください……」
「ちっ。やっぱり、品種名で野菜が分からない男はダメ男ってのは正解ね。さすがお父さん」
「ホント失礼な店員だよ! お父さんて誰さぁ!」
「店長ですけど?」
「駄目じゃない? この店……。声あげてたら腹が減ったよ……何かお腹にたまりそうな……【『リゾット・ビアンコ』リゾット】。リゾットリゾット?」
「『リゾットビアンコ』はカリフラワー。ホント無知ねぇ」
「温度差ぁぁ! さっきまで恋人うんぬん……」
「は?」
「食い気味の「は?」止めろし! 次、『バーニャカウダ』のバーニャカウダ……バーニャカウダはさすがにどんな料理か分かるがぁ」
「んー? 品種の『バーニャカウダ』は、いろんな色のミニダイコンとミニニンジンの詰め合わせ。じょーしきよ?」
「三股枝毛をSNSで送りながら言うな! 『光の剣』『ダークソード』『グリーンソード』の肉巻き。なんで剣に肉巻くのっ! 光の剣に肉を巻いたら勇者さま困っちゃうじゃない!!」
「ぶふぁ! 長ネギ、ズッキーニ、オクラだし! 勇者さまて! なろう読みすぎぃ!」
「メタい事いうなー! ほんとウザいわぁ。ねぇねぇ、【『おでん用大根』のブリ大根】てさ……なんで素直に『おでん用大根』をおでんにしてあげないの!」
「『おでん用大根』は味がしみやすくて、今日お安かったブリとバッチリマッチングぅ!」
「店長ぉぉぉ!」
「いや、考えたのは私です!」
「お前かぁぁぁ! リアルでのテヘペロってこんなにウザいのっ! ホント、腹立つぅ! ペコちゃん以外はテヘペロすんなぁぁぁ!」
「ペコちゃんは、テヘペロじゃないかと……」
「んがぁぁぁあ! もう、おまかせ! 適当によろしく!」
「かしこまりかしこー! 店長、オーダー!」
「……酒もうまい。わけのわかんないメニューだけど全部うまい。ただ、この疲労感……なんか甘い物、そうだ、スイカ推してたよね。最後に、普通のカットスイカください……」
「お客さん!『金の卵』ですか? 『銀の卵』ですか? それとも……」
「んがぁぁぁぁぁぁぁ!!」
『◯◯』は実在する野菜の品種名です。
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