第3話 VSボンゴ兄弟
声がする方見ると100kgを越える野蛮そうな巨漢と弟と思われる派手でダサい赤い服を着た子柄な男がメンチを切っていた。
前世のトラウマのせいで、こういう奴らは苦手なんだよなぁ。
僕は少し困りながら会話を始めた。
「そうだよ」
「かぁー、こいつさえ倒せば俺達ボンゴ兄弟もようやくCランク卒業して、Bランクの仲間いりなのに……」
どうやら彼らの獲物を奪ってしまったようだ。
「倒した証として牙さえ見せればギルドはそれでクエストクリアだと認めてくれるでやんすよ」
「おぉ! 流石リーチ、そいつは名案だ。おいそこのお前ガルムを譲ってくれないか?」
別にこのガルムって言う魔物の死骸は要らないから、いいよと言おうとした瞬間
「アニキィ〜こんな高価な物タダでもらえるわけないじゃないッスか」
「それもそうだなぁー、それじゃあここは……」
「「少しの間おねんねしててもらおうかー!!」」
急な流れに困惑した。だからこういう奴らは嫌いなんだよ!
とは言え、自分の力がどれ程なのかとても興味があった。僕は戦う態勢に移行した。
「戦いの礼儀だ。自己紹介がまだだったな! 俺はビンゴ・ボンゴで弟のこいつがリーチ・ボンゴだ。覚えておけ、いずれ帝国最強の冒険者になる兄弟の名前だ。お前の名は?」
「タイラ・ユーリだ。その前に質問いいか? あの街は何という?」
ついでに聞いておこうと、遠くに見える街を指差した。
「それにしても何だその質問は!? あそこはこの世界アストラテス最大の都市にして我らが帝国の首都! 帝都に決まっている。ここは帝都の西の平原だ。そんな事も分からないとは何処から来たんだ?」
「す……すごい田舎から来たんだよー」
流石に違う世界から転生して来てきたとバレる訳にはいかないから適当にはぐらかそう。
それにこの世界はアストラテスって言うのか。勉強になった。
「へぇー、かなりの田舎者の俺らでも憧れの帝都の事を知ってるのに、更に田舎の地域があるンすねぇ〜アニキ」
「おいリーチ! ナチュラルに俺達がお上りさんと言う事をバラすんじゃねぇ。
まあいい、地元じゃ負け知らずの俺達の無敵のコンビネーションをかましてやるぞ!」
「了解ッスよアニキ、くらえ! 火球」
またさっきと同じような火の球が飛んできた。大きさはガルムのより少し小さいがスピードは速かったが、今回は身構えていたので横にステップを踏んで躱せた。
しかし
「加速」
地面に着地する前に目の前に突然大きな影が現れた。大きな体に似合わずスピードが速くて驚いた。
「リーチの攻撃を避けるとは、中々の身のこなしじゃねーか! 流石は帝都の戦士と言ったところか。だが空中じゃ避けられねーぜ!」
ビンゴと呼ばれる巨漢の拳に魔力が集まっていくのを感じ
「筋力強化、硬化
くらえ必殺! ビンゴ・パーンチ!!」
まともに腹にパンチを食らってしまった僕はゴン! っと大きな音をたてて吹き飛んだ。
「よぉし! 手応えあり。リーチ、ガルムをもって帰るぞ!」
「いてて……今のは流石に痛かったぞ」
僕は殴られたところをさすりながら言った。
「何ッ!? 俺の一撃を食らったのに立ってるだと! そんな奴地元で一人も居なかったのに。」
「なるほど、こうやるのか」
また見様見真似でビンゴが今やった技をやってみた。
まずは足に魔力を込めて
「加速」
と唱えた瞬間案の定と言うべきか、元々速かった足が更に速くなった。僕はビンゴに向かって駆け出して、そのままお返しで同じようにパンチ繰り出した。
彼はまだ己の必殺技が効かなかった事に狼狽してて、反応が間に合わない。
「筋力強化、硬化
お返しだ。」
「――危ないアニキ!遠隔魔防盾」
「や、ヤバい硬化」
バコンッ!!
寸前で後ろにいたリーチがそう唱えると、僕とビンゴの間に半透明な盾が出て来て、パンチの威力を弱めた。
それでも盾は僕のパンチを受けきれず、ガラスのように割れ貫通した拳が呆然と立ちつくしてる巨漢を殴りとばした。
なるほど、マスキュラは筋肉強化の魔法で、使うとパンチの威力が上がるのか。
プロテクを使うとその部位は硬くなって防御力が上がり、拳に重ねがけすると硬くなりパンチの威力を上げる事にも応用出来るのか。
「アニキ! 大丈夫ッスか!?
それにあのパンチはアニキの必殺技ビンゴパンチじゃないですか? 何で出来るんだ?」
「がっ、はぁ……すまないリーチ、助かった。シールドがなければ意識を持っていかれるところだった。
仕切り直すぞ! 加速」
そう仕切り直すと動揺するリーチは落ち着きを取り戻し、ビンゴは再び突っ込んで来て
「了解ッス。火球、火球」
リーチは火の球を2つ牽制するかのように放ってきた。
恐れらくまた、火の球に意識を向けてる間にビンゴが攻撃してくるのだろう。同じ手はくらわない。今度はリーチの真似をした。
「魔防盾」
もうぶっつけ本番が上手くいっても驚かない。目の前に半透明の盾が現れたこれがシールドと言う防御魔法か。だが、リーチが出したシールドよりずっと分厚く固そうだった。
ボン、ボンと音をたてて火球はシールドに当たり消えて煙になった。
すると間髪入れず煙の中からビンゴが出て来た。
「筋力強化、筋力強化、筋力強化
食らえぇぇー! スペシャル・ビンゴ・パンチィィイ!」
ドゴォ!
パンチを放った。だがそのパンチは僕の張ったシールドに止められた。傷1つつかないシールドを見てビンゴは更に狼狽えた。
「なん……だと!? 俺の全力攻撃でもシールドがびくともしないだと。馬鹿なコイツはまさかAランクの使い手か!? クソっ食らえ食らえくらえェェエ!」
ドンドンドンドンッ!
焦ったビンゴはシールドに連打を加えてくが、ビクともしなかった。
それでも殴り続けたビンゴの拳は血で赤くなっていた。
しかし、10回程殴ると破壊するのは不可能だと悟り、心が折れたのか力なく跪いた。
「もういいよ君達、色々教えてくれてありがとう」
そう言いって無防備なビンゴをドンッと蹴っ飛ばした
「アニキイィー! よくもアニキを!」
「火球」
キレたリーチに手の平を向け、また真似して1m強の火の球を放った。
さっきガルムに放った魔法よりも威力もスピードも上がっていたがもう驚かない。
リーチはシールドで防ぐが、あっけなくパリーンと音をたてて割れて直撃した。
二人とも死んではないが白目をむいて、気を失っている。
僕は結構強いみたいだ。
「取り敢えずさっき話に出てきた帝都のギルドに行ってみようか」
そう言い街に向かって再び歩きだした
次話はお昼頃に投稿したいと思います。
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