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23天使様、俺君とデートしてニマニマデレる

俺と陽葵は何度も愛し合った。だけど最後の一線だけは越えられなかった。


もし、陽葵に拒否されたら__この関係が終わってしまいそうでできなかった。


俺は陽葵の最後の一線はお互い一番好きな人と__という言葉にめげていた。


やはり陽葵の一番は今も長門なのか?


もし、一番好きなのは陽葵だと告白すると、二番目の関係が壊れるようで怖かった。


そんなことを思いながら陽葵と登校してクラスに入るとアリーさんが来た。


『今日、放課後デートするぞ、しないと昨日私とキスしたことバラすぞ♡』


ボソッと呟く言葉__今日はデレじゃなくて脅しの方だった。


『初めてのキス__嬉しかったぞ♪』


デレの方も忘れなかったようだ。なんか嬉しそう。


慌てて陽葵に今日、秋月と遊びに行くと嘘のメッセを送る。


☆☆☆


「まず、美容院に行くぞ」


「なんで?」


「__磯風をもっとカッコよくするため」


俺がカッコよくなんてなる訳が__と、そう思っていたが__。


「こ、これが俺?」


「磯風、それ漫画」


美容室でカットされた俺はずいぶん見違えるようになった。


その上、アリーさんが眉毛も整えてくれてすっかり垢抜けた容姿になった。


そして、ファッションモールで服を買わされた。クレカ持ってて良かった。


アリーさんは俺の服や美容院代を払うつもりだったらしい。


男として女の子に奢られるという屈辱はまだ味わいたくない。


「じゃ、いよいよデートね♪ 品川の水族館行こ♪」


「う、うん」


俺はアリーさんの言われるがまま連れ回された。


水族館でのデートなんて初めてだ。


陽葵とは近くのファッションモールとかにお買い物に行ったことあるが、水族館とかカップルっぽいとこは一度もないや。


何故か人に見られてるような気がする。男だけでなく、女の人の視線も感じる。


天使様のアリーさんの隣を歩いているからかと思い至り、納得する。


「__うふ__。うふふふふふふふ__。」


アリーさんが謎の声をあげるが、原因はわからん。


☆☆☆


アリーさんSide


「__うふ__。うふふふふふふふ__。」


思わず優越感に浸っておかしい声が出てしまう。


東京の街の中でみんなが私達を見ている。


それはそうだろう。磯風が__カッコいーーーーーい!


正直自分の容姿のことは自覚があるが、それより自分の隣を歩く磯風が至るところで女の子の視線を集めるのが快感だ。


彼の隣を歩いているのは私なのよ!


ほんと、磨けば光るとは思っていたけど、これ程とは__。後で撮影会が必要ね。


美容室でワックスもつけてもらったから、今が最高にカッコいい状態な筈。


この状態の磯風を永久保存するのが私の役割だと使命感に燃える。


私が浮ついてたからだろう。突然つまずいた。


「危ない!」


突然、私の腰に手を回して私の身体を支えてくれた。


「気をつけてね。意外と段差とかもあるよ」


さ、さりげなく私の腰に手を回した! 腰をグイってされた!


凄い力強い! 女の子の私には絶対自分の体重を片手で支えるなんてできない。


『__か。__かあっっっこいいいいい〜〜〜ッ!!』


「__へへ。__うふふふふふふふッ!」


いかん、思わず涎とヤバい声出た。


「天使様ってチョ、ぷぷっ」


「あのクソ女ぁー」


うん? どこかで聞いたような声がした。


☆☆☆


陽葵Side


お兄ちゃんの嘘つき。


私はお兄ちゃんからのメッセをもらって、すぐに秋月先輩に連絡を入れた。


だが、秋月先輩はお兄ちゃんと約束なんてしてなかった。


「__どうして嘘なんて」


思わず呟いた。そしてそれが__あの天使様絡みに違いないが故に腹がたった。


「昨日あんなことしたのに__」


昨日の夜のことを思い出すとかあぁと顔が熱くなる。


「私の__お兄ちゃんの知らないところ__もうないよね。ちゃんと責任とらせるからね。お兄ちゃん」


そうしてお兄ちゃんの教室の近くに潜んでお兄ちゃんを監視する。


そうしていると。


「陽葵ちゃん♡」


「ひぃやあああああああああああ!」


「冬月、脅かし過ぎだ」


そこにいたのはお兄ちゃんの友達の秋月先輩と冬月先輩だった。


「陽葵ちゃん。お兄ちゃんのこと心配なんでしょ? 尾ける気なら制服じゃダメよ」


「あっ!」


迂闊だった。言われてみると街中で制服だと一目でバレる。


「演劇部に知り合いがいるの。磯風君のくせに本当に生意気ね。陽葵ちゃんに心配かけるなんて」


「まあ、磯風が生意気か__そうとも言えんだろ? 冬月?」


「五月蝿い! 秋月! 余計なこと言わない!」


秋月先輩と冬月先輩の夫婦漫才のような掛け合いだけど、私には冬月先輩の言葉が気になった。女の感。__冬月先輩。お兄ちゃんに気安すぎ!


☆☆☆


変装してお兄ちゃんの後を尾ける。私は他校の制服を着て、秋月先輩と冬月先輩はちょっと大人な普段着に着替えていた。


最初にお兄ちゃん達が向かったところは__。


「美容室?」


なんで? と思っていたが、天津風先輩と一緒に出て来たお兄ちゃんは。


『かっ! こいぃぃぃぃぃぃいいい〜〜〜〜ッ!』




時を同じくして三人の女の子が同じくして心の中で悲鳴をあげるのであった。

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