11:アクアお願い?
いや、俺に聞かれても困るのだが?実際そのシーちゃんって子の事なんも知らんし、会った事ないからな。
それからしばらく待っても、何もこの場所にやってくる事は無かった。
するとアクアはその子の事が心配になったのか、辺りを見渡し水辺に移動したり、そのまま戻って来て俺に肩車させたりして、色々した後に最後は目を瞑った。
「・・・・・!?」
それで俺がアクアが何かをしている様なので、声を掛けようとしたらアクアが何かを感じ取って解ったのか、突然俺の手を取って声を掛けてきた。
「ヒビキ!ごめんなの、一緒に来て欲しいの。シーちゃんが今は母様のところにいるみたいなの。お願いなの」
どうやらアクアの言う、シーちゃんが世界樹であるマナのところにいる事が解ったらしいので、そこに今から戻るらしい。それで俺に同行して欲しいらしく必死にお願いしながら、手を引き連れて行かれているのである。
何かがあったのだろうか?でも、俺が行ったからって、なんの能力のない俺に何かできる訳ではないのだが・・・?
「ヒビキ!こっちなの。早くなの!シーちゃんが大変なの。助けてなの」
「えっ、でも、俺になにかできるのか?俺には何にも力がないぞ」
俺のその言葉聞き、驚くかと思ったが首を横に振って答えてくれた。
「いいの、母様がヒビキを一緒に連れてけって言ったの。絶対に助けてくれるはずだからって」
その言葉の意味はさっぱり解らなかったが、それでも世界樹の精であるマナが言うのだから、何かあるのだろうが?・・・現状そのアクアが言うシーちゃんが何者かも解ってない状態なのである。
それでアクアに引っ張られて、ちょうど俺達がいた湖畔から世界樹を回り込んで反対側までやって来ると、ちょうど世界樹の樹の根付近に、いつの間にか穴が開いていたのだ。
あれ?昨日この周りを見て回った時には、こんな穴は無かった様な気が・・・?
そんな事を考えているとアリアが、その穴の中に躊躇なく入って行き・・・何かを抱えて戻って来た。
そのアクアに抱かれていたのは、小さな首長竜のような感じの生き物であった。
そう手足はヒレの様で、身体全体がアクアの髪の色と同じ水色の生物である。何故か非常に弱っていてぐったりしている。
それに背中のところに黒い斑点みたいな痣が出来ていて、そこから黒い靄のようなモノが浮かびあがっていたのである。
「ヒビキ!シーちゃんが、シーちゃんがちっこくなって元気が無いの。このままじゃアクアの友達どんどん・・・ヒック、居なくなっちゃうの。ヒック、うううっ、うわーん・・・」
うわっ!アクアが急に泣き出してしまった。
確かにアリアが抱えてる子は、かなり衰弱して弱弱しく息をしているようだが、俺にはどうする事も出来ない。
でも、アクアのあんな悲しそうに泣く顔は見たくない・・・どうにかできないのか・・・・。
そうオロオロ考えていると、右腕にあるドラゴンの刺青みたいな痣が蒼白く光輝いているのに気が付いた。
「なんだ・・・これ?もしかして、これってエナジー様の力なのか?とりあえず、アクアその子をちょっとこっちに連れてきてくれるか」
俺の声を聞きアクアは、涙を流し泣きながら俺の言う事を聞いて、頷き近づいて来てくれた。
「うっ、うう、ヒビキぃぃ。どうするの?グスッ、グスッ」
とりあえずこの子シーちゃんを助けてやらないと、アクアが何故か一生泣き止まなくなり、最後は悲しい顔のまま笑顔を見せずに、この世から消えてしまうような感じがしたので、シーちゃん共々アクアを抱きしめ、必死にこの子達を救う為に願った。
そう俺を生き返らせてくれて、ここへある2人の少女達の保護し助ける事を願い、その事を俺に託した本人である古神竜のエナジー様に・・・。そして、何故か共にいた鳳凰神のフレイヤ様にも願いを込めた。
この時は確かにドラゴンの刺青みたいな痣だけが光っていたのだが、どうしてかは解らないがフェニックスの刺青みたいな痣も、赤く光り出し熱を帯びていたのでそう願いを込めたのだ。
すると俺の両腕の刺青みたいな痣が共に光を放ち、辺り一面が光で埋め尽くされたのである。