8:夢の中で世界樹と共に?
それに、ここまでのは自分が都合のいいように見ている夢だろうとも考えていたのであった。
響が眠りに落ち、これは都合のいい夢だと思って、そんなに時間が経っていないくらいに、優しい声の持ち主に身体を揺さぶられ声を掛けられた。
『ヒビキ、ヒビキ!私の声が聞こえますか?ヒビキ』
「うーん、誰だ?まだ、眠いのに・・・」
目をこすりながら周囲を確認すると、先程までいた場所と違い、すべてが白一色の真っ白な空間の中に俺はいた。
「はっ・・・?ここ・・どこだ?・・・なんでまた、こんな場所に?あっ、ならやっぱりさっきまでのは夢だったのか?」
周りを確認してやはりさっきまでの出来事は夢だったのかと思っていると、俺の目の前には薄いグリーンのレース状のドレスを着た女性が、そう薄黄緑色の髪の綺麗な女の人が立っていた。良く見ると・・・何となくアクアに似ているような感じがするが、まあ将来アクアが大きくなったら、こんな美人さんになるんじゃないかなと思うような感じの女性である。
それだけアクアと良く似ているのだが、俺の知っているアクアは、ここまで大きくないし、胸も無い・・・それに、どちらかと言うとアクアは綺麗と言うより、可愛いが似合う感じの娘だったはずだ。
そんな事を考えて、目の前に居るアクアとよく似た女性に声を掛けた。
「えっと・・・あなたは?」
ヒビキが不思議そうに尋ねた女性は、笑顔をヒビキに向け答えてくれた。
『ヒビキ、私は、世界樹。ユグドラシルの精でマナと言います。折入ってあなたにお願いがあります。どうか我が娘である、水の精霊アクアをあなたと共にいさせてあげて欲しいのです』
目の前にいる女性が・・・自分の事を説明してくれてアクアと共に俺がいる事を頼んできた。
どうやら夢の中で夢を見ているという訳ではなさそうだ。それに先程思っていた状態でもなかった。やはり実際に俺に起きていることのようである。
それでそれが確認できたので、改めて目の前にいる女性、ユグドラシルの精であるマナに聞き返した。
「は・・い? それはどういう事ですか?・・・てっ、えっ、えっ、あなたは世界樹様?ユグドラシルの精?」
『ええ、ヒビキ、私の事はマナと呼んでください。それとあなたには包み隠さずお話しておきますね。私は先程言ったとおり、世界樹そのものなのです。それに私はそうですね。このままでは長くても後半年で・・・・いえ、今はこの森は瘴気の進行が速いので、そうですね・・・そこまで長くはないと思います』
世界樹であるマナが、悲しいそうにヒビキに語った。
「えっ、どういう事ですか?マナ様、その瘴気って・・・」
『そうですね。その前に・・・ヒビキ!私の事はマナッ呼んで!そうしないと話してあげないんだから・・・』
なぜか突然駄々をこねる少女のようになり、頬を膨らませて迫ってきたマナを見て、響は驚いて思わず呼び捨てにしていた。
「あっ、ああ、解った。マナ!・・・そっ、それで瘴気って?」
するとそれに満足したのか、また、笑顔をこちらに向けて説明の続きを話してくれた。
『そうですね。瘴気に関しては・・・・・・・』
世界樹・・・ユグドラシルの精であるマナによると、この森は以前までは清い澄んだ空気と数々の聖獣や害のない動物、それに精霊が飛び交う聖なる森だったのだが、いまや森全体に瘴気が広がり死の森へと変わってしまったそうだ。
それで今では、唯一ここだけが神聖な場所で清い空気であるが、もう既に聖獣や動物、それに精霊達もすべていなくなってしまった。それで現在の状態になっているそうだ。
それにここもそう遠くない未来では、周りの森と同じ様に瘴気でやられ消えてしまうらしい。
その様に説明して世界樹の精であるマナは、悲しい顔をしてから、こちらに視線を向けてきた。
「なっ、何で、そんな事に・・・でも、その瘴気はどこから?」
俺に視線を向けたまま、俺自身も真剣にその話を聞き暗い顔になってそう質問した事に、マナは悲しい顔をしたまま答えてくれた。
『はい、実はここ最近この聖なる森の外で、魔族と魔物による人族や精霊族等との戦争が起こりました。それで残念な事に魔族側が勝利してしい、生き残って森にいた精霊達も邪霊と変えられてしまいました。それに死者が沢山出た事で瘴気が漂い、それに魔族特有の装置でこの森を自分達の済みよい森にするために、大量の瘴気を放っているのです。その影響でこの森も徐々に汚染されてしまっています。かろうじて私の回りと湖は、今のところ守れていますが、それ以外は今や瘴気が漂う死の森と化しています。それに妙な石碑を周囲に相当な数を建てられ、ますます・・・』
どうやら今の話では、ここを残す森全体が瘴気に犯されて、今や死の森に変えられたようである。
しかもその瘴気を撒き散らす行為をしているのは、魔族と魔物だという事らしいのであった。
それに伴い魔族達には、マナさんである世界樹が出す安らぎを与える効果と、神聖な力が不満らしく妙な石碑を建てて瘴気を拡散して、この場所を破壊を試みているみたいだった。




