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14天使様がまさかの失恋で何故か喧嘩に巻き込まれる

俺は昨日、陽葵に告白する機会を失ってしまった。


帰宅すると陽葵は寝いっていて、俺も寝てしまった。


朝、陽葵に起こされて遅刻は免れたものの。


シャワーを急いで浴びて、食パンを口に挟んで登校するという『ラブコメか!』というツッコミが入りそうなシーンをご近所様に晒した。


そして今日の1日が終わり、俺は学校の屋上にいた。


いつもなら放課後は文芸部の部室で陽葵を待ったけど陽葵は今日に限って来なかった。


陽葵は毎日という訳ではなかったが、秘密の付き合いをしだしてからは毎日この部室で会っていた。秘密の時間を共有していた。


ピコピコ。


俺のスマホに通知メッセージが入る。


『ちょっと友達に相談事されて、部室に行けない。いつもより30分位遅れるからいつものところで待っててね♡』


俺と陽葵はいつも帰宅する時、学校から少し離れたとこで待ち合わせしてから帰っていた。


秘密のカップルだったから。


でも、今日は部室には来れないし、いつものところで待ち合わせということだ。


俺は部室を出た。まだ、天使様たちが通り過ぎる時間じゃない。


でも、もう俺にとって天使様は別世界の人。そう__思っていた。


こうして珍しく俺は学校の学舎の屋上にいた。


校庭を何人かが走っている。もう、部活の時間は過ぎている。


進学校のこの高校は部活の切り上げる時間も早い。


だから今走っている人たちは自主練だ。


「みんな頑張るなー」


俺は黄昏て校庭を見ていた。


その時、俺以外誰もいない屋上に続く階段から声が聞こえた。


俺はなんとなくだけど陰に隠れた。


しかし。


「(――ん? なんだ?……)」


俺の目に三人の男女が話しこんでいる姿が見に入った。


一人は、キラキラと輝く金髪を靡かせる清楚で凛とした少女。


整った顔立ちだが、彼女はどこか儚げだった。


もう一人は、笑顔が絶えず堪えない愛嬌がある愛らしい表情が特徴の幼さをまだ残す少女。背が低く、守ってあげたくなる小動物系の女の子。


そして最後の一人は、背が高くあからさまにイケメンの男。


天使様たちだ。


男は長門、金髪の女の子は天使様アリー、でももう一人の女の子は?


おかしな雰囲気の三人。


しかも、どうもイケメン長門を巡って、三角関係が発生しているようだ。


「__いいの、わかってるの。長門君は芽衣ちゃんのことが好きなのよね?」


聞こえてきたのは、可愛らしいが、凛と弓を張り詰めたような声。


俺はうっかり、三人の男女の修羅場に遭遇してしまったようだ。


思わず金髪の女の子に目が吸い込まれる。泣きそうなのに、それをぐっとこらえる女の子。


「ごめん__アリー」


男は平凡な謝罪を口にしていた。


そして、思わずだろう、慰めるために天使様の肩に手をかけようとしていた。


だけど、彼女は男からそっと身を引き、目に涙を浮かべている癖に笑を浮かべ、口を開いた。


「そっか、芽衣ちゃんはいい子だもんね。大切にしてあげてね。じゃあ、私は帰るよ__」


「ま、待ってくれ! アリー!」


長門は天使様を気遣いたいのだろう。だが、彼女は後ろをクルっと向くとこっちに向かって走り出してきた。


一瞬、目線があってしまい、気まずくなる。俺が立ち入っていい場面ではなかった。


それに、天使様は泣いていた。その顔は笑顔なんかじゃなく、険しく醜いものだった。


慌てて後ろを向いてやり過ごすが、彼女は俺のすぐそばを走り過ぎて行った。


一瞬、彼女と目が会ってしまった俺は、なんとも言えない気持ちになった。


残された二人はと言うと、黙って天使様を見送っていた。


「(天使様が振られるなんてな。長門も凄い決断をしたんだろう。人を好きになるとか、そんな単純な問題じゃない。ここで長門が天使様を追いかけたからと言って、何も問題は解決しない、むしろこれが正解だろう__)」


ここにいても仕方がない、そう思った俺はその場を立ち去った。


☆☆☆


俺は時間を潰して陽葵との待ち合わせ場所に向かっていた。


だが、突然スマホが鳴り響いた。


陽葵からのメッセだ。


『お兄ちゃん! 天使様が大変! 急いでいつもの待ち合わせ場所に来て!』


俺は陽葵とのいつもの待ち合わせ場所のすぐ近くに急いだ。


「お兄ちゃん!」


「陽葵!」


陽葵は無事なようだ。だが天使様が大変ってどういう?


俺は陽葵が見た方向を見た。


するとそれは天使様が何人かの不良っぽい奴にナンパされている場面だった。


「ねぇねぇ、これからカラオケいかない?」


「君、可愛いねぇ! 一緒に遊ぼうよ、きっと楽しいから!」


「や、止めてください!」


相手はあまりお柄が宜しくない風貌とファッション。


彼女は綺麗だからこういうことがよくあるだろう。


だが、今はうまくあしらうことができないようだ。


そりゃそうだろう。振られたばかりだもんな。


俺は彼女を助けることにした。


陽葵の方を見る。


すると陽葵はサムズアップで俺にエールを送る。


凹むんだけどな。


陽葵は俺のポイントあげるチャンスだと思っているのだろう。


だが、ほおってはおけない。学校の屋上で目線があった時の彼女の表情がフラッシュバックする。


「や、止めてください。わ、私、あなたとなんかと付き合いたくない!!」


「どうしてダメなの~? 少し位いいじゃん?」


「そんなこと言わないでよ。俺の知り合い、めっちゃイケメンいるんだぜ!」


いや、それだったら、そのイケメン連れて来て、お前は去れよと心の中で突っ込んだ__が。


「や、止めて、お願いですから!」


天使様は本気で嫌がっている。声色からかなり恐怖を感じているのだろう。


「はいはい、ちょっとすいません。天使様にはちょっと用事があるんで」


俺はとぼけた口調で三人の間に割り込んでいた。

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