28:不思議なポケット?
しかし、そんな考えも杞憂に終っていた。何故ならアクアはリュックを背負った状態で、水竜であるシーちゃんの背中に乗り、俺が歩いて湖のほとりを歩いて進むのに対して、シーちゃんはその横のちょっと離れた場所の水面を泳いでついて来ているのであった。
アクアはシーちゃんの背中で、じっとこちらを観察して時折、応援みたいな事をしてくれている。事実、あの不思議な空間に行った後からはかなり時間が経っている。
それでも今は順調に歩みを進め、既に4個ほど石碑を水晶に変えている。
「ヒビキー!かんばれっなの。もうちょっとで岩場なの」
『クッ、クゥゥゥッ♪』
そんなアクアとシーちゃんには、手で答えていると言うよりもう答える気力がない。
流石にそろそろ体力の限界である。歩いた距離にしても恐らく2km・・・まあ実際正確な距離は解らないが、それでも相当歩いたと思う。
しかもよくよく考えたら、朝にアプルを食べた後・・・その後から何も食べてないし飲んでいない。
先程余りにも喉が渇いたので、湖の水を飲んでみたらすごく美味しかった。
いつもは世界樹の側にある湧き水を飲んでいたし、不思議と世界樹のうえにあるアクア部屋にも、その湧き水と同じ様な水が湧いていたので、飲み水には困らなかったが、流石に今回はそんな事を全く考えていなかった。
それで我慢できずに湖の水を直接飲んだと言う事だ。この時アクア達が近付いて来て。
「ヒビキ?湖の水、直接飲んだらお腹壊すの。ばっちいの」
なんか当たり前のように常識を言われたので、悔しくて冗談半分に聞くことにした。
「いや、アクア!俺は喉が渇いたからしょうがなく、ここの水を飲んだんだよ。でも、美味かったぞ。他に何を飲めと言うの。それにアクア達だって喉が渇いたたら何を飲むの、それに特にシーちゃんは!・・・でも、美味いぞこの水飲んだ事あるのかな。それに他に水を飲む方法あるのか?水もだけど食べ物も・・・」
「えっ、飲んだ事無いの。でも、母様が・・・あっ、忘れてたの。これをヒビキに渡すのを・・・アプルなのっ!あと、えーっと・・・あっ、これなのね。母様特製水袋!あっ、こっちアクアのだ。えっとこっちかな?うーん、あっ、これだ。はい、ヒビキ!これ母様に渡してって頼まれてたの。ごめんなさいなの。完全に忘れてたの」
いや、それはいいのだが、今・・・アクアは、どこからこれを出した?確か何も無い空間から出していたような?しかし、手は何かに突っ込んでいたような?
「なあ、アクア!今、これとアプルどこから出したんだ?」
「ん?えっと、マジックポケット?」
首を傾げ疑問符を、頭のうえに表示させたような感じで、こちらへ逆に質問された。
「いや、俺のほうが聞きたいのだが、マジックポケットってなんだ。それどこにあるの?」
「えっ、ヒビキ知らないの。さっきヒビキも指輪と腕輪を出してたのに?」
はっ、何を言ってるのかな?アクアさん。そりゃ腕輪と指輪は小さいからポケットに入るけど、今のアクアが出したのはあきらかにポケットの大きさとそのモノの大きさが違うだろう。それに俺のポケットにそんな大きくて大量なモノが入る訳無いだろう。
そう思いながら空いている手をポケットに突っ込むと、先程アクアにあげた筈の指輪と腕輪が、また何故か入っていた。しかもポケットに入っていた感覚も何も無かったのにだ。
「えっ、何でこの指輪と腕輪が?これはアクアに・・・あれ、アクアはちゃんとはめてる???どう言うことだ」
とりあえずそのことは後回しにして、アクアから受け取ったアプルと水袋を、恐る恐るポケットに入れると何の抵抗も無くポケットに吸込まれていった。
「はっ、どう言う事だよ。これっ・・・もしかして、その卵も入るのかな?」
「ヒビキ、それは無理なの。この子は生きてるから入らないの。それにこれは大き過ぎるの。大体これぐらいの大きさでないと入らないの」
そうアクアは話しながら手でその大きさを教えてくれた。
その大きさは、ちょうど今ある卵よりひと回り小さいぐらいの大きさだった。
まあ、確かに卵の大きさはダチョウの卵より少し大きいが、それでもアクアが教えてくれた大きさは、ダチョウの卵ぐらいの大きさだった。
なるほど、それなら納得できる。まあ、その卵を使って試そうとは思わないがな。
「アクア!なんでそんな便利な能力があるのを、早く教えてくれなかったのかな?」
「ん?ヒビキ知らなかったの?アクア知ってると思ってたの」
まあ、今教えてもらったし、アプルもくれたからいいけど、出来れば湖の水を直接飲む前に教えて欲しかった。ちなみに水竜であるシーちゃんは、喉が渇くと不思議な能力を使い自分の前に水の玉みたいなモノを出現させてそれを飲んでいた。
なんかすごい便利な能力だと思ったのだ。
それでその場所でとりあえず休憩をして、アプルを食べてから今回は後1個ほど、石碑を浄化しようかと考えている。
それでその事をアクアとシーちゃんに話して、また、石碑の探索開始したのである。




